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 「地方銀行が列を作るパッケージソフトがある・・・」。金融担当のIT業界関係者で噂になっている製品がある。日本ユニシスの金融機関向け勘定系システム「BankVision」だ。これはWindowsベースで開発したオープン系パッケージで、コスト削減と変化に即応できる勘定系システムを求めている地銀のニーズにうまく合致した。オープンへの移行に苦心する金融機関、そしてオープンシステムの開発に苦労する競合他社も稼働見通しの立ったBankVisionに強い関心を示すほどだ。

 日本ユニシスでBankVision開発の陣頭指揮に立つ松森正憲代表取締役常務執行役員は「自分たちの資産を捨てる」と決断し、勘定系システムを汎用機からWindowsベースのオープンシステムに切り替えた。当初、日本ユニシスの社内には反対者もいた。それを「確かに汎用機で5年、10年は対応できるだろうが、その先はどうなるのか」と説得し、「金融ソリューションはオープン系でやると腹をくくった」(松森常務)そうだ。

 売り上げの伸びない汎用機に重点を置いていれば、ジリ貧になるのは目に見ている。なので、プラットフォームの変更を決定したら、「素早くやらないとだめだ」と考えて、松森常務はBankVisionの開発に着手した。ところが、2001年に百五銀行がBankVisionの採用決定を発表したところ、「今度は雑誌を含めて社外から、『オープンシステムで大丈夫なのか』という疑問の声が出てきた」という。

 実は、問題はWindows以外のソフトウエアにあったという。特に、「Oracleより弱いのではないかと言われていた」(松森常務)データベースのSQL Serverをミッションクリティカルの用途に使うには、機能不足だったようだ。そこで、日本ユニシスは日米のマイクロソフトに協力し、SQL Serverの大幅な機能強化を図った。ミッションクリティカルのシステムに必要なミラーリングやダウン時の自動切り換えなど、汎用機では当たり前の機能に関するノウハウを、日本ユニシスがマイクロソフトに提供し実現させた。加えて、業務処理に欠かせないオープン系ミドルウエアを独自開発するなど、「ミッションクリティカルでOracleに勝っていると思う」と話すまで、性能や機能を向上させたという。

 「開発は順調に進んでいる」(松森常務)。百五銀行の稼働は2007年5月の予定で、この1月に総合テストをしたところだという。2009年には十八銀行を皮切りに、佐賀銀行、筑邦銀行、紀陽銀行、鹿児島銀行など10行で順次、導入する計画になっている。日本ユニシスは2011年度までに15行の獲得を目指している。

次は情報系が勝負に

 だが、ここでも技術者の確保という課題は避けて通れなかった。「地銀や信用金庫の中に汎用機から新しい汎用機に移行するユーザーがおり、この作業が2007年5月までかかる。それが終われば、その技術者たちをオープン系に振り向けられる」と、松森常務は人材不足の問題を近く解消できるとする。

 ただし、BankVisionは、百五銀行など7行と共同開発したパッケージ。そこに参画した金融機関がBankVisionの採用を決定すれば、優先して導入することになっている。そのためか「新規の受注を少し止めていたのは事実だ」と松森常務は明かす。ちなみに、未決定は大分銀行、秋田銀行などだ。また、道州制の成り行きに注視している。実施された場合、地域ごとの再編が加速されるかもしれないからだ。

 松森常務は、7年前にこうした方向を鮮明にするとともに、2002年度に「金融の日本ユニシスへの挑戦」というビジョンを打ち出した。その一環からパッケージの品揃えに取り組み、対象をオープンシステムと決めたのだ。そして顧客獲得に一段と力を入れ、今では「金融の日本ユニシス」を証明できるところまできた。

 日本ユニシスが現在、特に重視しているが情報系システムの受注獲得である。金融の日本ユニシスの地位を確固たるものにするためでもある。「勘定系という金融の土台を建て直すシステムの需要はまだ4~5年あるだろうが、その次は情報系システムの勝負になる」(松森常務)。SuicaやEdyなど電子マネーへの対応なども求められてくるから、そうした関連パッケージを揃えていく。Linux対応も準備する方針だ。

 だから、オープン系のソリューションを着々と整備する日本ユニシスに、競合のITベンダーは熱い視線を送っているに違いない。

※なお、本コラムは日経ソリューションビジネス07年1月15日号「深層波」に加筆したものです。