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写真1 清華科技園の夜景。この一角に多数の中国系および外資系IT企業が入居する
写真1 清華科技園の夜景。この一角に多数の中国系および外資系IT企業が入居する
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 正式なご挨拶が連載2回目となってしまいましたが,自己紹介させていただきます。北京在住の玉利と申します。

 私は2006年の夏までITエンジニアとして日本で10年ほど働きました。以前から出張で中国南部にある深セン市には何度も来ていましたが,13億人の市場動向を腰を据えて確かめるべく,仕事を休んで自費留学することにしました。この連載をお借りしてITpro読者の皆様に「現地在住者の視点から見た現在の中国IT事情」をご紹介したいと思います。また,中国社会の仕組みや人々の生活の様子なども綴ってゆく予定です。

 さて,「中国のIT事情を間近で見たい」。そのような理由から,私の住む部屋は北京市の北西,大学やIT企業が集まる「中関村」エリアに決めました。現在,北京は不動産バブルの真っ最中なので私の部屋の家賃も安くはありません。家賃に圧迫され,食費と小遣いの予算は1日300円(約20元)です。日本人在住者としてはかなりの貧困生活(?)ですが,そのおかげで中国人の生活視点で中国社会を分析できると思っています。

 この連載のタイトルにもなっている中関村(中国語ではzhong guan cun,ヂョンガンツンと発音)について説明しましょう。中関村は「中国の秋葉原」とも「中国のシリコンバレー」とも呼ばれている街です。秋葉原のように家電やパソコンの量販店が密集する電脳街であると同時に,シリコンバレーのように多くのIT企業が集積する街でもあります。中関村は中国のITを語る際に,絶対に外せないキーワードなのです。

 中関村は,かつては皇帝の庭園がある郊外の町でした。現在でも世界遺産の「臣頁和園」(注,「臣頁」で一文字)をはじめ,「円明園」など有名な庭園が残されています。皇帝の庭園の一つである「清華園」跡地に有名な清華大学が設置され,新中国成立後に北京大学が北京市中心部から移転してきたことで学園都市になりました。

 80年代,中国政府は大学の予算を減らし,大学自らが事業を行って運営費を稼がなければならない制度を導入しました。このため大学教授が教授の身分のまま事業を起こすなど,産学連携が活発化しました。中関村もこの流れに乗り,ハイテク産業エリアとして成長を始めました。さらに中国政府は中関村におけるハイテク企業の発展のため,税制などの優遇策も実施しました。
 
 中関村の産学連携企業の有名な例としては,北京大学発の「北大方正」(Founder)や清華大学発の「清華紫光」「清華同方」,中国科学院発の「聯想」(Lenovo)などがあります。

 中関村には北京大学や清華大学以外にも,「北京航空航天大学」や「北京郵電大学」,「北京科技大学」など多くの理系大学があります。いずれも有名な一流大学で,これらの大学から一流の人材が中関村にあるIT企業へ供給されます。

 実は私の部屋は北京大学や清華大学の徒歩圏内です。量販店のある電脳街へも歩いて行けます。清華大学には隣接するオフィス・ビル群「清華科技園」(写真1)があり,この中には清華大学関連企業や「捜狐」,「谷歌」(Google中国法人),Microsoft中国法人など,多くのIT企業が入居しています。私のルーム・メイトも清華科技園にある中国の大手検索エンジン企業に勤めています。このあたりは若者が多く,洋服屋やカフェなどの多い非常に活気のある街になってます。

 中関村は外国人や高収入の中国人が比較的多く集う街でもあります。中関村に住んで感じるのは,高品質の製品やサービスを求める中国人が急増しているということ。Made in Japanのクオリティを持つ製品やサービスはまだまだ受け入れられる余地がありそうです。

 次回は中関村にどのようなIT企業があるのか,もっと詳しくご紹介します。