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日本ビジネスシステムズ ソリューション開発部
開発1課 課長 根本美佐子 氏

 20年間勤めた味の素ゼネラルフーヅ(AGF)を辞め,私は2001年4月に日本ビジネスシステムズ(JBS)に転職しました。AGFでは親会社である味の素へ,受注・物流系システムをアウトソーシングする検討をしており,その方向性が決まった段階で退職しました。

ソリューション開発部を率いて急成長

 「Webアプリケーションの開発に携わりたい」──そう思ってJBSに入社した私ですが,最初に携わった仕事は,IBMのオフコン「AS/400」のアプリケーション。希望とは違いましたが,既存システムのデータを分析し,決算資料を出力するシステムの設計で,納期は翌月末。何年ぶりかで見る「COBOL」と初めての「RPG」に苦戦しながらなんとか乗り切りました。

 私が入社する前のJBSは,PCサーバーやクライアントPC,ネットワーク機器などの情報インフラを構築するディーラー業務がメインであり,ソリューション開発部が設置されたのは,入社するわずか1年前。入社した時も,新入社員2人を含め,6人の小所帯でした。その後,私はマネジャーとして数々の開発案件を取りまとめ,スタッフと共にビジネスを拡大させていきました。今では正社員41名,協力会社を含めると総勢50名を超える大所帯に成長しています。

 JBSでは新規顧客の開拓にそれほど力を入れているわけではありません。受注した案件に一つ一つ丁寧に取り組んできた結果,同じお客様からリピート案件をいただくことがとても多いのです。また,口コミ(既存のお客様からの紹介)によって新しいお客様から商談をいただくこともあります。このように,今,目の前にいるお客様に100%満足してもらうことが,社員の最大の目標であり,同時に成長の秘訣であると考えています。

 私自身も,前職すなわちユーザー企業のシステム部員だった経験を生かし,お客様の立場に立ったソリューション提案を第一に心がけています。財務会計や人事,予算管理,販売管理など,前職で開発してきたものと同じような業務系システムを,Webベースのアプリケーションとして開発する仕事に取り組んでいます。

顧客の立場で最適のシステムを提案

 私が携わった数あるプロジェクト中でも,最も記憶に残っているのは,ある大手企業の予算管理システムの開発案件です。

 なぜ記憶に残っているのかと言えば,ユーザー部門との調整が非常に大変だったからです。このプロジェクトでは,お客様の側に中心となって取りまとめを行う人物が見あたらず,また予算管理の統一方針もなかったので,関係するすべてのユーザー部門にヒアリングを行なわなければなりませんでした。

 ヒアリングは十数回にも及びました。ようやく各部門が抱える問題を洗い出し,そうした問題を解決できるシステムを考案して,お客様に提案しました。しかし,すんなりとは受け入れられません。ユーザー部門の担当者がそれぞれの部門の事情を話し,個別の要求を通そうとします。

 この案件に携わって実感したのは,関係者の利害を調整したり,説得したりすることの難しさです。システムを提案する立場にある私たちは,お客様のニーズに応えていくことがもちろん必要ですが,だからといってすべてお客様の言う通りに作ればいいというわけではありません。お客様のおっしゃることが全て正解とは限らないのです。

 この案件では,当社以外にもコンサルティング会社が関わっていました。コンサルティング会社はBPRと称し,型どおりの業務プロセスに,お客様のプロセスをはめこもうとします。けれどもユーザー企業にいた私にとっては,費用対効果が必ずしも良くないと思う部分がある。そうした非効率な部分を削ぎ落とし,お客様にとって本当に役立つシンプルなシステムを考え,提案しました。

 幸い私には,AGFでの豊富な経験があります。ユーザー企業のシステム担当者の気持ちがとてもよく分かるのです。そこで他社の事例を探して紹介したり,興味のありそうな話題や情報を提供したり,いろいろな相談にのったりして,お客様の気持ちをつかんでいきました。そうした努力の結果,当社の提案が採用されることになりました。

 このシステムの開発期間は4カ月。これに対し,要求定義と仕様決定に2カ月の期間を要しました。説得や調整などの作業がいかに大変だったか分かると思います。