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 これからは,企業が良好な関係を築くべきステイクホルダー(利害関係者)の中に,ブロガー&アフィリエイターが加えられることは間違いないでしょう。

 ネット時代には,どんなに質の高い商品やサービスを提供しようと,高感度の店舗や広告でプレゼンテーションをしようと,それだけでは企業広報戦略は不十分です。企業名や商品名で検索した時に「心からのおほめブログ」が並んでいるからどうかを,多くの人が評価材料に加えるようになるからです。もちろん,「訳知り顔の非難ブログ」に検索結果一覧が席巻されていては論外です。むしろ広告で高いイメージをうたえばうたうほど,生活者は違和感をおぼえてしまうでしょう。

 かといって,いわゆる企業からお金をもらって書くサクラブロガーを増やすのも考えものです。その安易な姿勢が,かえって非難されやすいのです。場合によっては,その行き過ぎた企みが発覚して「企業ブログ炎上の悲劇」を生むかもしれません。

 2007年2月12日号の日経パソコン「焦点」コラムでも,「炎上しないWOWマーケティング」というテーマで寄稿しました。そこでお伝えしたかったメッセージは「千の心ないサクラブロガーより,百の愛ある精鋭ブロガー」を大切にして,良好な関係を築こうということです。

 その一つの試みとして,今回は,来る2月24日にアフィリエイト・サービス・プロバイダーのリンクシェアが開催する福岡アフィリエイトセミナー2007広報ブログを題材に,先進企業の対アフィリエイター活動をご紹介いたしましょう。そしてブロガー&アフィリエイター・リレーションズの理想型を考えてまいりましょう。

共同セミナーで熱いアフィリエイターと出会う

 既に,ブランドイメージが十分に高く,顧客ブロガー&アフィリエイターとも良好な関係を築けている企業を除けば,まずは「熱いアフィリエイターたち」と出会うことが大切でしょう。

 しかし,これはニワトリとタマゴの関係にも似ていて,容易なことではありません。知名度とブランド力があれば「熱いアフィリエイターたち」に出会いやすく,「熱いアフィリエイターたち」とのご縁が深まれば知名度とブランド力はさらに高まります。言い換えれば,もともとアフィリエイターに対する知名度が少ない企業が,最初のきっかけを作るのは大変なのです。

 そこで,「これからの企業」は,ブランド力がある企業と同じ舞台に上がることが効果的です。アフィリエイターを多数集めて,複数の企業担当者がプレゼンを行うアフィリエイトセミナーは,その代表的な好機でしょう。他の参加企業にロイヤリティーを持ちつつも,さらに商品紹介すべき企業を探している「熱心なアフィリエイターたち」が集まるからです。

 来る2月24日に開催されるリンクシェアの福岡アフィリエイトセミナー2007のご案内には,注目すべき点がいくつもありました。

 まずは,東京や大阪のみならず福岡でもセミナーを開催することに注目しました。いよいよ,全国でアフィリエイターを開拓する時代になったのです。こうした地方セミナーこそ,集客を考えると共同開催が効率的でしょう。

 また,福岡アフィリエイトセミナーに参加する企業の顔ぶれを見ますと,参加企業同士の相乗効果が期待できるはずです。全日空ATOUR,ニッセン,セシールといった全国展開のブランドもあれば,九州ゆかりのブランドもあります。全国ブランドに惹かれて参加した人が地元企業に共感する場合もあるでしょうし,その逆のパターンもあるでしょう。

 いずれにせよ,1社だけで集客するよりも,効率的であることは間違いありません。

セミナーで企業担当者の顔を見せる効果

 多くのアフィリエイターは,日常,商品やWebサイトを通じて,企業のイメージを構築しているはずです。こうしたセミナーで,実際に企業の顔である担当者と出会うことは,ブランドイメージの大きな転換点にもなるはずです。

 いずれ,多くの企業サイトやブログが動画化する日が来れば状況は一変するかもしれません。しかし,それまでは静止画像とテキストというクールな伝達手段で企業像を作り上げているのが現状です。そこに,初めて,情熱も体温もある企業担当者のイメージが付加されるのです。

