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 先日,新潟県の越後妻有エリア(新潟県十日町市,津南町)で開催中の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2006」を訪ね,心から感動いたしました。都会の直線的な景観・価値観やうるおいのない商業主義に毒されがちな私も,五感と感性をみずみずしくリセットすることができました。

 9月10日に閉会する「美しくて笑顔が浮かぶ祭り」に敬意と感謝をこめて,この新しくも素晴らしい「郷土の祭り」を,さらに広めて永続させるためのブログ活用法を考えてみます。

 企業のブログ活用では,経営者をはじめとして,顧客,取引先,株主,社員,地域社会,メディア(含むブロガー)などステークホルダー(利害関係者)それぞれが,それぞれに役立つブログを制作してリンクしあうのが基本です。

 アートイベントであれ祭りであれ,ブログ活用の基本は同じはずです。主催者,観客,ボランティア,作者,地域社会,メディアが一体となってブログ連携をすれば,次回以降,さらにたくさんの人が妻有を訪ね,喜びを胸にすることができるでしょう。


里山と棚田の緑に突然と作品が現れる驚きと楽しさ

 越後妻有アートトリエンナーレは「大地の芸術祭」と呼ぶにふさわしく,棚田に代表される自然と人間とが共生する景観が,いわば主役なのです。その心揺さぶる風景と地域文化に触発された内外のアーティストが,現代美術作品を創作し展示する国際的なイベントです。

 2000年に第1回が開催されてから3年に1度開催される芸術祭は,今年で第3回目,アートフロントギャラリーの北川フラムさんが総合ディレクターを務められています。主旨に賛同したアーティストを中心に,地元の有志,ボランティアの人たちや,協賛企業が,文字通り手作りで企画・制作・運営をされているのです。

 こうして作られてきた作品は約330点。私もガイドブックとマップを片手に,各作品展示場を回りました。日本人のDNAをくすぐる里山や棚田の原風景の中,作品は忽然(こつぜん)と現れて目を奪います。その多くは,作品をただ見るだけではなく,触れて遊んで楽しんだり,その場にいる人と対話がはずむ作品なのでした。

 私も作品を五感で楽しみながら,合わせて,パスポートに作品のスタンプを集めて楽しみました。これは言わばご朱印帳で,芸術巡礼の旅に引き込まれるのです。つまり,作品を回る私たち自身も,この壮大な芸術祭のキャストの大切な1人となるのです。


ディレクター北川フラムさんのブログを中心に

 越後妻有アートトリエンナーレでは,もちろん,公式Webサイトが重要な役割を果たしています。「大地の芸術祭」の開催要項や参加作家の紹介はもちろんのこと,日々,各エリアで開催されるイベント・ワークショップやツアーのご案内から,宿泊先のご紹介まで,美しい公式Webサイトを通じて行われます。

 ここで注目すべきは,大地の芸術祭りの総合ディレクターを務める北川フラムさんの個人ブログが公式Webサイトのトップから読めることです。NHKで放映された新日曜美術館で「大地の芸術祭」特集でナビゲーターを勤めた北川さんを憶えていらっしゃる方も多いでしょう。

 その「祭り」に一番の思いを寄せる代表者が,ブログで「素の心」を日々発信するのは,最も大切な情報発信だと考えます。しかし,功成り名を遂げた方ほど,責任が大きな方ほど,こうした半ば個人としての発信に躊躇(ちゅうちょ)することが多いのです。

 今年の3月14日に,北川フラムさんのブログは「支離滅裂はお許しあれ。」という題名の記事で始まりました。「若い人がするブログというものを私がすることになった。」と戸惑われつつも,北川さんのブログからは,祭りの表舞台だけではわからない想いや,さまざまな人の物語が見え隠れします。


主催者ブログの想いと参加者の体感が一つに

 北川さんのブログの中でも特に感銘を受けたメッセージの一つに,「その花に皆で水をやり,守っていこうとするのが大地の芸術祭」があります。

 「アーティストと話すのは楽しい。この荒涼たる文明のなかに,一輪の花を咲かせようとしているのを感じる」……実際に作品を回って,何人かのアーティストの笑顔とも出会うことができました。

