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 前回まで,約2カ月にわたって文章術の話をしてきましたが,今回から,新シリーズとして,私の専門である人材指導をテーマとした「5分で人を育てる技術」を紹介していきます。

 私は,長い間人材指導に携わってきました。そこで経験したノウハウ,テクニックのうち,ある程度効果があって,かつ簡単にできるものを選んでご紹介します。

“説教”では問題は解決しない

 私が行っている人材指導では,「本人の思考・行動パターンを変える」というステップが大きな意味をもちます。器が小さいと「より多くの水」は入りません。

 まず,器を大きくして,成長するための準備を整えないといけないのです。それは,考え方を変えさせ,行動の習慣を変えさせるということです。

 とはいうももの,そんなに簡単にはいきません。人が行動を変える・・・今まで慣れ親しんできた「習慣」を変えることはかなり困難を伴います。人は脳の支配から逃れることはできません。

 人間の脳は,効率よく行動するようにできており,新しいこと,難しい判断を必要とすることを嫌い,反復的継続行動を好む傾向があります。このため,人はなかなかそれまでの思考・行動パターンを変えることができないのです。

・あなたに部下がいるなら,思い当たるふしはありませんか?
・新しいことを頑なに拒む部下や,新しいことから逃げる部下はいないでしょうか?
・「自分はこれまでこの方法でやってきたから・・・」と言い訳する部下がいるのではないでしょうか?

 私にはいました。それも数多く。もう,たくさんこういう人を見てきました。昔,まだ私が若かった頃は,こういう部下たちをよく責めていました。「言い訳するな」,「チャレンジしなさい」,「後ろ向きになるな,前を向いて新しいことを考えていけ」・・・・。

 しかし,なかなかうまくいきませんでした。全然効果がないので,私の彼・彼女らに対する話はだんだん長くなっていきました。毎週一日チームのミーティングがあったので,そこで,部下を並ばせて話していたのです。

 最初は,短かったのですが,だんだん長くなっていきました。そう,2時間くらいはザラでした。それでも,部下たちは変わりません。そんなあるとき,宴会がありました。そして,酔っぱらった部下は私に向かってこう言いました。

「説教は止めてください・・・みんな,聞いてませんから・・・・」

“論理的な5分”

 そうです・・・みんな聞いていなかったのです。私は怒りを押し殺して,作り笑顔で部下にもっと詳しく教えてほしいと頼みました。

 彼は,「厳密には聞いていないのではなく,聞いていても頭に残らない」と言いました。「その場ではそうだと思うけれど,そのうち忘れてしまう」と言うのです。

 私は,自分の上司との関係を思い出し,「それもそうだ」と意外に素直に納得しました。そして,いろいろな方法を試し,効果的と思う方法が残りました。

(旧)仕事上,うまくいかなかったことを分析し,まとめて長い時間を使って説明する方法(影で部下に説教と呼ばれていた方法)

(新)問題の発生の都度,「何が悪いのかを論理的に指摘し,どうしていくべきかを論理的に説明させる」方法

 (新)の方法を行うようになってから,人がよく育つようになりました。失敗の都度,感情的でなく,論理的に議論するので,上司と部下の双方に納得感が出ることがうまくいく大きい理由です。

 でも,一口に論理的と言っても,「どういえば論理的で,うまくいくのか」それが分からない人も多いはずです。そこで,このシリーズでは,私が普段どのような5分間指導を行っているのかを紹介していくことにします。

 次回は,「抽象的なことばかり言う“理解が浅い部下”」の指導法をご紹介します。

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