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 世間では今の景気が,ついに戦後最長の「いざなき景気」に並んだか?越えたか?と取りざたされています。日本市場の株価も一時の不穏な下落から持ち直し,ビジネス誌以外の一般的な雑誌でさえ,株式の特集で賑わっています。

 しかし一方で,最近お会いした親しい経済紙の記者や信用調査機関の調査マンは,倒産件数の増加など不吉な兆候の数々について話をされていました。たしかに,1990年には「いざなぎ越え」が囁(ささや)かれながらも,バブルが崩壊したのです。その時,私は証券会社のファイナンシャル・プランナー(FP)養成者として暴落の現場に立ち会いました。ですから「いざなぎ越え」と聞いただけで,思わず不安を覚えずにはいられません。

 そんな矢先,尊敬する投資家にしてストラテジストであるY&Yコンサルティングの稲葉 喜一さんが,中京大学で「個人の国際分散投資」について特別講義をされました。その内容が「10日間で学ぶ個人投資家の国際分散投資」というブログでひそかに無料公開されています。

 そこには,マスメディアや投資向けの書籍で受けそうな「おいしい話」や「儲かる個別銘柄」のたぐいは書かれていません。そのかわり,情報が限られた個人でも投資リスクを上手に管理できる投資哲学がわかりやすく書かれています。

自ら投資家にして元日米証券会社の経営者の知見

 おそらく「10日間で学ぶ個人投資家の国際分散投資」のブログを見ただけでは,ふくろうこと稲葉さんのプロフィールが不十分で不安に思う方もいらっしゃるでしょう。

 そこで,稲葉さんが代表を勤めるY&Yコンサルティングに書かれたプロフィールをご紹介します。

 1970年 東京大学卒業
  同年 日興證券入社
 1976年 米カリフォルニア大学バークレー校にてMBA(経営学修士)取得
 1990年 日興国際投資顧問(株)入社,年金運用業務の開発
 1993年 (株)FP総研設立に参画
 1995年 日興国際投資顧問(株)取締役就任
 1998年 日興アセットマネジメント 常務取締役
 2001年 日興アセットマネジメントを退社し,Y&Yコンサルティング設立 
  現在 日本株・米国国債・米国住宅抵当債券・米国不動産パートナーシップ・
     日本,韓国ベンチャー企業etcへの投資,ヘッジファンド投資,
     海外プライベートバンク口座開設および各種運用を手がけ,
     グローバルな分散投資を手がける。  

 稲葉さんが日興證券の社長室で経営企画を担当されている時,現FPアソシエイツ&コンサルティング代表取締役の神戸孝さんの下,FP業務のシステム企画スタッフとして,私は日興證券に入社しました。そこで,未曾有の株高とバブル崩壊とを続けざまに目の当たりにしたのです。その時,証券会社のスタッフはもちろん,多くの高名な経済評論家やアナリストが暴落を予見できなかったことに,私は大きなショックを受けました。

 そんな有頂天な気分と絶望感を味わった中で,稲葉さんから「儲けるための個別銘柄投資」よりも「損を回避するための国際分散投資」が重要であることを教わったのです。

 稲葉さんは,証券会社で出会った方の中でも特別な方でした。

 何よりお父様の代からの証券投資家であり,ご自身もご家族の資産運用を司る責を負う立場だったのです。お客様からお預かりしたお金を運用する視点に加えて,投資家としての心得や実感をお持ちでした。

 加えて,社長室の要職にあって,海外の金融機関との提携や経営なども担当されていました。日本の証券会社や投資顧問会社に加えて,外資系金融機関の視点や行動様式も理解されていたのです。

 そして,投資顧問会社の役員を勇退されたあと,これまで培った見識を生かして,マイペースで富裕層向けの高度な分散投資のアドバイスをされています。その一方で,個人の投資家教育のために,ネットを通じて無料で情報発信も続けていらっしゃるのです。

幻の本「証券会社が教えない危ないネット取引上手いネット取引」

 今をさかのぼる2000年に,元上司の稲葉さん神戸さんとご一緒に,一冊の投資教育本を共著で書く機会がありました。

 その書名は「証券会社が教えない危ないネット取引上手いネット取引」です。

 ちょうど,世の中にネット証券会社が出てきたころで,日がなパソコンの前で株式の売買を繰り返すデイトレーダーが注目されてきたころでした。

 稲葉さんはじめFP総研の有志がお勧めしていた「長期視点の国際分散投資」の正反対の考えともいえる「超短期視点の個別銘柄ネット売買」に多くの人が手を染めることを危惧して書いた本でした。

 残念ながらこの本は絶版になってしまいました。一部の内容は古くなってしまったかもしれません。しかし,そこに書かれた基本的な投資哲学は変わりありません。

 ですから,今年の初夏に日本の株式市場が大きく下げた時も胸が痛みました。おそらく多くの個人投資家が損失を被ったことでしょう。そして昨今の「いざなき越え」や「絶対儲かる銘柄」といった威勢の良い記事を見るたびに不安になります。

 稲葉さんのブログを拝読すると,1人でも多くの人が「株式市場の魔力」に取りつかれず,冷静な分散投資をして欲しいという気持ちが伝わってくるのです。

なぜ今国際分散投資?ブログ開設のメッセージ

 稲葉さんの中京大学オープンカレッジでの講義は「パーソナル・アセット・マネジメント講座初級/投資工房」~個人のための資産運用のポイント~というテーマでした。

 講義が終わって間もなくして,稲葉さんから「ブログ形式にまとめた」というご連絡をいただきました。「10日間で学ぶ個人投資家の国際分散投資」というブログの題名と,第1回の記事から読み続けて,少なからず感銘を受けました。


