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 今年の流行語大賞は「イナバウアー」と「品格」とのことだが、IT関連では「内部統制」「Web2.0」あたりだろうか。だがITサービス業界にとって、内部統制はともかくWeb2.0は縁遠い。個人的にはブログを書き、Google Mapsと自分のコンテンツを“マッシュアップ”なんていう人は多いだろうが、商談の提案に「Web2.0」というワードを盛り込むことなど、そうはあるまい。

 では、なぜ縁遠いのか。「なんせ、わけが分からない」----これは論外。ITサービス会社が自分のビジネスの課題としてWeb2.0を考えてみる。うーん、やはりSaaSか。えーっとASPと何が違うんだ・・・? 結局、縁遠い。IBMのように、Web2.0の話を強引にSOAというアーキテクチャ話にもっていく手はあるが、現段階ではそれとて“SOA商談”の際の雑談ネタぐらいにしかならない。

 ITサービス会社は、企業相手に商売をするBtoB型の企業だ。結局のところ自分のビジネスの課題として、Web2.0を考えるから分からなくなったり、縁遠くなったりする。企業が自分のビジネスのこととして考えないでどうする、という声が聞こえてきそうだが、そうではない。まずはお客さんのビジネスの課題としてWeb2.0を考えてみる。そうすると違った風景が見えてくる。

 お客さんと言っても主に消費者相手に商売をするBtoC型企業のことだが、彼らにとってWeb2.0はとてつもないビッグイシューだ。なんせ、多くの日本企業は今、攻めのIT投資、新規事業の創造や既存事業の拡大につながる投資に燃えている。今や新しいビジネス、新しいマーケティングにはインターネットの活用は不可欠。その最も重要な外部環境において、Web2.0というトンデモナイ潮流が渦巻いている。

 だから金融機関や小売業などトラディショナルな企業も、Web2.0の潮流を理解しようと、ビジネスに生かそうと必死だ。「これからはバイラル・マーケティングだ」と慣れない言葉を口にして舌をかんだ人も数多い。ある大手銀行のCIOが『ウェブ進化論』を部下全員に読ませて、リテールバンキングにおけるWeb2.0の影響についても含め感想文を書かせたという話も聞いたことがある。

 さて、ITサービス会社はソリューションプロバイダともいう。もしくは、そうなりたいと思っている。だったら、お客さんの一大課題であるWeb2.0がらみの話にソリューションを提供できなくてはならない。これでようやく、ITサービス会社にとってWeb2.0が自分のビジネスの問題になる・・・。

 しかし、まだ遠い。なぜか。お客さんの一大課題と言っても、そう思っているのは経営層やマーケティング部門などのユーザー部門であって、基幹系システムのお守りをする情報システム部門の問題意識は薄い。情報システム部門への出入り専門で、経営層やエンドユーザーをほとんど回れていないITサービス会社なら、Web2.0の話は縁遠いままだ。たとえ訪問していたとしても、「リスクシェアしてくれない」なんて言われて尻尾を巻いて帰ってきたりする。

 もっとも、この辺りの話はわざわざWeb2.0を持ち出さなくても、多くのユーザー企業がECやWebマーケティングにチャレンジし始めた頃から変わらない。つまり、インターネットを活用して事業拡大に取り組むような攻めのIT投資の分野は、大部分のITサービス会社にとって自分たちのビジネスとは直接関係がない“アウター市場”だったのだ。だから、Web2.0の話なんぞ位置付くわけがないのである。

 だけど、そのままでいいのだろうか。一昔と違い、インターネットを活用した新規ビジネスや事業拡大は、今や経営のど真ん中のテーマだ。ITサービス会社がコミットできないのなら、お客からそのうちITサービス会社とも思われなくなってしまうかもしれない。頼みの綱の情報システム部門も「2007年問題」で代替わりして、さばけた担当者から「Googleが今度始めたSaaSを使うから、おたくはもういいよ」なんて言われる時が来ないとも限らない。