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 キーファー・サザーランド主演のTVドラマ「24」は日本でも大ヒット。私もPart1を初めて見た時は,すっかりはまり込んで,あと一つ,あと一つ,とついに10数時間を連続で見てしまいました。

 その「24」に勝るとも劣らぬスリル満点のイギリス製TVドラマがBBCアメリカから放映されています。その名も「State within」。国防総省を取り巻く陰謀をモチーフとしたストーリーは泥沼化しているアメリカのイラク侵攻の舞台裏を暴露?と勘ぐりたくなるような展開。派手な銃撃戦,自動車爆破といったアメリカ製番組特有の騒々しさがなく,その分,しっかりしたドラマ性を楽しむことができます。

 「State within」は大統領誕生日の3連休に連続放映され,2月24日には6話シリーズの最終回が放送されました。私も前評判は聞いていたので,よ~し見るぞ!と楽しみにしていたのです。

 私は通常,出張がない限り,週末をルックアウトランチ(郊外の自宅)で過ごすことにしています。人里離れたルックアウトランチは,デジタルデバイドどころか,陸の孤島に近く,IT革命の恩恵とは縁遠い存在です。

 山の中なので,地上波TVやラジオ放送はほとんど通じません。人口密度が低いためCATVはなく,電話局から離れているためADSLもなく,ブロードバンド化の波はここまでは届きません。携帯だって場所によってはかろうじて通じる場所があるという程度です。

インターネット経由でTVが見られるSlingbox

 それでもやっぱりテレビを見たいという誘惑には勝てず,ついに衛星放送を入れました。衛星放送のチャネル数は600数十!地上波全国ネット系,ローカル局系,CATV,映画,音楽,etc。重複分を排除してもゆうに100チャネル以上はあります。週末ずっとTVを見続けてもまだ追いつかないほど番組は豊富なのです。

 ところが!「Oh, No!」 突然の嘆声。どうしたのかの思いきや,衛星放送の受信機を持ってくるのを忘れたとMr. グレース。「ええっ,今週末,TV見られないの?」と落胆する私。「State within」の最終回はどうしても見たいのに。

「Slingbox(スリングボックス)は使えないの?」と私。
「Oh, yes! That's right. We should be able to do that!」とMr. グレース。

 スリングボックスは,ソニーのロケーションフリー(ロケフリ)と似た機能を持った家庭用TVストリーミングシステム。インターネット経由で,PCでTVが見られる装置です。さらにスリングキャッチャーというアダプタを付加すれば,フラット大画面テレビとサラウンドオーディオに接続してホームシアターを実現することができます。けれどもスリングキャッチャーは1月のCESで発表されたばかり。まだ店頭には並んでいません。

 インターネット配信の動画を観るのにブロードバンドは必須。BB化の波に乗り遅れているルックアウトランチでも,さすがに22kbpsのダイヤルアップでいつまでも満足できるはずがなく,データ通信は通信衛星ワイルドブルーを利用しています。下りで公称1.5Mbps,降雨減衰などを考慮した実測値はさらに低く,とてもブロードバンドとは言えませんが,それでも用は足りるはずと,早速試してみました。

 そしてその結果は?

 時々パケロスが発生し,画面が凍ることがありましたが,それでも一応PCで番組を見ることができました。お世辞にも良いとはいえない画質よりも,PCのオーディオ品質の悪さの方が不満。音量を最大限に上げても,「よく聞こえる」ようにはならないので,ひそひそ声の部分がどうしても聞き取れなかったのが一番残念でした。

 電源系から始まって,様々な面で冗長構成が実装されているルックアウトランチ。まさかプライオリティが低いはずのTV視聴でその冗長性を活用するとは思っても見ませんでした。でもこれがテレビ大好き人間だったら,CATV,衛星放送,IPTV,ワンセグは,日常生活になくてはならない存在になるに違いありません。

通信と放送の融合がもたらす試練

 通信と放送の融合,FMC,モバイルマルチメディア,iPod。消費者を対象としたサービスの拡充,利便性の向上が追求される一方,サービスを提供する側は,開発コスト,インフラ設備投資,増加の一途を辿るトラフィック量に見合うだけの収益をあげられず,確固たるビジネスモデルの創出に四苦八苦しているようです。

 アメリカでは,地上波TV放送は,全国ネットでもローカル局でもあまりおもしろい番組がないため,有料のCATVや衛星放送が普及しています。また,衛星ラジオもかなり普及してきました。車での移動距離が長いアメリカでは,1つの局からの放送がすぐに聞こえなくなってしまうという問題の解決策として,衛星ラジオが利用されているのです。

 2000年に登場した米国の衛星ラジオは,先週,XMラジオとシリウスという大手2社の合併計画が発表されました。黒字転換できず,売り上げを両社ともに下方修正していました。合併によって経営資源のオーバーヘッドを削減するとのことですが,7年前のニュース記事を見てもわかるように,サービスが登場した当時から2社の合併は想定されていたようです。

 放送とVoD,CDとiPodとミュージック配信,TV番組と映画,ラジオ放送とポッドキャスト。コンテンツ保存媒体の変化と配信・再生方法の多様化とが,車の両輪のごとく進化しています。特定のビジネスモデルが市場の方向性を決めるのか,利用者主導で市場が自然淘汰されていくのか,今後の動きに注目したいと思います。


インターネット配信の動画を観るのにブロードバンドは必須。ルックアウトランチではデータ通信に通信衛星ワイルドブルーを利用している
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