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 誰もが朝から晩まで一生懸命に仕事をしているけれど、お客様はじめ取引先は無理難題ばかり言うし、余裕のなさからチーム間の協力もままならず、開発と営業の関係もしっくりいっていない。みんなのモティベーションは下がるし、プロジェクトの不採算も目立ちはじめて、何だか悪循環。このままではどうなってしまうのだろう、何とかしなくちゃ。「こんなときこそ、○○な人に登場してほしい!」そう切望とするのは、どのような人でしょうか。

優秀なマネージャ? 魅力的なリーダー?

 Rさんの職場の役職者は、売上げや利益の構造を精査しはじめました。営業担当には売上げ目標を上げるように指示し、開発担当には徹底的に原価を切り詰めるよう指示しました。残業を減らし、協力会社への発注はできる限り安く抑え、費用のかかるスキルトレーニングは控えること。売上げを増やして原価を減らせば利益が増えるというシンプルな考えです。組織全体としての数値目標を満たせるように、各担当やチームに数値目標を割り当てました。あとは、各現場のひとたちが、何をしてでもそれを守るように、定期的にチェックし、目標達成しないチームに対しては、しっかりと原因究明していくと宣言されています。

 Wさんの職場の役職者は、自分たちは本来どんな姿を目指しているのか、誰にどんな価値を提供することによって、自分たちはどんな価値を得たいのかを改めて示しました。そして、各現場を巡ってメンバーの苦労に耳を傾けながら、目指している姿や夢を語り、何から着手すればよいか、そのために自分達にできることは何かを語り合いました。それから、顧客から言われ放題にならないためのプロジェクトの進め方や、ネガティブな情報も素早く共有される風土づくりや、部門間の連携を促進する社内指標づくりなど、課題ごとのタスクフォースをスタートしました。自身もメンバーにコミットし、自分たちの未来のために、何としても一緒になってそれを実現したいという意気込みに溢れています。

 RさんやWさんの職場のようなケースは、わたくしたちの身近にもみられますよね。ルールに基づき業績を管理するのも、ビジョンに基づきメンバーを活性化するのも、どちらも組織として仕事をしていくうえで大切な機能です。その組織が置かれている局面に応じて、それぞれが良いバランスで現れるのが理想でしょうね。

 ところで、マネージャとリーダーって似たような感じもしますが、違いがあるとしたらどんなところでしょうか。例えば、カルロス・ゴーンさんは、マネージャとリーダーのどちらのイメージに近いですか。小泉純一さんはどうでしょう。ご自身や身近な人たちはどうですか。他にもちょっと想像してみてください。・・・。

マネージャとリーダー

 マネージャとリーダーの特徴として、次のようなことが指摘されています。

■マネージャは、地位に基づく権限によって、ひとを動かします。また、マネージャは、データ・数字など目に見えるもの、測定できるものを重視します。それを分析してアメとムチでひとを管理し、ルールを間違いなく守っていきます。安定的な状況において、危険を防ぐには、優れたマネージャが活躍します。

■リーダーは、価値観や感情に働きかけることによって、共感した賛同者が動きだします。また、リーダーは数値化できないような人間の感情や信条を重視します。ビジョンを熱く語り、自らも危険に身をさらしながら、自発的についてくるメンバーと共に前進します。大きな変化や危機的な状況では、魅力的なリーダーが活躍します。

 さて、先ほど思い浮かべた方々は、マネージャとリーダーどちらのイメージに近いですか?

 時代の流れをみますと、いまは変化が激しいときです。ITプロフェッショナルの周辺でも、技術の進展や人材の流動化など変化の波のなかで、多くの企業で変革が唱えられていますよね。組織のなかにマネジメントは欠かせませんが、このような局面では、自ら新たな方向性を見つけ、自分もリスクを負いながら、その価値観や人間的魅力で周囲を惹きつけ共に前進するリーダーがより強く求められています。

リーダーとして疑わしいのは

 ところで、リーダーには3つのタイプがあるとされます(前にも話しましたね)。(1)任命されたリーダー(部長や課長のように会社が任命した人)、(2)選ばれたリーダー(選挙などで当選した人)、(3)自然に発生したリーダー(火事など突発的な事態で咄嗟に皆がその人の動きに従った、等)。このなかで、リーダーとしての特徴が最もよく現れるのは、(3)自然に発生したリーダーです。リーダー自身が内からの思いや志によって危険を顧みず動き出し、それに賛同する周囲の人たちが自発的についていったということですから。

 それに対して、(1)任命されたリーダーは、やや疑わしいかもしれません。というのは、当人の特徴にかかわらず、その典型である役職者は職務上の権限をもっているからです。この場合は権限を行使しているため、メンバーは心の底では信頼していなくても、権限による不利益を被りたくないので仕方なく従っているということがあります。リーダーorマネージャの議論においては、権限やポジションで人を動かすのはマネージャに近いですね。もちろん、役職者として任命された人でも、これまでの仕事ぶりや言動から信望を集め、真のリーダーと認知される人もおられますが、権限をもった時点で常に内省することが大事ですね。ちなみに、本当にリーダーシップが発揮されているかどうかは、‘権限と関係のないところでの支援者が社内にどれくらいいるか’で分かるといわれます。いかがでしょうか。

 残念ながら、組織が大きくなると秩序維持のために「管理」が重要視され、官僚的な運営になって、リーダーが育ちにくいという側面もあります(業界や企業によっても異なりますが)。しかし、マネージャとしての役割、つまり上位からの指示を、ルールと権限によって成し遂げることへの意欲ばかりが高いのは問題でしょう。「管理」に順応しすぎると、目に見えるもの(数字)を重視するあまり、メンバーのモティベーションや組織全体のムードといった、目に見えないものの価値を理解する能力やセンスが培われにくいことがあり、それではリーダーシップを発揮できないわけです。またリーダーシップにはリスクを負う覚悟を伴いますから、我が身の安全のために「管理」だけで過ごしたいとの心情も生まれるのかもしれません。課長より部長、部長より事業部長と職位の上昇につれて権限(つまり責任)が大きくなるほど、管理能力以上にリーダーシップを発揮したいものです。

誰もがリーダーシップ

 一方で、リーダーシップは、年齢や役職に関係なく、誰にでも発揮することができます。(子供たちの遊びの場面や、趣味の集まりのなかにもみられますよね)。ITプロの職場でも、様々な組織のメンバーが集まって一つのプロジェクトを進める場合などは、職務上の権限の及ばない人たちとの協働ですから、まさに、真のリーダーシップの発揮場面です。(「寄せ集めプロジェクトにおけるリーダーシップ」
 
 冒頭にお話したような状況から脱出するには、リーダーシップが不可欠です。もしもあなたが管理だけでなくリーダーシップを目指すなら、今が頑張りどき、デビューのときかもしれません。個人としてのキャリア発達の点からも、誰かから命じられるのでなく、内側からの思いを基に、身近なところから動きを始める価値は、非常に大きいです

 「僕たちをリードしてほしい」という声は耳にしますが、「僕たちを管理してほしい」とは聞かれません。この業界にリーダーシップがさらに増えますように。

 それでは、今日もイキイキ☆お元気に。