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 いまさら書くのもなんだが、国内のオープンソースソフト(OSS)開発コミュニティ「Seasarプロジェクト」がとても盛り上がっているそうだ。先日、あるメーカーの“オープンソースな人”からその話を聞いて、ITサービス業の未来が少し明るく感じるような示唆を受けた。別に日本発のOSSがどうしたこうしたとか、OSSを使ってこんなふうに儲けましょうといった話ではない。あの暗い話題を吹き飛ばせるかもしれない可能性を感じたのだ。

 Seasarプロジェクトと言えば、日本発のOSSでJavaフレームワークの「Seasar2」などを生み出したコミュニティ。そのSeasar2は昨年、三菱東京UFJ銀行がリスク管理システムの開発用に採用するなど、ミッションクリティカルなシステムにも使えるOSSとしての評価を確立しつつある。そしてオープンソースな人に言わせると、技術者の「コミュニティに貢献しよう」「開発の現場で活用しよう」という熱気は、外国発のコミュニティの比ではないらしい。

 これって「新3K」とかいう、あの暗い話題とは対極の話だよね。SIなどのITサービス業は「きつい、厳しい、帰れない」で、技術者のモチベーションが大きく低下、次代を担う若者にも不人気な仕事となってしまった。私も何度か「大変だ! 大変だ!」と書いたが、「じゃあ、どうするの」と聞かれても“ソリューション”が出てこない。「それって経営の課題でしょ」と言ったところで、メインフレーム時代の頭しかないITサービス会社の経営者が解決できるわけがない。

 SI、ソフト開発の仕事は、昔だってキツかった。でたらめな経営、人事管理をするITサービス会社は昔の方が多かったぐらいだ。ただ、以前は実態はともかくとして、最先端の仕事というイメージがあった。また、ITを通じて社会・産業の発展に貢献するんだ、という強い使命感を持つことができた。一方、今はITサービス会社が心配のリスクを恐れるあまり、「新しいことにチャレンジするな」とくる。多数の小さな案件を機械的にこなすしかない。魅力的な仕事でなくなるのも、モチベーションが上がらなくなるのも、むべなるかなである。

 さて、SeasarプロジェクトのようなOSSが数多く成功を収めるならば、こうした閉塞感は解消されていくんじゃないかと思う。自らが開発に貢献し、自分たちが作り上げた成果物を、自らの仕事で使う。それはサプライサイド、ユーザーサイドの区別なく、技術者にとってはとてもエキサイティングで楽しい作業であるはずだ。それこそ新3Kと言われたとしても、寸暇を惜しんで取り組むだろう。

 ただ、ここで問題になるのは、これまたITサービス会社、ユーザー企業を問わず、経営者や管理職の意識。まあ分からんでもないが、必ず「OSSを使うのはリスクがある。やめておけ」と言う。オープンソースな人が言っていたが、現場がどんなに「OSSを使いたいし、使える」と言っても、部長あたりが難色を示すのだという。しかし、こうした保守的な意識では、目先のリスクは減らせたとしても、現場のモチベーションやモラールの低下という、より大きなリスクに直面することになる。

 もう3年も前のことが、外資系企業になった銀行の情報システム部長に話を聞いたことがある。その銀行は一度の失敗にもめげずに、あるシステムをLinuxとJavaで構築したが、その理由が振るっていた。新しいことにチャレンジすることで、情報システム部門の技術者にも成長の機会を与え、モチベーションを高めてもらう、そうすることがシステム部門の機能・能力の強化につながる、そんな話だった。

 ITサービス会社も一度、人材戦略の観点も加味してOSSコミュニティへの貢献やOSSのビジネス活用を考え直してみてはいかがだろうか。前向きのリスクは取った方がよい。それこそ、そこから新しいビジネスモデルが生まれるかもしれないし、なによりもITサービス会社や業界共通の“財産”である人材の活性化につながり、ITサービスという仕事のイメージアップにもつながると思う。