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 会社にパソコンを導入する人なら誰しも悩むのが,「どんなパソコンにするか」ということでしょう。今でしたら,Windows以外のパソコンをオフィスに大量導入することは珍しいと思いますが,当時は「Windowsにするか,Macintosh(Mac)にするか」というのが悩みの種でした。

 草の根的に広がりつつあるMacとMac派の人々。しかし,情報システム部門の人たちは,「これからはWindows3.1を標準パソコンにする」と言っています。当時はまだ現場にパソコンOSを選択する権利がありましたので,私自身がどちらかを選択する必要がありました。

 Microsoftが提供する最新OSは,Windows3.1。操作感の悪さと画面デザインのかっこ悪さが気になりますが,使えなくはない。それに対し,AppleのMacintoshの最新OSは,漢字Talk7.1。使いやすいですが,数時間に一度はフリーズして「爆弾マーク」を見ることになります。これはこれで社内に配るのは勇気が要ります。「おーい,青野君,Macが固まったんだけど,どうしたらいいかな?」と一日に何度も呼ばれることを想像すると,ぞっとします。

 次に比較したのはソフトウエアの充実度です。すでに表計算ソフトとしてはExcelがデファクトでしたが,ExcelはWindows版もMac版もあるので,どちらのOSを選んでも大丈夫です。

 それ以外には,図表入りの報告資料を作成することが多い部門でしたので,それができそうな統合ソフトを探しました。Windowsでは,なかなかよいものが見つかりませんでした。Macでよさそうだったのは,クラリスワークスかMacドロー。しかしながら,クラリスワークスは機能不足だし,Macドローは高価だ…と思っているところに「クラリスインパクト」というソフトが登場します。

 このソフトは優れもので,基本はドローツールなのですが,表やグラフを貼りこんだり,組織図を書いたりすることが簡単にできます。これなら事業部のメンバーに便利に使ってもらえると思いました。

 余談ですが,このクラリスインパクトというソフトは,その後Windowsにも移殖され,WindowsとMacで互換性の高いソフトとして勢いを増していきます。しかし,Appleの経営が傾くと,なんとMicrosoftがAppleに投資することになり,それとともにクラリスインパクトは消滅します。Microsoftは,クラリスインパクトがMS-Officeのライバルとなることを恐れ,投資するときの引き換え条件にしたのではないかと推測しています。まさに大人の事情です。

 私は事業部にMacを大量導入する気持ちになりつつありました。