Microsoft TechEdといえば,マイクロソフト最大の技術カンファレンスである。今回,私はBirds of A Featherの司会進行を1つ(関連記事:【TechEd】パソコンの安全性と利便性,どっちが大事?),セッションを1つ(関連記事:【TechEd】カリスマ講師が教える「こんなアプリケーションはVistaで動かない」),ハンズオンラボを1つ(2回)担当した。Birds of A Featherとセッションは,ITproの記事にしていただいたので,ここではハンズオンラボについて紹介しよう。
ハンズオンラボは,予約制の実習セッションである。講師は15分程度の説明をした後,自習書に従って演習を行う。私が担当したのは,ACT(Application Compatibility Toolkit) 5.0のセッションである。また,Windows Vista展開の演習サポートも担当した。
ハンズオンラボで苦労するのは,その規模である。私の担当教室のPCはざっと100台。ただし,準備さえ整えておけば,OSと演習ファイルの展開はそれほど難しくない。Windowsには自動展開の機能が標準で備わっているからだ。サード・パーティ製のマルチキャスト対応のコピー・ツールと,Windows標準のSYSPREPを組み合わせれば,それほど長い時間をかけずに一気にセットアップできる。宣伝になってしまい恐縮だが,Windows XPの展開技術を紹介するコース「Business Desktop Deployment によるクライアント展開実践」)をご受講いただければ,一通りの展開技術を修得できるだろう。
難しいのは,演習中のサポートだ。考えてみれば当然である。全員が同じ場所で間違えるわけがない。全員が完全な操作ができるわけでもない。個別対応がどうしても必要になる。
もちろん,100名もの人間を1人ではサポートできない。当然,ヘルプを頼む。今回は,同僚たち4人に応援を頼んだ。ただし,TechEdのハンズオンは最新技術を紹介するのが目的である。そのため,ベータ版を使うことも多い。ところが,ベータ版で不具合を起こした場合は,操作ミスなのかバグなのかを見極めることが難しい。前日の夜に,サポート担当者を集めて,引っかかりやすい落とし穴についてのレクチャを行った。それでも,受講生が直面したトラブルから,原因を推測するのは難しかった。通常のコースであれば,演習の初期段階で,受講生の技術レベルを推定し,起こりそうにないトラブルを除外してサポートする。しかし,大教室だと特定の受講生の様子を観察するのは難しい。
演習の時間配分も問題になる。私の作成したACTのセッションでは,思ったよりも早く終わる人が多かった。演習を作成したときに使っていたPCよりも,高性能なPCを使ったからのようだ。逆に,Windows Vistaの展開セッションは時間が足りなかった。操作手順が複雑で,戸惑う人が多かったからのようだ。なかなかうまくいかないものである。
ハンズオンセッションは,ここ数年毎年開催されている。満席で受講できないことも多いが,機会があればぜひ試してみてほしい。