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 11月の第4木曜日はThanksgiving Day(サンクスギビング・デイ,感謝祭)。元々イギリスの収穫の祭りでしたが,アメリカでの慣習は1620年メイフラワー号で到着した移住者のピルグリム達によってもたらされたと言われています。

 アメリカ先住民のインディアンのSquanto(スクワント)族は,この移住者達にウナギ漁やモロコシ栽培を教え,通訳をして助けてあげました。インディアンの支援がなければ,新天地で生き延びることはできなかったであろうピルグリム達は,アメリカでの最初の収穫をスクワント族と一緒に祝いました。これが最初のThanksgivingだと言われています。

 伝統的なThanksgivingの御馳走(Feast)は七面鳥,インディアンコーン,パンプキンパイ等々。その他にもたくさんの家伝のお袋の味が食卓に並びます。

 現在のアメリカのThanksgivings Dayは,家族や親戚一同が集まる慣習はちょうど日本のお盆のような感じで,クリスマスに勝るとも劣らない祭日です。全米で民族の大移動が起こるThanksgiving Dayの前日は,1年で一番の帰省ラッシュの日となります。

 ThanksgivingはHoliday Seasonの始まりを告げる日。本格的な冬の到来を意味する日でもあります。クリスマス商戦はThanksgiving Day翌日の金曜日からスタートし,小売業ではこの日の客足数が年間最大だとか。このデパートや有名専門店の混み方は狂気の沙汰と言っても過言ではないほどです。そして12月に入ると,ショッピングモールではサンタの膝に載って写真を撮ってもらう子供の長い列ができるのです。

 Thanksgiving Dayの翌日が買う方の狂乱なら,クリスマスの翌日は返品の狂乱。そう,もらったプレゼントを返品して自分の好きな品物と交換してもらったり,返金してもらったりするのです。もちろん,売れ残り商品が大幅値引きになるバーゲンセールを狙ってショッピングに出かける女性群も少なくないのですが,この「返品狂想曲」の凄さは殺気立っているのですよ。日本の贈り物の習慣はアメリカ人にとっては不可解に映るらしいですが,このクリスマスプレゼントの返品は日本人にはしっくりこないです。

 Thanksgiving,会社や友人同士のクリスマスパーティ,家族が集まるクリスマス,そしてNew Year's Eveと,御馳走を食べる機会が続くHoliday Season。ひと月前はハロウィーンのカボチャを売っていた空き地にはクリスマスツリーが並び始めます。玄関にリースを飾ったり,電飾をつけたりと,年の瀬が近づいているのを感じます。

「絶対に通じない」日本語的発想の英語

 さて,Thanksgivingの話しはこれくらいにして,そろそろ本題に入りましょう。

 普段は様々なIT関係のプロジェクトに携わっている私ですが,近年の日本人の英語力の向上には目を見張るものがあります。資料を英文で用意したり,英語でプレゼンしたりする人も増えました。多少の文法的なミスなど全く気にする必要はないと思います。でも時々「これは絶対に通じない」という日本語的発想の英語に出くわすことがあります。今回は,そんな表現をいくつか拾ってみました。

(1)意味を誤っている単語

SIer: 日本語では「SIヤー」とよく言いますが,英語ではシステムインテグレータ(System Integrator)と言わなければ通じません。特にSIerと書くと,SLERと勘違いされ,ますます意味が通じなくなります。

EmergingとEmergency: 「台頭しつつある」という意味で,Emerging marketという表現でよく使われます。中国,インド,ブラジルなどが新市場として注目を集めているのですが,このemergingがemergency(緊急)と混同されているケースを時々見かけます。

Image: 日本語でよく使われている「概念」というニュアンスはありません。従って「サービスイメージ」とか「イメージ写真」とかいう表現は英語圏では絶対に通じません。観光案内パンフレットなどで写真の下に「イメージ」と書かれているのをよく見かけますが,「広告している場所と直接関係がある写真ではありません」ということを言いたいのだと思いますが,そのような場合,英語ではどこの写真かを明記するか,もしくは場所を特定せずにその写真の撮影者の名前だけを付記しています。「サービスイメージ」はservice conceptと訳した方がよいでしょう。

Service Menu: 「サービス・メニュー」は,まず通じません。単純にServicesとかfeaturesと言った方がよいでしょう。

DegradationとRegression: ソフトウェアのプログラムコードに手を加えると,それまで正常に動作していた機能がうまく動かなくなることがあります。これをRegressionというのですが,なぜか日本人はほとんど全員が「デグレ」と言う。デグレと言うと,Degradation(劣化)のことを指し,本来は性能劣化という時に使う単語です。

(2)発音を誤りやすい単語

Authentication: 認証という意味の「オーセンティケーション」。RadiusやAAAサーバーがよく使われます。なぜかこれを「オーセンティフィケーション」と言う日本人が少なからずいるのです。

Electronic commerce: 最近はあまり見かけなくなったECですが,以前,これを「エレクトリック・コマース」と言う人がよくいました。正しくは「エレクトロニック・コマース」。ホームエレクトロニクスを言い間違えることはないのに,電子商取引に限って「エレクトリック」となるのです。エレクトリック(Electric)は電気です。

Bandwidth: 帯域という意味で,発音は「バンドウィドゥス」となりますが,これを「バンドワイド」とという日本人がとても多いのです。Widthは非常に発音しにくい単語です。音節が一つしかないので,ウィにアクセントを置いてWidをイメージしながら発音すると発音しやすくなります。

 他にも,通じないわけではないけれど,奇妙に映る表現もあります。

 例えば,2006年第1四半期を表すのに,グラフなどで「061Q」と書かれていることがよくあります。これでは「61四半期」と勘違いされてしまいます。「06Q1」と書けば混乱はありません。

 同様に,「350M$」と貨幣単位が金額の後に来るのも違和感があります。「$350M」と書いた方が英語では自然です。ついでながら,万,億という単位が使われているグラフを英訳する時には,もし可能であれば単位を千,100万,10億に変換した方が英語圏では通じやすくなります。

 皆さんの中にはバグ報告で苦労されている方がいらっしゃいませんか?不具合や誤動作の説明を的確に英訳することはけっこう難しいことです。次回はバグDBについて触れてみたいと思います。


図1:「2005年第1四半期」を「2005年1Q」と英訳したグラフの例。「05Q1」と書くとわかりやすい
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図2:縦軸の単位が「万」のまま英訳されたグラフの例。単位は,千,100万,10億に変換した方が英語圏では通じやすい
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