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 2006年10月に東京都江東区「アーバンドッグららぽーと豊洲」にオープンして以来,大人気の子供向け体験型テーマパーク「キッザニア(Kidzania)」。

 「こどもたちによるこどもたちの国」がコンセプトのテーマパークでは,消防士,キャビンアテンダント,モデル,医師など,約70種類のお仕事を疑似体験して,社会の仕組みを遊びながら学べます。そして仕事体験を通じて専用通貨「キッゾ」を稼いで,銀行に預けたり,買い物や習い事に使うことまでできるのです。

 メキシコ生まれの唯一無二のテーマパークの楽しさを実感した子どもたちの多くは,「もう一度来たい」と言うはずです。その特別な体験を,両親がブログに書かないわけがありません。さらに,公式サイトには「今日のキッザニア」というブログが組み込まれ,効果的な情報発信に一役買っていることも見逃せません。

はやくも37万4000サイトの8割以上がブログ?のネットコミ

 2007年3月4日22時現在,Googleで「キッザニア」とキーワード検索をすると,約37万4000件がヒットします。この37万件という数字の多さを実感していただくために,いくつかの数字と比較してみましょう。

 まず,同じ2006年10月にキッザニアのみならず190のショップとレストランを擁してオープンしたショッピングモール「ららぽーと豊洲」の検索結果,24万6000件を既に上回っています。一軒の店子(たなご)が,190軒の大家を圧倒しているわけです。

 また,同じテーマパークで比較してみると,規模も業歴もはるかに上回る「よみうりランド」の29万件,「としまえん」の22万4000件,「花やしき」の20万5000件を,早くもわずか半年間で上回っています。

 さらに「キッザニア」「ブログ」と2語を組み合わせて検索をしますと,約30万6000件がヒットして驚きます。それが全てブログサイトだと仮定しますと,「キッザニア」のキーワード検索結果である約37万4000件のうち,実に8割以上がブログコミだということになります。「よみうりランド」「ブログ」の検索結果が12万3000件,「としまえん」「ブログ」が12万6000件,「花やしき」「ブログ」が10万1000件である事実を考えれば,キッザニアのブログコミパワーが分かります。

 半年間で老舗テーマパークを上回るネットコミを作り出した秘密は,どうやらブログにありそうです。なぜ,こうした熱いネットコミが生まれたのか,先日のわがキッザニア体験も踏まえて考えてみます。

日本初の物珍しさがブログを書かせたくする

 まず何と言っても,キッザニアが「こどもが主役のこどもの街」という「日本初のまったく新しいコンセプトによるテーマパーク」であることが挙げられます。

 キッザニアのオリジナルは既にメキシコに2カ所あるので,世界初というわけではありません。しかし,米国の西海岸にあるディズニーランドやユニバーサルスタジオなどと比べて,現地で体験した人は少ないはずです。
 
「まだ誰も体感したことがないからこそ,いちはやく実体験したい」
「ブログにも書きたい」
「ブログに書く価値がある」

 ブロガーなら誰もがそう考えることでしょう。

なかなか「予約が取れない」「入場できない」から自慢

 さらに,キッザニアに入場するのは大変です。当日券こそあるものの,たちまち売り切れてしまうために,実際にはネットで予約しなければ入場できません。1日2回の完全入替制で,入場できる人数も限られます。最近,入場予約数は増員したものの,1回につき数百名程度でしょう。相当な狭き門です。

 試しに公式Webサイトで,ご予約状況カレンダーをご確認ください。毎月1日に半年先の予約までできるのですが,3月7日現在,日曜日の予約は8月まで満杯です。私もオープン当初から強い関心を持っていました,日曜日に入場する予約を手にするまでに5カ月近くもかかってしまいました。

 つまりキッザニアの入場券は,今や「プラチナチケット」なのです。この状況は,リピーターがリピーターを産む好循環で,あと1~2年は続きそうです。当面,キッザニアに行ったというだけで,かなり自慢できるでしょう。

 ですから,鼻高々にブログに書きたくなるのは,ごく自然なことです。

予約方法や回り方にテクニックが必要

 このように,入場前に予約をするのも大変なキッザニアですが,パークに足を運んでからもさらなる試練が次々に待ち構えています。

 私も開場2時間前から行列に並ぼうとしましたが,既に100名近くが座り込んでいました。ちょっと遅すぎたのです。そして開場直前に振り返ると,入口からは見えないほど先まで長蛇の列ができていて驚きました。それぞれお目当ての人気職業を一番乗りで体験しようとしているのでしょう。

 なにしろ,ある職業体験をできるのは1回につき数名。これまた狭き門なのです。ですから,どの職業をどんな順番で回れば良いか,事前にかなり戦略を練らねばなりません。

 キッザニア関連の個人ブログを読みますと,キッザニアの予約方法から攻略法まで親切に教えてくれる記事が多いことに驚きます。一筋縄では楽しめないからこそ,初めて訪れる誰かに役立つノウハウをブログ記事を書きたくなるのは,不思議なブロガー心理です。