 作り手の顔が見えることが大切だとは,「プロジェクトX」人気の後,多くのマーケターも認識していることでしょう。現にネット通販でも,農作物,地酒から工芸品にいたるまで,商品の背後に「達人の気配」があるお店が人気を集めています。

 今回のアフィリエイトセミナーは,各企業のEC担当者がプレゼンをするそうですので,作り手や商品開発者というわけではありません。しかし,ネット店長の人柄だけで売り上げが左右されることも,昨今わかってまいりました。

 ですから,セミナーを通じて,名物店長が顔見せをすることは,好印象を広め企業イメージ高める大きなチャンスです。

プレゼンにはエースを送り込もう

 私自身も,4月に開催予定のリンクシェア東京セミナーには,来期の明治大学「ブログ起業論」受講生を引き連れて参加しようと考えています。おそらく,私も受講生も,そこで一番熱いプレゼンをした企業と商品を選ぶだろうと予想しています。

 ですから,私がこのセミナーに参加する企業のキーマンだとしたら,こうしたプレゼンに最も長けたエースを送り込むはずです。そして,プレゼンの内容も,他の企業に負けない独創的なものにするはずです。

 たとえば参加企業の中にアップルストアの名前がありました。iPodをサラウンドアンプにつないで楽しみつつ,このコラムをMacBookで書いている私のような熱烈アップルファンは,アフィリエイターの中にも少ないはずです。

 もしも,プレゼンの冒頭にCEO(最高経営責任者)スティーブ・ジョブス氏のビデオが流れたら,おそらく会場がどよめくはずです。そして,日本のアフィリエイター向けに,一言二言呼びかけられただけで,多くのアフィリエイターはブログに書いてしまうでしょう。

 外資系の企業の多くは,こうしたプレゼンテーションが上手です。例えば,個人投資家向けのセミナーであっても,プレゼンの機会を重要視してエース級を送り込むと,以前,当コラムでもご紹介した投資コンサルタントの稲葉喜一さんに教えていただいたことがあります。

 ですから,4月のセミナーでは,どの企業がどんなプレゼンをするかを今から楽しみにしています。

プレイベントとポストイベントで関係強化

 アフィリエイトセミナーを「イベント」だとするなら,セミナー前の「プレイベント」,セミナー後の「ポストイベント」で,いかにアフィリエイターと濃密なコミュニケーションを図るかも重要でしょう。

 プレイベントでは,今回のセミナーへの意気込みを伝えつつ,プレゼン内容の予告をすることが大切です。 例えば,先ほどのアップルのケースで考えるなら,「今回はスティーブ・ジョブスから皆様へのビデオメッセージを預かっています」「先に発表されたiPhoneの日本デビューについて発表があるかもしれません」…,とあったら,私なら必ず参加してしまうでしょう。

 ポストイベントでは,プレゼンで感じていただいた強い印象を,今後の長くて良好な関係に生かす方策が必要です。通常のアフィリエイター以上の特別な処遇について,合わせて考えると良いでしょう。これも例を挙げるなら,アフィリエイトセミナーに参加していただいた方だけに,「限定商品のモニターとレポートをお願いいたします」「優先的に新商品発表会や新キャンペーンのご案内をいたします。」…,とフォローされたら,きっと私なら喜んでしまいます。

リンクシェア広報ブログで紹介してもらう

 こうした,プレイベントやポストイベントは,自社運営のアフィリエイト向けブログやメルマガ等の他,リンクシェアの広報ブログをうまく活用できればさらに有効でしょう。

 今のところ,広報ブログには福岡のアフィリエイトセミナーの告知しかありませんが,これからセミナーの前に参加企業が毎日1社ずつ事前ネットプレゼンをしていくと効果的だと思います。各社の意気込みとプレゼン内容が伝わりますので,セミナー参加者も増えそうです。

 また,参加企業にとっても,セミナーに参加しない人も含めて広報ブログ読者に広く告知ができて有利です。また,他の参加企業がセミナーでどんなプレゼンを用意しているか垣間みることができますので,「傾向と対策」を練ることもできましょう。