 「里山は私達の感性,知性を育んでくれた。四季の変化のなかでこまやかにつくってきた大地とのかかわりが,私達の生命の源だ」…生まれて初めて見るのに,どこか懐かしい風景の数々にも出会い,心が表れました。

 そして,北川さんがおっしゃる「そこに,この国の希望があるのではないか,妻有はその希望を育てるモデルでありたい」というメッセージが決して大げさではないことを,はっきり体感することができたのです。

 偶然にも,会場の一つ,十日町の「キナーレ」を訪ねた日に,北川さんをお見かけしました。そこで,思い切って声をおかけして,わが感激の想いをお伝えしました。そして握手もしていただきました。

 もし,事前に北川さんのブログをお読みしていなかったら,面識のないディレクターに想いを伝えようとも思わなかったでしょう。


体験者と巡礼者の役立つ個人ブログをリンク集に

 なにしろ「大地の芸術祭」ガイドブックに記載された300を超える作品を,駆け足で(クルマで)見て歩いても,5日はかかるでしょう。本来なら,時計など持たずに優美な時空を味わいたいのですが,地元の人以外はそんな余裕は無いでしょう。

 私も,週末,正味2日間,朝から晩まで動きまわりました。かなり計画を立てていったのですが,130強の作品を回るのがやっとでした。もう1度チャンスをいただけるのならば,もっと作品を厳選して,朝日や夕日の角度も計算しながら,訪問すべき時間まで決めて訪ねたいところです。

 こうした作品選びをする時に役立ったのが,既に現地で作品を堪能した方々の個人ブログです。しかし,良質なブログをGoogleなどで検索するのは大変なことです。

 そこで,一番役立ったのが,「現代アート道楽の日々。」ブログにあった「大地の芸術祭リンク集」でした。ブログオーナーご自身も,現代アートを愛し,大地の芸術祭レポートを続けられていますので,そのリンク集も信頼に値するものです。

 ぜひ,公式サイトでも,こうした素晴らしいリンク集の個人オーナーと共同で,リンク集をご用意されてはいかがでしょう?予算や情報発信に何かと制約の多い公式サイトを,補って余りある情報提供ができるはずです。

 もし,私が大地の芸術祭ブログオーナーだとしたら,公式サイトのリンク集に選ばれる栄誉だけで,情報発信を続けたくなるでしょう。


オールアバウト各ガイドに習って多角的な魅力をPR

 妻有アートトリエンナーレの魅力は,素晴らしい現代アート作品だけではありません。現に私が妻有遠征を決めたきっかけは,オールアバウトのガイド仲間で「日本の宿」ガイドを勤める井門隆夫さんの記事「越後妻有アートトリエンナーレで泊まる」でした。

 「妻有でのお泊まりは,日本三大薬湯で名高い「松之山温泉」へ。その他にも,一棟まるごと古民家を借りられる貸し民家みらいや,露天風呂からの景色が素晴らしい芝峠おんせん雲海,地域のお母さんたちが手料理でもてなしてくれるおふくろ館など,個性的なお宿もたくさんあります。」というフレーズで妻有に旅をしたくなったのです。

 もちろん,アート・美術展ガイド 橋本誠さんによる「里山の美術展「大地の芸術祭」レポート」は素晴らしい記事です。

 その一方で,癒しの旅ガイド本多 美也子さんは「3年に1度の芸術祭 棚田の緑とアートに癒される夏!」でじゃ
ブナ林,ひまわり,棚田の美しさを主役に紹介しています。

 また,国際結婚ガイド シャウウェッカー 光代さんによる「現代アート好き外国人にお薦めの里山芸術祭も,日本人以上に現代アート好きな外国人の視点で楽しめます。

 私も,Tシャツガイドとして「越後妻有アートトリエンナーレこへびT」という記事を書いて,現地でぜひ買い求めたい記念Tシャツについて書きました。

 もし私がグルメガイドだったら,「大地の芸術祭でぜひとも食べたい地元愛好グルメ」という記事で,津南町たからやの「大名かつ丼」などをご紹介したでしょう。

 ですから,大地の芸術祭に多くの人をひきつけるためには,ただアート作品の紹介をするだけではなく,宿,温泉,景観,食事,お土産などのディープな情報が必要なのです。地元の有志による情報に加えて,その道のプロによる情報がセットになって一覧できれば効果的でしょう。

