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 最近では、入社前年の10月に内定式を行い、その日から内定者教育をスタートする企業が多いようです。内定者期間に通信教育を受けさせ、入社後の4月に実施される基本情報技術者試験の合格を目指すのです。私は、これまで何度か内定式に呼ばれ、基本情報技術者試験に合格する意義を熱弁してまいりました。内定者に合格する意欲を持たせるキックオフミーティングです。その概要を、Web上で再現させていただきます。

 皆さんの中には、「なぜ基本情報技術者試験に合格しなければならないのか?」「試験に合格しないと仕事をしてはいけないわけじゃないじゃないか?」と思っている人がいることでしょう。これから、皆さんの疑問を晴らさせていただきます。基本情報技術者試験は、ITエンジニアが基礎知識を学ぶ絶好の題材です! 基礎を学ぶことは、とっても大事なことです! などと、45歳の若輩者の私が言っても、あまり説得力がないかもしれませんね。

 それでは、この写真をごらんください。左側は、私です。右側の人は、誰かご存知ですか? この人は、甘利直幸先生といいます。今から50年ほど前、はじめて日本の企業にコンピュータシステムを導入した人です。日本のITエンジニア第1号といえるでしょう。今年で90歳になられます。皆さんの大先輩です。

 甘利先生には、雑誌の取材でお会いし、いろいろなお話を聞かせていただきました(IT Proに甘利先生の取材記事があります)。取材の最後に、若きITエンジニアへのアドバイスをお願いしました。甘利先生は、「遠回りだなどと思わずに、若いときにしっかり基礎を学んでください」と言いました。私は「先生、なぜ基礎を学ぶ必要があるのですか?」と聞きました。すると甘利先生は「基礎を知らないと長いエンジニア人生で大いに損をするからです」と答えました。90歳の人から「長いエンジニア人生」と言われ、ズッシリとした重みを感じました。私の年齢は、まだ甘利先生の半分にしかなっていません。皆さんは、どうでしょう。やる気になれば、この先70年ぐらいITエンジニア人生があるのです。

 取材ですから、私は、「どうして損をするのですか?」としつこく質問を続けました。甘利先生は「それはね。新しい技術を理解するのに時間がかかるからです。コンピュータの世界では、続々と新しい技術が登場し、常に勉強の繰り返しです。基礎があれば、勉強時間が少なくて済みます。短時間で技術の本質を見抜き、すぐに実践することができます」と答えました。私は「その通りですね!」と大いに感動しました。

 コンピュータの世界では、続々と新しい技術が登場し続けています。ITエンジニアは、常に勉強、勉強の繰り返しです。甘利先生がおっしゃるように、技術を理解するのに時間がかかっていては、間に合いません。やがて「もう着いて行けない」なんてことになってしまでしょう。

 そうならないように、しっかりと基礎を学んでおくのです。基礎は、それほど大きく変わるものではありません。新しい技術を「わかった」と感じるのは、自分の持つ基礎知識とつながったときです。どの分野に属する技術であり、これまでの技術に比べて何が新しいか、何が便利なのかがわかったときです。

 それでは、ITエンジニアの基礎知識とは何でしょう? ジャーン、この図をごらんください。これは、情報処理技術者試験の試験区分を示したものです。試験区分を見ると、ITエンジニアに必要とされる知識の分野がわかります。縦長になっているのが、専門分野を極めるための試験です。「データベース」や「ネットワーク」などがありますね。様々な試験の一番下に土台のように幅広く横たわっている試験があるでしょう。それが「基本情報技術者試験」です。どう見たって、これが基礎でしょう。

 基本情報技術者試験は、ITエンジニアに必要とされる基礎知識を幅広く網羅したものです。試験の勉強をすれば、知識の範囲と、それぞれの基礎が何かがわかります。甘利先生がおっしゃっていた「若いときにしっかり基礎を学んでください」のために、格好の題材なのです。

 どうしたら試験に合格できるでしょう? 答えは、簡単です。勉強すればいいのです。以上! それでは、これで私のセミナーを終わります...。というわけにはいきませんので、皆さんを「勉強しよう」という気持ちにさせるお話をしましょう。

