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 今回は,見積もりを実施するうえで常に意識してほしい,三つの心構えについて述べてみます。

 最初は「すべての情報やデータ,自らのノウハウを駆使して見積もろう」ということです。情報やデータは社内に蓄積されたものだけではありません。社外にも有効な情報はたくさんあります。どこにどんな情報があるのかを常にキャッチできるように,アンテナを張っておくことが大切です。

 二つ目は「ソフトウエアを作るのは人間である。暗黙知に依存する領域は残る」ということです。見積もりの仕掛けを高度化しても,すべてを解決できるわけではありません。失敗から学ぶこともあるでしょう。ソフトウエアの見積もりで,誰が算出しても同じ結果になるなどという時代はおそらく来ません。個々人の知識や経験が問われるのです。勘や経験を使う場面はこれからも必ず残るでしょう。

 最後は「見積もり作業の無責任な丸投げはプロジェクトの放棄に等しい」ということです。見積もりの良し悪しで,プロジェクトの成否の大部分が決まるというお話は何度かしました。厳しい言い方ですが,見積もりを放棄するようなエンジニアは,プロとして失格です。せっかく引き合いを出してくれたユーザーの期待を裏切る行為と思ってください。しかし,現実には「見積もりは営業がやるもの」と考えるエンジニアはまだまだいます。

 以上の3点を心掛けて「よい見積もり」を作成しましょう。見積もりに関する解説書には,あまりこういうことは書かれていません。ですが,この心構えがあるとないとでは,見積もり精度は間違いなく変わってきます。何よりも,見積もりを受け取る側に対する誠意が違います。皆さんは,こうした「心構え」を持っていますか?



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