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先日、業界の先輩、後輩、僕の3名で食事。
先輩は中堅どころのソフトハウスの役員。
後輩は大手外資パッケージベンダーの営業部長。

10年以上のお付き合いの3人が久しぶりに食事会をした。
先輩「最近は人がいない上に仕事が多くて・・・断るのが大変だよ」
ゆの「そういうとき先輩は、なにをもって客の優先順位を決めるんですか?」

この先輩は非常にキチンとビジネスをこなす方。銭金では動かない人で大手だろうが気に入らない仕事は平気で断るという一本スジが通った人物。それだけに、なにで顧客(ここではSEを供給する先)を選別するのか聞いてみたかったわけだ。

「そりゃ今は、金額よりも先の予定について説明できる客だよ、でもなあ・・・」
先輩が言うには3ヶ月、半年のフォーキャストがちゃんとできるところだと安定し、単価がどうのというよりもそういうところを優先して付き合いたいとのこと。しかし、その話には続きがあった。
先輩「最近の元請はエンドユーザーのことをさっぱりつかんでないから、今月の仕事もわかんないんだよ」
ゆの「それは営業が頼りないってことですか?」

ここで後輩が絡んできた。彼はSI営業を10年以上やっており、その後パッケージベンダーに転職した男だ。
「僕らもそうです。SIerが顧客の予算をつかんでこないから、ライセンスを増やすとか、別部署にサーバーをたてるとかがさっぱりわからんのです」

プライムコントラクタの営業の仕事は、お客様のITに関する年間投資計画をキチンとつかむことから始まる。それを何割、確保できるか、いわゆるインハウスのシェアアップがKPIになり、その積み重ねが自分の個人予算計画の基礎数値になるのだが・・・。

後輩「それができるのはうちのパートナーではA社さんだけなんです」
彼が言うには、A社の営業は顧客の年間予算をキャッチして、そこでのシェアアップを計画し、パッケージベンダーにそのための戦略を相談しに、しょっちゅう来るとのこと。
「さすが世界のA社」
「すごいね。営業力あるね」
「そういうのができない会社に限って値引き交渉ばっかりですよ。僕らを業者扱いだ」

後輩の会社は外資系であり、本国での販売戦略や戦術については相当自信があり、日本でも活用してほしいのだが、そういう話を一切聞きに来ないで電話で値引の話しかしないパートナーが多いという。

「こっちも全く同じことだよ」
「じゃ、ナカヌキしますか」
「そうしようか」
「顧客の年間投資計画がわからない営業。次の開発予定を教えてもらえないプロマネ。そんな人材ばかりのプライムコントラクタをナカヌキしよう。そうすれば顧客に安価に安定した人材を提供できるではないか。我々の利益も増えるぞ」
「おう、それはいいアイディアだ」
「・・・でもそんなことみんなずっと昔から考えていて、それでもなかなか実現しないことなんだってわかってるんですよね」
「そうだよな。プライムには逆らえないよな」

そう言って3人で笑いあった。

さて、80年代に「冬の時代」と呼ばれ大手卸売業が倒産していった際に学んだことは、「つきつめるところ卸売業の機能は金融と在庫である」ということではなかったか。「多品種少量」を合言葉に商品開発や物流が改革された。それを情報技術が加速させた結果、産地と消費地が近くなった。そのときに営業力を過信していた卸売業は廃業に追い込まれた。

営業力を低下させたプライムコントラクタはこれに似ていないか。協力会社のリスクをかぶり人材の安定供給を目指すか、それとも大規模長期開発に耐えられる資金繰りを持つ金融力を増強するか? そうでなければ、いまこそ営業力を磨かないと「ナカヌキ」の時代はそこまで来ているのではないかと感じた新橋の夜だった。

先輩、松坂牛の網焼き、ごちそうさまでした。