 元々,自前で取材して記事を書いているぐらいのファンなのですから,次回はオールアバウトの各ガイドのみならず,先ほどのリンク集に登場した大地の芸術祭応援ブロガーなどを招待した内覧バスツアーなどを会期前に企画されてはいかがでしょう。きっと良い記事が集まって,公式ページにふさわしいリンク集づくりに役立つはずです。


作家と地元の人たちの作品制作過程もブログで事前公開

 もちろん,作家たちのブログも,ぜひ会期前から読みたいものです。作品によっては,作家と地元の人たちが協力して制作されたと聞きます。こうした制作プロセスを作家が中心となってブログで公開すると様々な効果が期待できます。

 例えば,鈴木淳子さんの「大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ2006 作品制作リポート」を読めば,作家のお人柄人や作品に込めた思いを知ることができ,共感が広がるはずです。さらに,制作に携わった地元の人たちの笑顔や手仕事まで,多くの人が目の当たりにすることができるのです。

 また,空き家や廃校を活用したプロジェクトについては,その使用前と使用後を知ることもできましょう。半ば見捨てられていたものが,毎日,少しずつ姿を変えながら芸術作品として甦る過程は,きっと感動的なはずです。

 こうして,大地の芸術祭の1年前,半年前から制作プロセスを疑似体験することができれば,実際に作品を目にした時の感動は,より深くなることは間違いありません。

 また,展覧会の会期中や会期後も,ブログが大きな役割を果たすことができるはずです。

 アートイベントだけあって「大地の芸術祭」の公式サイトは美しくデザインされています。アルファベット別の作家紹介ページも素敵ですが,残念ながら作家と観客との交流には向きません。

 そこで別途,作品紹介ブログを用意されると,双方向の掛け合いが生まれるはずです。ガイドブックにあったナンバー順に作品を紹介し,エリア別にカテゴリー分けするだけで,特別な機能は必要ありません。ガイドブックや公式サイトの写真や文章を流用しても良いでしょう。

 そこに,まずは,作家ご自身がコメントを寄せます。鈴木淳子さんのようにご自身のブログをお持ちの場合は,自らトラックバックしても良いでしょう。作家の生メッセージを読めれば,作品を見る目や,見た後の感想も変わってくるはずです。

 何より重要なのは,その作品に感銘を受けシャッターを切った観客たちが,自分の写真を投稿できる機能を用意することです。作品の周りには,写真愛好家からにわか携帯カメラマンまで集まっていたのです。一つの作品に対して,構図も光線も違った何百もの写真が集まることも期待できるでしょう。また,観客それぞれ感じ方が異なるメッセージを読むのも楽しみです。こうしたレスポンスの集積も一つのアート作品なのです。

 写真管理+印刷サイトと提携して,有志が撮影した作品をアップロードして,自由に印刷できるようにしても素敵でしょう。最も多くダウンロードされた作品と作家を表彰しても楽しそうです。


景観ポイントと裏芸術作品マップの紹介ブログ

 大地の芸術祭に,1日でも参加した人は,「美を感じる目」や「不思議を楽しむ心」がよみがえってくることに気づくでしょう。

 例えば,ある角度で突然目に飛び込んでくる棚田や青空に目が釘付けになるかもしれません。豪雪に負けない生活のために創られた雪よけやかまぼこ型倉庫までがアート作品に思えるかもしれません。これこそ,大地の芸術祭効果とでもいえる福音だと感じています。

 そこで,作品巡りをしている間にめぐり合った「ひそかな景観ポイント」や,「路上観察的アート」を,投稿してマッピングできるブログがあればきっと楽しいはずです。

 第一発見&投稿者には,その景観地や作品の命名権を差し上げても良いでしょう。そうすれば,大地の芸術祭を通じて,妻有エリアの素晴らしさをみんなで再発見して情報蓄積していくことが同時にできるはずです。

 その美しい景観と,常設作品とを合わせれば,芸術祭会期後も多くの人を魅了し,再訪を促すことができましょう。

 ああ,今から3年後の第4回「大地の芸術祭」が楽しみになってきました!