5年前かなあ。
大手SIerの常務さんとその会社の営業体制について話をしていたときのこと。
営業力強化と組織体制について語っていたら・・・
常務)・・・ということで苦労して営業マンはそろえたんだよ
ゆの)ほほう、さすがですね。ところでプリセールスは何名体制ですか?
常務)なんだ、それ?
プリセールスと言う言葉を初めて聞いたというその人に、僕はその役割を説明をした。
「ですから専門性が高く役割が細分化されてきたなかで、営業マンはその機能を・・」
「そんなもの、営業が勉強すりゃいいんだ!」
「そうではなくてですね、例えばデモするのにも・・・」
「営業マンが怠けるコストをどうして会社が負担せにゃならんのだ? 油野さんは営業育成のプロと聞いていたが、そういうところを教育する方法でも考えたらどうだね」
「いや、それはもう技術的に営業が及ばないところを・・・」
「そんなもの、SEが空いてる時間にやればいいんだ!」
そこで昼食の時間になり、相当不満そうな顔をして常務は部屋を出て行った
午後、他の打ち合わせをしていたところに、くだんの常務が照れくさそうに現れた。
「油野さん、さっきの話だがね」 彼はこっそり切り出した。
なんでも常務は昼食時に偶然、隣のテーブルに座った外国人がIT関係の人間らしかったので得意の英語で話しかけたらしい。
「え? そういうの、うちじゃ当たり前だけど、アナタ、ナンデスカ?」
某I社の外国人3名に言われて、すごすごと帰ってきましたよ、さっきはゴメンねー、そういうの必要なんだよねー、とおっしゃった(この人は頑固なだけ、理屈に合わないことはすぐに訂正するから偉い人です)。
このように数年前までは、「デモンストレータ兼インストラクタ」みたいな肩書きで中途半端だった仕事が、今や確固たる地位を主張する。
そしてビジネスのキーパーソンである「プリセールス職」になったわけだけど・・・。
さてさて先週、外販を始めたあるユーザー系SIerで、SEが悩んでいたのでこの昔話を書きました。
優秀なSEである彼は営業からプリセールス的な動きをしてくれと引っ張りダコ。
彼が手伝うと受注率が上がるっていうんで、社内の人気は急上昇。
でも彼には、プリセールスをやっていると稼働が取られて開発の仕事が遅れる、プリセールスに行かないで営業だけで動くのはしんどいので受注が減る、というジレンマがある。
これを上司にしたら、なんとまあ!
「おう、そうだな。やっぱり君は来期から営業でいこう!」
と言われたとのこと。
「プリセールスの部署を創ってくださいよ、必要です」
「当社には営業とSEしか職種が無いんだよ! 仕方ないだろ! 第一、評価制度だってどうすんだ?」
「第一」って、あんた、それが「第二」か「第三だ」と思うけど。もう転職しよっかなぁ・・・だって。
まだそんな会社あるんですね ┐(´д`)┌ヤレヤレ
もっと日本のSIerもプリセールスの体制を強化し、彼らの待遇を良くしたほうがいい。
転じて受注前に赤字プロジェクトを減らす、具体的な対策の一つでもあることも間違いないと思うけど、どうだろう。