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 私は、10年ほど前からセミナー講師の仕事をしています。今回から、これまで私が経験してきた様々なセミナーの様子を紹介させていただきます。第1回で紹介するのは、つい先日終わったばかりの「教育担当者の会」です。とにかく緊張しました。セミナー会社に仕事を依頼してくださるお客様を前にして話をするのですから。セミナーのタイトルは「基本情報技術者試験合格のための 内定者研修と新人研修 成功の秘訣」です。セミナーの概要をWeb上で再現させていただきます。

 多くの企業様が、内定者研修と新人研修で、基本情報技術者試験の合格を目標に掲げられています。ところが、なかなか合格率が上がらないと悩んでいらっしゃるようです。何が原因なのでしょう。どのような対策をすればよいのでしょう。講師である私の経験に基づいて、あれこれお話させていただきます。よい事例と、よろしくない事例を紹介します。あらかじめお断りしておきますが、よろしくない事例は、本日ご参加いただいた皆様の企業のことではございません。くれぐれも誤解されないようにお願いいたします(これを言っておかないとマズイですね)。

 まず、最近の受講者に触れて感じることです。良い点から見なければいけませんね。最近の受講者は、礼儀正しく、とても良い子です。講師が指示すれば、その通りやってくれます。そして、皆で一緒に行うグループ活動が得意です。私が新人だった頃は、かなりツッパッテおりました。講師を困らせるような質問ばかりしてました。仲間と協力なんてしないで、一人で黙々と勉強していました。そんな一匹狼みたいな人が、最近は見当たりません。

 困ったなぁと感じることもあります。ど根性、ガッツ、野心が、あまりないようです。講師が指示すればやってくれるのに、自ら計画を立てて勉強できない人が多いようです。そして、困ったことに、コンピュータに関する興味が乏しいようです。「君は、コンピュータに興味がないのに、この業界に入ったの?」と悲しくなっちゃいます。皆様の会社では、いかがでしょう?

 良い点は、そのままでいいですね。困ったなぁ...の原因を、私なりに考えてみました。ど根性、ガッツ、野心が感じられないのは、そういう時代なのだから仕方がないのです。昔は「モーレツ社員」という言葉がありましたが、今では死語でしょう。「モーレツア太郎」なんて漫画もりましたね。えっ? 皆さんも、ご覧になってましたか! ニャロメ。ケムンパスでやんす。ぽっくんも嬉しいのココロ(なんちゃって)。

 自ら学習計画を立てられない人が多いのは、計画を立てられるレベルの知識がないからです。たとえば、失礼ながら、皆様がこの場で「医者の勉強をするための計画を立てろ」と言われたらどうします。ほとんど知識がないので、計画を立てられませんね。それと同じことです。

 コンピュータに関する興味が乏しいのも、知識が少ないからです。技術を楽しいと思えるレベルになっていないのです。最近の若者は、皆様が想像するより知識が少ないのです。内定者研修や新人研修の目標に「技術を楽しむ」も入れてほしいと思います。

 「今時の若者は、しょうがねぇなぁ...」などと嘆いていても仕方ありません。彼らに合った形で、上手に教育するしかないのです。

 同じ講師が担当させていただいても、合格率の高い企業様とそうでない企業様があります。基本情報技術者試験には、プログラミング言語やアルゴリズムの問題が出ますので、プログラマ候補を採用した企業は、合格率が高くなります。しかし、同じレベルの人材を採用した場合でも、合格率の高い企業様と、そうでない企業様があるのです。その違いは、何でしょう?

