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 本稿の第一回では,要求開発の四つのフェーズの一つである立案フェーズに注目し,ビジネスの本質レベルでの可視化を行う「概観ビジネスモデリング」について述べました。第二回では,概観ビジネスモデリングにおいて有効な業務フローの表記法の例として,LFD(Lane Flow Diagram)を紹介しました。

 Openthologyは,要求開発の実践のために有効な手法を「プロセスセル」という単位でプラグインすることを考えています。LFDは,「LFDによる概観ビジネスモデリングプロセスセル」として,立案フェーズにプラグインされています。今回は,Openthologyのプラグインについて紹介します。

プロセスキャビネット

 第一回で述べたように,Openthologyでは,要求開発の各段階を「フェーズ」と呼び,「準備」「立案」「デザイン」「シフト」の四つのフェーズを設定しています。そして,フェーズごとに行う作業を,その目的ごとにPlan,Do,Check,Act(PDCA)に分類しています。これは仮説と検証を繰り返すという要求開発の考え方に則したものです。

 つまり,Openthologyの基本的なプロセスは,フェーズを横軸に,作業領域を縦軸にした2次元の表として表現できます。Openthologyでは,この2次元の表をフレームワークとし,書類入れのロッカー(キャビネット)に見立てて「プロセスキャビネット」と呼んでいます。

 キャビネットの各引き出しに収められる書類やフォルダが,具体的な作業項目やモデリングなどの各種の手法になります。言い換えると,プロセスキャビネットは,Openthologyのコンテンツが整理/格納されている知識ベースなのです。

プロセスセル

 また,Openthologyでは,プロセスキャビネットの中に入っているアクティビティをPDCAという単位でより使いやすくするために,「プロセスセル」という概念を導入しています。

 プロセスセルは,要求開発で行うべき作業をもれなくきちんと実施するために,プロセスキャビネットから基本となるアクティビティを抜き出し,標準的パターンとしてまとめたものです。「ベースプロセスセル」「サブプロセスセル」「プラグインプロセスセル」の三つがあります。

 ベースプロセスセルは,各フェーズでコアとなるプロセスです。「準備」「立案」「デザイン」「シフト」の四つのベースプロセスセルを連携させると,要求開発全体の軸となるプロセスができあがります。

 一方,各フェーズには,チーム編成,要員の教育といった個別の目的ごとにサブプロセスセルが用意されています。サブプロセスセルには,要求開発プロセスへの組み入れが必須のものと,オプションで選択できるものがあります。

 そして,その他のプロセスセルとして,要求開発に役立つ手法をPDCAという単位でプラグインしたプラグインプロセスセルがあります(図1)。


図1 プラグインプロセスセルを使用した要求開発プロセスの例
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 例えば,LFDによる概観ビジネスモデリングを例にとると,

    Planでは,
  • 概観ビジネスモデリングとしてのDoの成果物の定義
  • 成果物の評価方法と完了基準の決定(集中検討会の開催時期,最終評価者の決定など)
  • ビジネスモデリング計画の策定(スケジュール,体制の検討など)
    Doでは,
  • 成果物の作成(Planで決めたことを基準に達するように実施)
  • ビジネス・ユースケース図,ステークホルダーリスト,個々のサービスの概観ビジネスモデル(LFD,モックアップ)の作成
  • 集中検討会向け検討課題リスト作成
    Checkでは,
  • 集中検討会の開催
  • Doの成果物の評価
    Actでは,
  • 集中検討会での不適合事項の是正
  • その時点でできる改善の実施
をそれぞれ行います。このPDCAをプロセスセルとしてプラグインしています。

 Openthologyのプラグインの試みは,まだ始まったばかりです。今後も,要求開発の現場で実践されている様々な手法や工夫といった英知がプラグインされ,Openthologyがより「役に立つ」方法論となっていくことを期待しています。

(野田 伊佐夫=要求開発アライアンス 執行委員長)