 より進化した形を考えるならば,それぞれの参加企業のブログで「今回のセミナーには○○社さんや□□社さんも参加されます」と相互紹介して,参加者を増やす方法が考えられます。また,広報ブログを中心にしてリンクやトラックバックをはりあうのも効果的でしょう。

ブロガー向けの魅力的なプログラムとツールを用意

 広報ブログを見ておりますと,アフィリエイターとの関係に熱心な企業が,どんなアプローチをしているかわかって,とても参考になります。

 例えば,今回のセミナーにも参加するセシールやムトウは,アフィリエイターが自分のブログに「最新おすすめ商品」を簡単表示する「窓ツール」を提供しています。

 また「くらぶろ」というブログに参加するのも企業側・アフィリエイター側双方にメリットがあるでしょう。「くらぶろ」はリンクシェアに参加している企業(ECサイト)についての特定の話題(製品やサービス等)に関するブログの記事を集積するために設けられた,トラックバックセンターです。自社商品について,心あるアフィリエイターがブログ記事を書いてトラックバックする仕組みです。自社メディアだけでは接することができない「熱いアフィリエイターたち」とも情報交流ができるはずです。

記者発表会+ファミリーセールにご招待

 こうして共同セミナーや,広報ブログなどのキャンペーンを通じて,自社に深い関心と共感を寄せてくださるアフィリエイターが増えてきたら,自社独自の企画でさらなる関係強化をしていきたいものです。

 2006年11月20日に日産自動車のブログで公表された「新型スカイラインの発表会」は,記者発表と同じ日に同じ場所で,ブロガー専用で行われた点で画期的でした。

 今後は,記者発表会にせよ,商品展示会にせよ,有力なブロガーやアフィリエイターに開放されることになるでしょう。なぜなら,まだ力の差こそあれ,商品の広報や販売に尽力していただける点では,プレス関係者や販売代理店と,何ら変わりはないからです。

 また,社員と家族に向けて用意されたファミリーセールに代表される福利厚生イベントにも,有力なブロガー&アフィリエイターは招待されるようになるはずです。会社や商品に誇りや忠誠心を持って活躍する点では,時に社員以上かもしれないからです。きっと,既にある仕組みやイベントの中で,ブロガー&アフィリエイターを厚遇することができるはずです。

優良顧客+アフィリエイター+アドバイザー+株主

 こうして企業の外でも内でもない境界線でブロガー&アフィリエイターが大きな力を発揮するにつれ,企業経営者も敬意と誠意を持って遇することになるはずです。有力アフィリエイターは,数あるステイクホルダーのいくつもの顔を兼ね備える重要人物にあたると気づくからです。

 まずは,有力アフィリエイターは,生涯にわたって,この会社と商品にほれこんで購入してくださる優良顧客そのものであるはずです。同時に,強力なネットコミ力を発揮して,商品を広報してくれるプレス担当者であり,販売してくれる販売代理店でもあります。そして,商品・サービス開発や,宣伝・広報戦略にも一家言を持つことから,社内の重要な会議のアドバイザーになっているかもしれません。ゆくゆくは,アフィリエイターを,三顧の礼で企業内の要職に迎えるというケースも出てきそうです。さらには,企業への愛情表現と,企業姿勢を評価する気持ちから,長期安定の個人株主になってくださる方までいらっしゃるでしょう。

 こうして「熱い精鋭アフィリエイター」に多方面から支持されているような企業こそ,ネット対応力が強くブランド力も高いだと言えないでしょうか?

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 私の関心時は,上場企業クラスの経営者で,誰が最初に「新しい力を持った個人」の重要性に気づくかということです。そして,社長自ら,こうした個人向けセミナーの講師を率先して勤める機会を楽しみにしています。 魅力的な会社,魅力的な商品,魅力的な経営者の三拍子がそろった上で,経営者自らが熱いプレゼンを行ったら,きっとWinner takes allになるでしょう。