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 今回は規模見積もりの単位の話をしましょう。「このプロジェクトは何人月」とか「何億円規模のプロジェクト」といったプロジェクトの規模ではありません。これから開発しようというソフトウエアのサイズの話題です。

 皆さんが規模見積もりで最もお困りなのは,「規模の単位を何にするか」ではないでしょうか。規模の単位を選ぶのは簡単ではありません。なにせ相手は,形のない論理の集合であるソフトウエアだからです。

 今まで,多くの単位が提唱されてきました。ステップ数(LOC:Lines Of Code)や画面/帳票数,ドキュメント・ページ数がその代表です。ファンクション・ポイント(FP)数,ユースケース・ポイント数といった論理的に考案されたものもあります。これら複数の単位を組み合わせて見積もる人もいるでしょう。それ自体はよいことですが,軸になる単位は一つに決めておくべきだと思います。見積もり精度を高めるには,実績値や経験則を蓄積することが大事だからです。

 では,どの単位を選べばよいでしょうか?「日本ファンクションポイント・ユーザ会(JFPUG)の副会長」という私のプロフィールを見れば,FP法を推薦すると思われるかもしれません。いや,その通りなのですが,私がFP法を推進するのは理由があります。それは,以下に示す三つの条件を満たしているからです。

【条件1】「作り方」に左右されない値が得られる
【条件2】計測ルールが明確で,ユーザー側とベンダー側の双方で見積もり結果を共有できる
【条件3】見積もりからプロジェクト完了まで測定値に一貫性がある

 実は,この三つの条件を満たすのはFP法しかありません(詳しくは拙著「本当に使える見積もり技術」に書いています)。ですから私は,FP法を推進しようと思っています。FP法に関してあまりよくない印象をお持ちの方もいることは承知しています。ただ,他の単位を利用する場合でも,プロジェクトをコントロールするには上の三つの条件が不可欠です。もし欠けている条件があれば,プロジェクトごとにそれを解決する方法を見積もり段階で考え,前提条件などに反映することが求められます。

 今,プロジェクトが「大きく」混乱する多くの原因は,大幅な規模の増加が伴っていると思います。規模見積もりは,プロジェクトの成功に大きくかかわるもの。ソフトウエアの規模は,成果物スコープ,つまり「何を作るか」に直結する作業です。もちろんこの段階の「要求」はあいまいです。だからこそ,数字を使って規模を表しておくことが大事なのです。そして,この規模は,ベンダーとユーザーで共有し,合意されている必要があります。

 定量化の方法や単位を何にするかという点は,規模見積もりの成功のカギを握っています。まだFP法を使っていない方も,一度目を向けてみてはいかがでしょうか。

編集部からのお知らせ
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