 私の知り合いに、とても優秀なプログラマのO君がいます。O君は、自分でもプログラミングに関して相当の自信を持っているようです。ところが、O君は、ここ5年ぐらい、ずっと基本情報技術者試験を受け続けています。つまり、落ち続けているのです。自分に自信があるので「勉強しなくても、いつか合格できると」思っているのでしょう。でも、合格できません。それは、知識に偏りがあるからです。ちゃんと勉強して自分に足りない知識が何かを知り、それを補わなければ、この先もO君は合格できないでしょう。もしも皆さんが「勉強しなくても、仕事をしていれば自然と基礎知識が得られる」と思っているなら、それは大きな間違いです。

 基本情報技術者試験に連続して5回落ちたYさんという人もいます。Yと言ってもYAZAWAではありませんよ(念のため)。すでに現場でバリバリ活躍していたYさんは、仕事の合間に勉強していたのですが、どうしても合格できません。ほとほとイヤになった頃、人間にはこういう時が来るのですね、Yさんは、鏡に向かって自問自答しました。「Q:なぜ自分は合格できないのか?」「A:落ちても悔しくないからだ」「Q:なぜ悔しくないのか?」「A:一生懸命勉強しなかったからだ」Yさんは、答えを見出しました。

 次の試験でYさんは、これまで以上に時間を割いて、一生懸命勉強しました。ところが、また落ちてしまいました。結局、連続して6回落ちたわけですね。Yさんは、悔しくて、悔しくて、その次の試験では、もっともっと勉強して見事に合格しました。その後は、次々と上位の試験を受け、現在では「システム監査技術者試験」まで合格しています。試験区分の最上位に位置するといえる試験に到達したのです。素晴らしい!

 Yさんから「矢沢さんは、どの試験に合格しているの?」と聞かれたので、「お陰様で、第2種情報処理技術者試験と第1種処理技術者試験(それぞれ、現在の基本情報技術者試験とソフトウエア開発技術者試験に相当する)に1回で合格しました」と答えると、「矢沢さんは、それ以上伸びない!」と断言されてしまいました。落ちる悔しさを知らない人は、伸びないというわけです。確かに、その通りだと思います。

 試験を受ける人は、「もしも落ちたらどうしよう?」と弱気になってしまうものです。どうぞ、心配せずに一生懸命勉強してください。試験に落ちても、悔しさがあれば次につながります。次につながれば、決して失敗ではありません。これ以上伸びない私が言ったのでは、あまり説得力がないかもしれませんが...。

 試験に合格すると、どんないいことがあるのか? これも、皆さんが疑問に思うことでしょう。勉強が辛くなると「合格しても意味がない」と決めつけ、それを逃げ口上にするかもしれませんね。いいですか。試験に合格することには、絶対に意味があります。それは、ITエンジニアとしてスタートを切れることです。試験合格は、ゴールではなくスタートなのです。

 たとえば、こんな場面を思い浮かべてください。皆さんの上司が、「次のプロジェクトには、今年の新人を何名か入れてみよう」と考えたとします。誰が選ばれるでしょう。新人には、まだ実績がないので、誰でも同じといえば同じです。そうなると「おっ! この新人は、基本情報技術者試験に合格している。一生懸命勉強したガンバリ屋さんなのだから、プロジェクトに入れて鍛えてあげよう」ということになるでしょう。

 基本情報技術者試験に合格したからといって、いきなりバリバリ仕事ができるわけではありません。プロジェクトに参加後は、これまで以上に勉強、勉強の繰り返しです。それがITエンジニアというものです。ただし、他の新人より先にITエンジニアとしてスタートを切るチャンスが得られたのは、試験に合格したからこそです。合格した皆さんは、自信を持ってスタートできるはずです。

 IT業界に限らず、様々な業界で認定試験があります。試験を受ける人は「試験を受ける目的は、自分の仕事の幅を広げるためだ」と言います。新しい仕事をスタートさせるチャンスがほしいのです。たとえば、TVドラマの「Dr. コトー診療所」には、アヤカさんという看護士さんが登場します。アヤカさんは、試験を受けて新たに介護士の資格を取ろうとしています。なぜでしょう。自分の仕事の幅を広げたいからでしょう。これは、IT業界でも同じです。

 それでは、皆さん。心の中で、自問自答してください。基本情報技術者試験に合格したいですか? 絶対に合格したいですか? 必ず合格しますね? 「仕事が忙しくて勉強できなかった」などと言い訳しそうな自分に負けないですね? 社会人になるのですから、仲間と協力し合って勉強を続けられますね?

 OKです。その気持ちがあれば、必ず合格できます。 試験当日まで、一緒にがんばりましょう。さあ、全員、起立してください。勉強がんばるぞ。せ~の「えい・えい・お~!」拍手! 拍手! 拍手!