 合格率の高い企業様には、「合格しないとマズイ」という雰囲気があります。先輩のほとんどが合格している伝統があり、「合格しないとこの会社に居づらい」という雰囲気です。そして、合格率の高い企業の教育担当者様は、受講者にも講師にも、とても厳しい。講師が「あの会社に行くときと胃が痛くなる」と感じるぐらいの企業様は、合格率が高いのです。本日は、私の講師仲間が来ておりませんので言っちゃいますが、どうぞ遠慮なく、講師には厳しくしてください。

 合格率が高くない企業様の場合は、この逆です。「落ちても大丈夫だ」という雰囲気があり、先輩の多くが合格していない。30歳を過ぎてるのに、まだ基本情報技術者試験にチャレンジしている人がいたら、新人さんはどう思うでしょう。「新人の内に合格する必要はなさそうだ」と思うはずです。そして、教育担当者様が、厳しくない。「皆さん、がんばってね。るんるん」みたいな乗りになっている。

 よい雰囲気の事例です。内定者研修でも新人研修でも、そのスタートで厳粛な雰囲気のキックオフ・ミーティングを行っています。よく言われることですが、プロジェクトの成功の秘訣は、派手なキックオフ、厳しい進捗管理、そしてささやかな打ち上げです。スタート時に、ビシッとお尻を叩いてあげなければなりません。

 社長にゲキを飛ばしてもらうのも、大いに効果的です。社長が無理なら、その時点で呼べる最も役職の高い人にしてください。私が小学生の頃「先生に怒られるぞ」と言われても「平気だも~ん」と思いましたが、「校長先生に怒られるぞ」と言われると「は、はぁ~」と平伏したものです。新人さんを子ども扱いするわけではありませんが、役職に敏感なのは事実です。「社長が来たんじゃ、これは重大なことだ」と思うのです。

 講師に質問するだけでなく、仲間どうしで教え合う雰囲気を作ることは重要です。休み時間に、仲間どうして教え合っているぐらいになれば、大丈夫です。かなり高い合格率が期待できます。

 進捗管理の手段として、毎日1問、メールで問題を送っている企業様があります。返信しない人には、しつこく督促メールを出します。「厳しいなぁ」という雰囲気だけでなく、教育担当者様がいつも暖かく見守っているのだという雰囲気になります。

 合格したのに何もなし...では、いけません。報奨金を出す企業様もあれば、お金は出さなくとも努力したことを皆の前で大いに誉めてあげている企業様もあります。社内報に載せている企業様も、名刺に書いている企業様も、会社の入り口に張り出している企業様もあります。どれも、いい雰囲気です。合格できなかった人も、「次は頑張るぞ!」という気持ちになります。

 今度は、よくない雰囲気です。どれも、事例です。セミナーは、会議室で行われることが多いのですが、開始時間になってからドタバタと机をスクール形式に並べ換えている企業様がありました。15分遅れぐらいで、セミナー開始となります。これでは、セミナーが大事なものという雰囲気が、なくなってしまいます。

 セミナーの前に、受講者の知識を十分にチェックしてください。こんかことがありました。「試験直前Java過去問題1日セミナー」ということで、ある企業様におじゃましました。たった1日のセミナーですから、きっとJavaの文法は一通りわかるのだろうと思い、過去問題を6問ぐらい用意して行きました。ところが、セミナーの冒頭で受講者に確認したところ、ほとんど全員がJavaが初めてだったのです。「どひゃあ! 準備した教材が使えないよ!」それでも、何とかセミナーを成り立たせるのが、講師の技量ですが、事前に受講者の知識がわかっていれば、もっと有意義なセミナーにできたはずです。教材を与えたから、理解しているはずと決め付けてはいけません。なかなかやってくれないものなのです。セミナー前に、まったく何もやっていないという人もいます。

 わかないことを隠す雰囲気はいけません。質問も出ないし、お互いに教えあう雰囲気にもなりません。わかったふりのまま受験させて、50%ぐらいは合格するだろうと思っていたら、結果は惨敗なんてことがあります。これに対しても、とておきの対策があります。後で、お教えします。

 いろいろと言ってきましたが、よい雰囲気作りをするには、教育担当者である皆様と私たち講師の協力が必要です。セミナーの前に、綿密な打ち合わせをしましょう。「わざわざ来てもらっては申し訳ない」などと思う必要はございません。どうぞ、遠慮なく講師を呼び出してください。講師は、皆様のお考えと、受講者の現状の知識レベルを知りたいのです。皆様と一緒に、試験合格に向けての作戦会議をしたいのです。できるだけ多くの人に合格してほしいと思う気持ちは、講師と皆様で同じです。