▼第1回記事より
はじめに~なぜ今国際分散投資か [2006年11月10日(金)]

昨今は,わが国の個人投資家も
世界に眼を向けて投資をするようになりました。

貯蓄から投資への流れの一環でしょう。

国際分散投資は,投資につきものの
損失リスクを低減する効果を一層高めます。

世界のヘッジファンド,年金をはじめとした機関投資家は,
豊富な情報量をバックに大量の資金を国際運用しており,
個人投資家とは大きく違います。彼らの動きに惑わされず,

個人投資家にふさわしい投資行動をとる必要があります。

個人投資家は機関投資家に比べ,
調査力も情報力も格段に劣ります。

まともに張り合っても勝てるわけがありません。

機関投資家は1年ごとに運用成績を評価されるので(時には半年毎),
どうしても投資行動が短期的になります。

一方,個人投資家は長期で考えればいい,
それが強みといえるでしょう。

個人投資家が国際分散運用で資産を増やし,
また守るための鉄則のようなことを,
私の長年の経験からまとめてみました。

稲葉 喜一 Y&Yコンサルティング 代表
http://www.yay.co.jp/index.html


 これまでのように,円相場はもちろんのこと,日本の株価も地価も右肩上がりだった時代には,個人が国際分散投資を考える必要はなかったかもしれません。しかし,これからは,自国通貨の対外相場が頭打ちもしくは下落し,株価も地価もさほどは上がらず玉石混交になるかもしれません。だからこそ,英米が先にたどった道と,そこで財産を保全した先人の知恵を参考にする必要があるでしょう。

大学講義を10日分の記事に凝縮,リスク管理を学ぶ

 稲葉さんのブログは,10回の記事,第1章~第9章で完結しています。1回分の記事は,おそらく何度か読み返しても5~10分で読み終わる分量でしょう。この気軽さがブログの魅力でもありますが,ひとつひとつの記事には,深い内容が凝縮されています。

 例えば,第1章では「何よりもまず,資産運用につきもののリスクということについてきちんと理解することが重要」というメッセージが真っ先に伝えられます。

 みなさんは9つのリスクについて認識しているでしょうか?

当たり前と言えば当たり前の内容なのですが,実のところ,こうしたリスクの組み合わせについて,金融機関に勤める人でさえよく理解していないのかもしれません。

 先日も,私は大手都市銀行の法人担当者から,あるデリバティブ(金融派生商品)を勧められました。それは円相場に基づく商品でしたが,「為替変動リスク」がありながら,元本保証で,高利回りという触れ込みでした。しかし良く聞いてみますと,ある方向に為替が動く予測が当たれば,高利回り。ただし,すぐに償還されてしまいます。一方で予測が外れると元本保証ながら20年も解約ができないという「流動性リスク」の極みのような商品でした。

 ですから,この記事に書かれた9つのリスクを理解すれば,「一見おいしい話のウラ」を読めるようになるでしょう。そして,1つの商品では様々なリスクを回避できないこと,リスクやリターンの異なる国際的な金融商品の組み合わせが重要なことも知るでしょう。

月に1度のマーケットウォッチと,年に1度の資産移動

 このブログで国債分散投資の基本は理解できるかもしれません。しかし,多くの個人投資家にとって,海外の多様な金融商品の動きを知ることは難しいことです。

 そこで,かねてより稲葉さんがWebサイトで毎月更新している無料情報,「月刊マーケットウォッチ」を,私も参考にしています。

 証券会社に勤務していたころ,稲葉さんから「毎日新聞の株価欄や金融欄を見ているとトレンドがわからなくなる。時系列で見るように」と教わったことがあります。

 この月刊マーケットウォッチは,毎月1回,稲葉さんが「国際的な株式,債券,為替,金,原油の流れを評価,解説し,投資戦略を考える」ページです。しかも,具体的なデータを活用して,必要最小限の言葉で解説されているのでわかりやすいのです。

 例えば,最新の2006年12月号では「日本を除く世界的株高」の理由について,「日本株のみ,蚊帳の外におかれているのは何故なのか,評論家のように理由付けするよりも下表を見たほうがわかりやすい」と解説しています。その表とは,日本株が国際的に見て,まだ割高であるという比較表でした。

 さらに個人投資家に適した「具体的投資対象のレイティング5段階評価」や「モデルポートフォリオ」もあるので参考になります。これを見れば,賢い個人投資家は「毎日株を売った買ったすることが投資ではない」ことを察するでしょう。

 各国の国債や株価指数に連動した投資信託を中心に,数えられるほどだけ保有し,年に1度か2度ゆったりとその比率を変えるだけ。このシンプルでストレスの少ない国債分散投資でリスク回避ができるのです。

専門家のノウハウ概説+最新データブログの可能性

 これからは,稲葉さんのブログのように,経験豊富なプロフェッショナルがこれまで培った見識を,無料ブログで社会還元するケースが増えていくと考えています。

 2007年問題をネガティブに考える方も多いようですが,退職された方の中には,自分史を書く代わりに,ノウハウ社会還元ブログを開設する方が数多く現れるでしょう。これまでの職務上のしがらみから解放され,言うに言えなかった真実がたくさんあるはずです。それを,制約がほとんど無いブログで書き残すのです。

 そんな達人のブログを資産運用のみならず,ご自身の関心がある分野別に発見して,国際分散ウォッチをすることで,人生のリスクを効率的に回避することができそうです。