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 「SIerに求められる2010年の技術」の最終回は、新日鉄ソリューションズの岩橋良雄専務取締役に聞いた。

 岩橋氏は「リアルタイム性の向上で、ネットワークとしてのSOA(サービス指向アーキテクチャ)やSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を考えていく必要がある」と強調する。ただし、ビジネスモデルは変化していくので、使うアーキテクチャも変化する。そこには、「ソフト部品やハード部品を使ってビジネスモデルや業務プロセスなどを技術デザインしていく力が求められる」(同)。部品の組み合わせを調べ、検証実験を行う必要もある。つまり、部品を使って、「顧客にこんなことができる」と仮説を立てられる人材が効果的な方法を考え出し、素早く実効に移すことが競争に打ち勝つ条件になる。そこに関係する技術が重要というわけだ。

ITユーティリティ時代に備える

 さて、NTTデータ、日本ユニシス、野村総合研究所、新日鉄ソリューションズの4社の技術担当責任者の意見から、SIer(システムインテグレータ)に求められる技術の共通項を探し出してみた。

 今、IT業界の最大の関心事は品質と生産性向上にあるだろう。あちこちでITシステムのトラブルが発生し、その火消しに追われる日々が続く。そこで、プロジェクト管理の徹底化などを実施するものの、品質問題の本質的な解決には至っていないのが現実ではないか。ソフト開発の生産性向上の決定打を見つからない状況も続いている。技術者不足はなかなか解消できないし、オフショア戦略は目下のところコスト削減しか見えてこない。

 こうした状況下で、NTTデータの松本隆明技術開発本部長が指摘した「システムもサービスも所有から利用へと進む」が大きなカギを握っている。SIerのビジネスモデルを大きく変える可能性がある。ITシステムの構築からITユーティリティ・コンピューティング環境へと進展すれば、SIerの収益源は人月単価からサービス利用料になるからだ。サービス低下を招く恐れのある個別対応カスタマイズからの解放という見方もできるだろう。

 米IBMのルイス・ガースナー会長(当時)がITユーティリティ・コンピューティング時代の到来を予想したのはもう7年前になる。仮想化、統合化、自律化などの技術開発に、大手ITベンダーがこの間に注力したことで、ITユーティリティ環境を実現させる技術は揃ってきた。CRMのASPサービスを展開する米セールスフォース・ドットコムをはじめ、ASP事業が軌道に乗り始めきたこともあり、この方向に舵を切るSIerも出てきつつある。

 こうしたITユーティリティ型インフラの整備とソフトをサービスとして提供するASPのサービスメニュー化が大きなテーマになっている。SaaSと言い換えることもできる。単純な1つのアプリケーションを提供するのではなく、複数のサービスを組み合わせて利用できる環境にする。そこで、登場してきたのがASPプラットフォームを指向するベンダーだ。また、ユーザーが今、必要な機能だけを提供する仕組み、さらにはユーザー自身が自由自在にサービスに加工し、自分好みのサービスに変更できる、いわばDIY型ASPに関する技術も欠かせないだろう。

 同時に、多種多様な形態の情報を収集し、分析する技術も求められている。NRIが個人のブログやSNSなどから情報収集する技術を挙げ、Web2.0時代の情報活用の重要性を指摘したことが端的な例だ。分析ツールなどを提供する方法と結果を提供する方法がある。開発環境をASPで活用することも考えられている。最新ツールなどをいつでも、どこからでも活用できる仕組みだ。

 こうしたことがITの投資効果をはっきりさせるとともに、SIer自身の開発生産性や品質の向上につながる。ビジネスモデルを変える道ともいえる。