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 「売り上げを一日も早く1兆円にし、営業利益率7~8%を確保する」。NECで企業ソリューションビジネスユニットを担当する瀧澤三郎取締役・執行役員専務は、収益率の高いサービス事業にシフトし、それを実現させる考えを語る。そのカギを握るのがアウトソーシング事業である。

 製造、流通など一般企業向けシステム構築を主に担当する企業ソリューションBUは、06年度に前年度比で5%増の7000億円の売り上げを計画している。ITソリューション事業の3分の1を占める企業ソリューションBUのこれまでの中核事業である「SI(システム・インテグレーション)は人件費の戦いになり、儲かりそうで儲からない事業」(瀧澤氏)になってきた。その一方、アプリケーションを含めたアウトソーシング事業は着実に拡大し、05年度の売り上げは約1200億円に達した。規模はまだ小さいものの、成長率と利益率が高い。最近の営業利益率は10%超に到達し、SI単独の5%を大きく上回る実績を上げている。ただし、保守を含めたSIサービスという括りにすると、NEC全体で05年度は7%、06年度は8%を見込んでいる。

 アウトソーシングが拡大する背景には「ユーザー企業がIT予算の7割を占める保守・運用コストを削減し、新規開発を増やしたい」(瀧澤氏)ことがある。つまり、ユーザーはその効率化を図れるアウトソーシング先を探し求めているわけだ。複数者でサービスを共有して使うASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)に期待するユーザー企業もあり、NECはこれらを含めたサービスへのシフトを図る考えだ。

 もう1つアウトソーシング需要を増大させる要因がある。08年度から施行予定のSOX法(企業改革法)である。ユーザーが自前でハードやソフトなどITインフラに投資すれば、情報システム部門長はその回収あるいは効果を明確にすることを求められる。「ITへの設備投資はリスクになり、制度変更によるアプリケーション変更が頻繁する企業などは自前で構築するより、アウトソーシングやSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を活用しようかとなっていく」(瀧澤氏)。

 こうした展開で、企業ソリューションBUはサービス比率を05年度の20%から1兆円達成時に30~40%に引き上げる。

SIの収益改善

 その一方、SI市場の競争は激化し、単価下落の影響で売り上げは伸び悩み傾向になる。もちろん「SIの管理、審査はしっかりしている」(瀧澤氏)など、SI事業の収益改善に取り組んでいる。パッケージの活用や標準的な仕組みの導入、中国ソフト会社の活用などだ。製造業向けでは立ち遅れていた独SAPのERP(統合基幹業務システム)ソフトの取り扱いも始めた。

 しかも、「今のところSIの仕事は増えており、ソフト技術者が足りない状況になっている。これがネックになり、仕事が取れないのだが、逆に人材不足が人件費上昇を招いている」(瀧澤氏)。その分をユーザーに請求できなければ、SIのリスクが増大することになる。

 それでもNECは「人材不足はここ数年、続く」と予想し、とくに不足するプロジェクトマネジャーの育成に力を注ぐ。上場を廃止し、子会社化したNECソフト、NECシステムテクノロジーの2社がその任に当たる。ただし、「プロジェクトマネジャーは逼迫しているが、一度は丁稚奉公するしかないだろう」(瀧澤氏)と育成には時間がかかるとする。

 「中国という説もあるが、要件定義や契約、マネジメントなどを考えると、中国企業に委託するのはまだ難しい」(瀧澤氏)が、下流工程の中国企業への依存度が高まるのは間違いない。企業ソリューションBUのオフシェア開発は年間40億から50億円に達し、技術者で約1000人になる。日本の10分の1の規模だそうだ。

 NECの企業ソリューションBUはサービス比率を高めながら、SIの地盤を強化する。そんな作戦のようだ。