 内定者研修のポイントをお話しましょう。重要なポイントは、2つあります。内定者は、自宅で自習するわけですが、そうであってもグループを作ってあげましょう。グループ単位で進捗管理します。進捗が遅い場合、個人を責めると角が立ちますが、グループ単位で叱れば穏やかです。内定辞退なんてことにもならないでしょう。グループは、楽しいものです。仲間と楽しく一緒に入社してくれます。私は、よく後にあるスライドの内容先にを言ってしまうのですが、よい雰囲気作りのポイントは、なんたって「グループ活動」なのです。

 もう1つのポイントは、プログラミング言語の学習を優先することです。内定者期間は、午前問題の範囲を勉強させ、入社してからプログラミング言語を勉強させている企業様が多いようですが、それでは間に合いません。基本情報技術者試験の受験日は、4月の第2日曜日なのですから。それに、まったくプログラミング言語の経験がない人に、いきなり2進数や論理演算を勉強させても面白くないはずです。

 基本情報技術者試験では、プログラミング言語としてアセンブラ、COBOL、C言語、Javaのいずれかを選択できます。プログラミング言語の経験がない人には、アセンブラを強くお勧めします。アセンブラは、コンピュータのハードウエアとソフトウエアの知識をつなぐ架け橋となるものです。アセンブラを学ぶと、コンピュータの仕組みが見えてきます。仕組みがわかると楽しくなります。アセンブラを学べば、2進数だって論理演算だって興味を持って勉強できます。コンピュータの中身がそういうものだとわかるからです。

 4月になり、いよいよ入社です。入社後の新人研修のポイントを説明しましょう。セミナー実施の前に、内定者研修の結果をもとに、もう一度講師と打ち合わせをさせてください。くどいようですが、「やっているはずだ」「理解しているはずだ」と思い込んではいけません。

 入社後の集合研修となれば、ますますグループが効果を発揮します。テーブルを向かい合わせにして、4~5人でグループを作ってください。グループ名、リーダー、サブリーダー、書記係、発表係を決めます。これらを決めることが、グループの最初のディスカッションになります。グループなら、長いセミナーでも眠くなりません。もしも、ウトウトしている受講者がいたら、「おい、○○グループのリーダー。彼を起こしなさい!」とグループ単位で叱れます。誉めるときもグループ単位です。グループごとに楽しく競うようになります。グループの成績を上げるために、お互いに教え合うようになります。

 質問もグループ単位でまとめてもらいます。全員に向かって「何か質問ありますか?」と聞いても、「自分一人のためにセミナー時間を使っては申し訳ない」とか、「こんな質問をしたら恥ずかしい」といった理由で、なかなか手を挙げてくれません。「サブリーダーさん、皆の質問をまとめてください」と指示すれば、バンバン質問が上がります。

 わからないことを恥ずかしがらせない秘策は、ミニテストを実施して、名前は言わずに全員の得点を発表してしまうことです。「わからないのは自分だけだろう」と思い込んでいるから、恥ずかしがるのです。全員の得点を発表してしまえば、「な~んだ、自分と同じレベルの人もいるんだ」と安心できます。中には、スバ抜けて優秀な受講者も数名いるものです。ミニテストの高得点者は、名前も発表します。「第1位、90点、○○君」「第2位、80点、△△君」と発表すれば、高得点者は、もっともっと頑張ってくれます。

 先ほど、キックオフ・ミーティングの重要性を話しました。内定者研修の場合、内定式の中でキックオフ・ミーティングを実施する企業が多いようです。私が、キックオフ・ミーティングでお話させていただいていることを紹介しましょう(※この内容は、次回紹介させていただきます)。

 それでは、まとめです。基本情報技術者試験合格に向けて、よい雰囲気作り、よい環境作りをしましょう。グループ活動、キックオフ、テストの得点発表...どれも効果的です。皆様に、少しでもアイディアを提供できたなら幸いです。ご清聴ありがとうございました。