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 Yさんは、憧れていた花形プロジェクトのメンバーにアサインされました。そろそろ1ヶ月が経とうとしていますが、なんだか冴えない表情です。どうされたのでしょうか。

雑用ばかりでがっかり

 会社をあげて力を入れている、ビッグプロジェクトのメンバーになって1ヶ月。若いうちにこんなプロジェクトで鍛えられたら、実力がつきそうだし、これからのキャリアにもプラスになるだろうと、Yさんは意気込んでいました。でも、このプロジェクトに来てから、雑用ばかりさせられて、うんざりしているとのこと。大掛かりなプロジェクトのせいか、関係者が多く、会議も多い。そのための事前準備や、スケジュールや場所の調整をしたり議事録を書いたり、とにかく雑用だらけ。こんなに雑用ばかりさせられるくらいなら、このプロジェクトに来なければよかったと、Yさんは後悔しているようです。

 確かに、大きなプロジェクトになると、関わる企業や技術者も多くなるでしょうし、打ち合わせの機会や、擦り合わせなければならないことも多そうですね。プロジェクトとして目指すゴールはひとつでも、多くのチームに分かれていたり、複数の企業メンバーが参画していたりすると、プロジェクト内で利害が対立する場面もあるでしょう。そうすると、事務的な連絡や調整はもちろんのこと、各方面に気を配りながらの対応が、実務上必要なのでしょうね。全社的にも力を入れている注目プロジェクトなら、なおさらでしょう。

それは雑用か

 Yさんがおっしゃるとおり、せっかくプロジェクトに参画するのですから、ここでの仕事を通じて、力を伸ばしたいですし、よいキャリアの歩みにつなげたいですよね。(たくさんの会議や報告が本当に必要かというお話は別の機会にするとして、)それにしても、このような仕事のなかでは、ITプロフェッショナルとしての実力はつかないのでしょうか?

 ITプロの方々から、これまでお聞きしたお話のなかに、大きなプロジェクトへの参画から学んだことで、その後に役立ったこととして、会議の運営や議事録作成、複雑な利害にまつわる調整などのコツを身につけたというのが、度々挙げられます。実際にそれらを担当している最中には、面倒に感じたり、こんなことに時間を費やすぐらいなら新しい技術を勉強したいと焦ったり、また、それらが機能していないプロジェクトに移ってから、その重要性に気づいたというひともおられます。

その実力は強みです

 例えばRさんは、提携先企業を中心としたプロジェクトに初めて参画した際、なんとかプロジェクトに貢献したいとの思いから、各々のメンバーやチームの立場を想像しながら、情報共有などにも真摯に取り組んでいました。しばらく様子をみていると、プロジェクトメンバーには、その開発の中心となるIT技術に長けたひとは多いのですが、チーム間や顧客との現場レベルでの調整をうまくできるひとは少ないことがわかってきました。そこで、より積極的にそれらの仕事に力を注いだところ、各チームのメンバーやリーダーをはじめ、顧客からも信頼されて、一目置かれるようになり、それ以降の案件では、顧客や提携企業からも、ぜひともRさんに参画してほしいと指名されるようにまでなり、大きな自信となりました。

 Rさんが活躍できた背景には、それ以前に参画したプロジェクトでの、チームや会社間の調整や会議体の設定・運営などの経験がありました。ご本人曰く、元々もの静かで、誰とでも調子よくペラペラと会話をするようなタイプではないそうで、当初は「なんで自分がこんなことをしなくてはいけないんだ」と思っていたそうですが、あちこちから苦情を言われながらも何度も繰り返すうちに、登場人物や組織の、利害や特徴に応じたアプローチの仕方を修得していったそうです。その間にITスキルを磨いていたのは言うまでもありませんが、会議運営や議事録・報告書の作成といった、プロジェクトにおける重要な要素(コミュニケーション管理にも関わりますね)を担う実力を身につけられていたことが、後々、ITプロとしてRさんを特徴づける強みとなりました。

普遍的な力をつけるチャンス

 大きなプロジェクトであるほど、関わるチームや人は増えますが、その中で、チーム間やメンバー間をうまくつなぐ行動が、成果を高める要素になっているという調査結果もあります。それは、表面的な派手さや調子の良さ、または、相手を強く説得したりコントロールしようとする行為ではなく(これらが過ぎると、長期的には信頼が損なわれるようです)、誠実さをベースに、双方のメリットを追及しようとする効果的な行動です。このような行動ができるというのは、担当するプロジェクトや利用技術が変わっても、普遍的に通用する力ですよね。

 プロジェクト或いはチームのメンバーとして、自分に与えられている主たる仕事をしっかりと進めるのはもちろんですが、会議運営やドキュメント作成なども、重要な業務として前向きに取り組むことが大切だと思います。それらがプロジェクトに及ぼす影響を真剣に考え抜くところから、各関係者の立場を理解し、より良い手段を講じることができるのでしょう(無駄な会議があるなら減らすようなプランも含めて)。もしも、会議の進め方などについて、厳しく指導してくれる先輩や上司がおられるなら、腕を磨くチャンスかもしれませんね。「若いうちにこんなプロジェクトで鍛えられたら実力がつきそうだ」とYさんが言っておられたのは、まさに、こういうところにもあるのではないかと思われます。

 それでは、今日もイキイキ☆お元気に。