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 「こういう仕事をさせたら,伊藤さんの右に出るものはいないね」──。こんな褒め言葉をかけてもらえたら,すごくうれしいですよね。私はどんな仕事であっても,こんな風にほめられるとうれしくなります。たとえ,それが「宴会幹事」の仕事であっても,です。

宴会幹事は私の天職?!?

 私の会社では,毎月一回,全社員を集めた全体会議が行われます。社外で作業している社員たちも全員呼び戻し,現在の会社の状況や社長の考え,営業部の報告,開発部の作業状況など,様々な議題について報告し,社員全員の認識をすり合わせています。

 その全体会議の後に必ず催されるのが,「懇親会」と称する飲み会です。居酒屋で行うこともあれば,会議室に食料を持ち込んで行うこともあります。その他にも,隔月に社外の人たちも参加できる技術者交流会を開催するなど,みんなでワイワイ飲む機会が用意されています。

 このような場を運営していくために必要な役割が,「宴会幹事」です。限られた予算の中で最高の料理とお酒とともに,エンタテイメント(ワクワク,ドキドキ感)を企画・演出し,みんなに「参加してよかった」「また参加したい」と思ってもらえるように力を尽くす。それが宴会幹事の役割です。

 この会社に私が入社したのは今から4年前のこと。それ以来ずっと,宴会幹事を担当しています。というのも,私は仲間とお酒を飲んだり,お祭り騒ぎをしたりするのが大好き。その上,みんなを笑わせたり,楽しませたりすることを企画するのも大好きなんです。だから,どんなに開発が忙しくても,この仕事だけは,睡眠時間を削ってでも(笑),取り組んできました。

 宴会のマネジメントは得意な私ですが,実はつい最近まで,プロジェクトのマネジメントが苦手で悩んでいました。そんな私にある先輩がこんな言葉をかけてくれました。

 「伊藤さんはプロジェクト・マネジメントについて悩んでいるけど,宴会幹事がこれだけできるんだから,素養があると思うよ。プロジェクト・マネジャーが果たすべき役割は,宴会幹事と同じようなようなものだからね」。

 そのときは「まさかぁ。勇気づけようとしてくれているんだ」と,思っていたのですが,ふと自分が宴会幹事として行った作業とプロジェクト・マネジャー(PM)の作業を比較してみると,意外にも「そのとおりかも……」と思えることがいくつも見えてきたのです。

こんなに似てる!宴会幹事とPMの仕事

 では,実際に宴会幹事がなすべきことと,PMの仕事を比較してみましょう。

その1. 予算に対する最大のパフォーマンスを引き出す

 景気が上向いてきたとはいえ,まだまだ交際費には余裕がありません。一方,IT予算の方も徐々に増加しているとはいえ,大部分は既存システム運用費用に使われてしまい,新規システム開発に投資できない状況です。従って,宴会もシステム開発も,少ない予算の中で大きなコストパフォーマンスを出すためにはどうするか,知恵を絞らなければなりません。

 宴会であれば,料理は和洋中のバランスを考えながら,できるだけ豪華に見えて量が多くてリーズナブルなものを,飲み物は,誰がどんな種類を好むかを把握して,ビールの銘柄を決めたり,ワインや日本酒,焼酎,カクテル,ソフトドリンクなどを用意したりします。これはまさに,いろいろな技術の可能性を考慮しながら,パッケージやフレームワーク,機器の選定を行うようなもの。要求機能を満たし,かつ予算内に収まるベストな組み合わせを探して,探して,探しまくるのです。

 ・・・・・・もしかして,ここまでするのは私だけ? そうだとしたらちょっと恥ずかしいです。

その2. 作業項目の書き出しは必須。スケジュールは逆線表で作成

 いろいろな人が参加する大規模な宴会ほど,日程が決まると,変更はできません。つまり宴会をシステム開発に例えると,「3月31日にホストの保守期限が切れるので,4月1日には必ず,オープン系システムに移行し,運用を開始する」ようなもの。予め納期が設定されているなんて,イヤですよね~。

 このような場合は,逆線表でスケジュールを引くことになり,作業項目(WBS)の書き出しが必須となります。

 大規模な宴会のときには,開発で使用するスケジュール表でタスクの割り振りなどを管理したこともあります。さすがにそのときは,まるで担当プロジェクトが1個増えたかのように思えて,げんなりしました(笑)。

その3. 宴会当日はリリース日。ユーザーの反応をチェックしながら運用

 当日まではスケジュールとにらめっこし,WBSで割り振った作業を確認します(宴会準備は,ほとんど遅延しません。ここはPMとの大きな違いでしょうね)。

 重要なのは,リリース日=宴会当日です。会場設営を行い,すべての食材を揃え,会場に足を踏み入れた人の顔を一人ずつチェックします。ここで「すごーい!」という表情になっていれば,第一段階はクリアです。システム移行後,ユーザーが初めて利用したときの反応を見ることと,似ていますよね。

 宴会の場合,準備したものが行き届いているか,参加者は楽しんでくれているかをチェックすれば,あとは自分も楽しくなれば(酔っぱらう?)OKです。

「誰か」を幸せにするために頑張るって楽しい


 先ほどお話ししたように,私は宴会幹事の役割を次のように定義しています。

 「限られた予算の中で最高の料理とお酒とともに,エンタテイメント(ワクワク,ドキドキ感)を企画・提供する。そしてみんなが『参加してよかった』『また参加したい』と思ってもらえるよう力を尽くすこと」。

 これを次のように言葉を置き換えれば,プロジェクト開発にも通じると思いませんか。
 「限られた予算の中で,最高の技術と品質,そしてエンタテイメント(ワクワク,ドキドキ感)を企画・提供する。そしてユーザーが『依頼してよかった』『また依頼したい』と思ってもらえるよう力を尽くすこと」。

 宴会幹事とPMは本来,比較するようなものではないとは思います。でも比較してみると「宴会幹事とPMの役割は,意外に似ている!」ことがわかりました。

 「お客様を幸せにするために誠心誠意,力を尽くす」。これからは宴会幹事で積んだ経験をPMの仕事に少しずつ生かしていこうと思います。それだけではなく,様々な場面で通じるこの考えを,いつでも心に留めて,これからも頑張っていきたいと思います。

 今年の暮れも押し迫ってきました。みなさん,どうぞ良いお年をお迎え下さい。