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 2007年、私が直感的に重要度を増すと感じる、ネットを活用したサービスの属性は「偶有性」だ。

 この言葉は脳科学者の茂木健一郎さんと梅田望夫さんの対談(アエラの8月6日号)で触れられているが、「半分は予想できるけど半分は予想できない」(アエラ)、また「ある条件が整えば必ず同じ結果になるような規則性とジャンケンの勝ち負けのようなランダム性の中間にある概念で、半ば規則性、半ば偶然の世界」(慶應MCCにおける茂木氏講演録より)ということ。

 ネット上のサービスで言えば、全てがプログラムされた中でのシナリオを楽しむようなサービスではなく、サービスの重要な部分のどこかに必ず開放された部分があるもの。SNSしかり、セカンドライフしかり。考えてみれば、リアル社会は常に不確実性に取り囲まれ、まさに偶有性に満ちた世界だ。

 2007年は、この偶有性と、ネット技術によってはじめて可能になるような様々な特性(情報のリーチ&リッチネスの同時成立や通信コストの破壊等々)を組み合わせたサービスが生まれてくるのではないかな、と期待している。

 こうした偶有性を有した活動は、企業向けの経営意思決定にも同様の意味を持つだろう。いわば中央司令塔が上意下達でシナリオを描き、その通りの行動を組織に期待する「事前意図的な戦略」構築&策定の世界に加え、偶発的な成功パターンを重視する「創発型戦略」も偶有性を意識した企業活動である。偶有性を念頭に置いて、企業組織全域から情報を収集したり、戦略パターンを抽出する際には検索技術を含めた情報技術が大きな役割を果たすだろう。

 今年、個人的に出てくればいいなと思っているB2Cサービスは「バーチャルアマチュア無線」である。かつてハムの免許を取りたいと思いつつ、国家試験や高価な無線機器がハードルとなって断念した人は多いだろう。無線機器をそっくり再現するインターフェイスをデザインし、音声のみで「CQ、CQ。こちら○○(コールサイン)」とネットの世界に自分の声で呼びかける。相手とQSLカードを交換して交信の証とする。現実のアマチュア無線との混同を避ける手立ては必要だろうが、かつてのコスト上のバリアを一気に崩してくれるはずだ。

 クリステンセンの言葉を借りれば、さしずめ「新市場創出型の破壊的イノベーション」ということになろうか。未知の土地の未知の人との遭遇。まさに偶有性の世界。季節や土地土地の話題、各地の温泉情報を交換したり....。おじさんの趣味と笑うなかれ。おじさん、おばさんのネット人口はますます増加し、お金も持っている。

 こうした、かつてあったもの、また風土や自然を意識した、いわば「懐かしい」ものの再現・再構築が人気を集めるのではないか、と個人的には思っている。