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 今回は,サービスデスクについて考えてみましょう。

「チョット,言わせて」コーナー:ヘルプデスクの限界?

 新規の情報システムの導入に合わせて,ユーザーをサポートする役割を持つヘルプデスクを設置することが,一般的になっています。これは,新しい情報システムの運用を「早期に期待レベルまで引き上げようとする目的」があるからです。

 このような,ヘルプデスクの目的は,新しい情報システムの運用が進み,ユーザーからの問い合わせ件数が減るに従って,低減して行きます。ユーザーからの問い合わせがほとんど数件になった状態で,ヘルプデスクは,解散する場合さえあります。

 ところが日常的なIT運用で,「情報システム部門のメンバーによって,言うことが違う」「情報システムに言っても,なかなか直してくれない」「1年前から同じようなトラブルが起こり,情報システム部門の対応は,場当たり的に思う」などのユーザーの声があることを否定できません。

 ユーザーの声に耳を傾けなかったり,聞かない振りをしているということであれば,話になりません!

 また,ヘルプデスクの機能は,IT運用の日常的な事象(ITILでは,インシデントという)のすべてを対象にしているわけではありません。

聞きっぱなしの体質を打破するには,サービスデスクの設置が不可欠

 日常的なIT運用で,「情報システム部門のメンバーによって,言うことが違う」のは,ユーザーの問い合わせに対する「答えが,定まっていない」か,ユーザーが同じことを言っているのに,「情報システム部門において,事象の分析が,定まっていない」などが,背景にあります。

 「情報システムに言っても,なかなか直してくれない」という背景には,「情報システム部門に蔓延する聞きっぱなしの体質」があるのは明らかです。

 「1年前から同じようなトラブルが起こり,情報システム部門の対応は,場当たり的に思う」などのユーザーの声があるのは,「情報システムの改善計画が,ユーザーに周知されていない」のでしょう。

 ユーザーの要求や意見,ユーザーから聞いたこと,ITトラブルなどのIT事象,情報システム部門が対応したことのすべての一元管理が必要です。

 この役割を持つのが,ITILで言うサービスデスクです。

ITILに学ぶサービスデスクの設置

 ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は,英国商務局(OGC : Office of Government Commerce)が,策定したITサービス管理・運用規則に関するガイドブック(1989年に初版発行)のことです。

 下の図を見てください。

サービスデスクとインシデント登録の流れ
(ITILインフラストラクチャライブラリ,図5を一部加筆)

 この図は,サービスデスクが,サービス要求のすべての窓口であることを示しています。また,サポート提供の事務局としての役割を持っています。もちろん,従来のヘルプデスク機能は,製品サポートや外部のサービス,内部のサービス,契約サポートなどに分類されていると考えてください。

 サービスデスクの注目すべきところは,これらのサービス要求情報とサポート情報を一元管理しようという目的があることです。

 これによって,ユーザー要求を「聞きっぱなしにしない」基盤を構築できるのです。

 発生するすべてのインシデントをデータベースに登録し,それに対する情報システム部門やサービス提供側の活動や対応を登録し,問題だと認識したものの解決まで,進捗を管理(ITILの云う問題管理)する基盤になるのが,サービスデスクとインシデント管理です。

CIOは,サービスデスク設置の推進者に!

 新規の情報システムの導入に合わせてヘルプデスクを設置し,本稼働が軌道に乗ったら解散する,というユーザー対応の機能だけでは,ITサービスを有効かつ効果的に運営するには,不十分です。

 ユーザーとのインターフェースは,総合かつ網羅的であることが,第一です。情報システム部門がユーザー部門の要求に対して,場当たり的な対応を習慣的に行うことは,IT内部統制の未熟さを表しているともいえるのです。

 CIOには,ユーザー・サポートとIT運用の安定性の確立のため,IT内部統制の確立のためにも,リーダーシップを発揮し,サービスデスクを設置することが求められます。

CIO川柳コーナー

 前回の川柳である「トップより 有名ならず CIO」の意味するところを説明します。

 ある製造業のCIOの方が,「君は,最近,外で有名だね」と,社長から嫌味を込めて言われたということで,新聞や雑誌の取材も断っている,ということを聞いたことがあります。これは,CIOが,社長よりも社外で有名になったことに対する社長の反応です。他の会社でも同じようなことを聞いたことがあります。

 経営幹部が社会で有名になることは,決して悪いことでは,ないと思うのですが,いろいろな社長が世の中には,いるものです。いずれにしても「社長より有名ならず」という企業があることを思うと,日頃の社長や他の経営幹部との関係のあり方,社風などを充分考慮した,CIOの社外活動が望まれるのは,確かなようです。

 次の句は,次回に解説します。皆様も,考えてください。

任せたら アウトソーシング ひどいもの KENJIN:CIO川柳/第13句