 かくいう私も「キッザニア東京を満喫する秘策と場内限定T」という記事を,思わずオールアバウトに書いてしまったのです。

1回や2回ではとても回りきれずリピーター化

 しかし,事前にどれほど戦略を立てたとしても,悲しいかな1回5時間の入場時間はあっという間に過ぎ去ります。

 人気の職業は,1時間待ちなど当たり前。職業のはしごをする要領が悪かったり。ゆっくり食事をしたりすると,わずか2~3の職業体験しかできないうちに時間切れになってしまいます。うまく回ったとしても,5つか6つの職業を体験するのがやっとでしょう。

 ですから,多くの子どもは終わった瞬間に「また来たい」と両親にねだることになるはずです。全ての職種を体験したくなるのは,子どもたちにとっては「当たり前」のことですので,ごく自然にリピーターになるのです。

 子供の一言で,両親は,またネット予約を繰り返しては,プラチナチケットを苦心して入手することになります。2回,3階と入場するたびに,報告ブログを書く人も少なくありません。次の自慢?は,ただ行ったかどうかではなく,何回行ったか,すべての職種を制覇したか,いくらキッゾが貯まったかになりそうです。

日経Kids+やプレジデントFamily的家族が書く

 キッザニアは,2歳~12歳までの幼児や小学生の子連れ親子でないと入れない,かなりターゲットが絞られたテーマパークです。いわゆるデートスポットにはならないテーマパークなのです。

 博報堂生活総研のレポート「多世帯社会」によれば,夫婦と子どもという標準世帯は,今や全世帯の3割前後しかいないそうです。ですから,これまでのように標準世帯に安易にスポットを当てたビジネスは難しくなるわけです。

 しかし少子化が進む一方で,日経Kids+やプレジデントFamilyなど,子どもの教育に熱心な両親が読む雑誌が売れていると聞きます。

 おそらく,キッザニアでわが子に職業体験をさせて,遊びながら新たな学びの機会をと考えるのは,子育てに特別な関心を抱く親たちでしょう。なにしろネット予約がキッザニアに入場する必須条件ですから,パソコンなどの習熟度も高いはずです。もちろん,ブログを書くぐらいは造作もないはずです。

アフィリエイターのSEO対策にも使われる

 また,キッザニア関連の個人ブログを見ていると,アフィリエイターがアクセスを稼いだり,検索エンジンで上位に表示されるための方策として活用しているケースも見受けられます。

 何と言ってもキッザニアは人気キーワードです。役立つ攻略法をブログで発信したり,関連のリンク集を作ったりすれば,人気サイトになることもできるでしょう。

 しかも,キッザニアを検索する人は「2歳から12歳の子どもを持つ教育熱心な親」と来訪客のイメージはきわめて明確です。だとすれば,そんな子煩悩パパとママが喜びそうなグッズ,本,DVD,サービスなどのアフィリエイト・バナーを貼れば大変効果的でしょう。

 こうしたキッザニア効果に気づいたアフィリエイターは,積極的にキッザニア情報を発信しながら,ひそかに効果を上げているはずです。

キッザニア公式ブログも毎日効果的な情報を発信

 ブログ発信に熱心なのは,来場者個人による勝手ブログだけではありません。

 公式サイトのメニューにある「今日のキッザニア」は,まさに毎日かかさず更新されている「公式ブログ」なのです。このブログには数々の工夫が散りばめられていて参考になります。

1.場内の写真が効果的に使われている

 ブログの特性を生かして場内の生々しい写真を多用しています。見出しと3つの写真で今日の記事を表現しており,「もっと見る」へのクリックを促しています。

 記事本文の写真はミニサイズですが,クリックすれば拡大されて詳しく見ることができます。

2.こどもたちが記事でも主役

 ブログ記事では,実際にキッザニアで職業体験をして楽しんだ子どもの写真とインタビューが効果的に使われています。

 子どもの写真をブログに乗せるのは,昨今プライバシー規制で極めて難しいとされています。しかし,ここでは注意書きにある通り,その場でご両親と本人の承諾を取った上で,苗字を隠して掲載しています。

3.今日のキッザニアン

 また,毎日,ブログ記事の最後に「今日のキッザニアン」という定例人気コーナーがあるのも印象的です。来場者の中から3人の子どもを選んで,ショートコメントつきで,顔写真を掲載しています。

 もちろん,ここでも両親の承諾済みでの掲載です。おそらくNHKの「おかあさんといっしょ」に子どもを出演させたいように,「今日のキッザニアン」にわが子を登場させたい両親も多いはずです。

 毎日発信している,この公式ブログが,日々新鮮な情報発信のみならず,ブログコミ生成にも一役買っていることは間違いありません。なにしろ「うちの子が出てる」のです。当然ながら,両親やお友達からのリンクも多いことでしょう。これが検索エンジン対策にもつながります。

 キッザニアが,いつまで現在の高い人気を保ち,どこまでブログコミを広げるか,興味はつきません。このキッザニアのWOW(ウェブクチコミ)マーケティングの成功例は,テーマパークに限らず,どんな業種にも役立つと思います。

 その根っこにある「親バカブロガー心理」を知りたければ,親戚の子どもを連れ出してでも,ぜひ機会を見つけてキッザニアを訪ねてみてください。そして訪問前後にキッザニア関連のブログを見れば,ブログコミ発生の秘密も体感することができるでしょう。