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 3月7日,会社(NTTデータ)でITアーキテクト(IT-A),ITスペシャリスト(IT-SP)の認定イベントがあった。IT-A/IT-SPは平成18年度から始まった社内認定制度で,高度な専門性を有する技術者の育成と活用を図ることを目的としている。各人のキャリアパス(専門分野)を決め,市場価値基準によって技術者のレベルを認定し,現在の実力を活かせる機会を提供するとともに,次のレベルを目標として明確化することで個人的,組織的なキャリア開発を効果的に行おうとするものだ。

写真●IT-SP(ネットワーク) プリンシパルの認定証
写真●IT-SP(ネットワーク) プリンシパルの認定証
 IT-Aは幅広い技術力を活かしビジネス上の課題解決のためシステム全体のアーキテクチャ設計を行う人材,IT-SPは特定専門分野で高い専門性を活かし期待される機能や性能を実現するための設計や実装を行う人材,となっている。IT-SPにはデータベース,ネットワーク,ソフトウェアアーキテクチャなど6分野がある。

 レベルは上からプリンシパル,エグゼクティブ,シニア,アソシエイトの4段階がある。筆者はIT-SP(ネットワーク)でプリンシパルとして認定された。ラインのタイトルであるビジネスユニット長に加えて,スペシャリストとしてのタイトルがついたことになる。ちなみにプリンシパルはIT-A/IT-SPあわせて数名しか認定されておらず,筆者以外は役員だ。

 この日の認定イベントでは筆者とエグゼクティブに認定された二人の計3名が記念講演を行った。筆者のテーマは「ネットワークエンジニアの心得+NGN時代のネットワーク」。副社長をはじめとする役員を含む100人ほどが聴講者だ。会社的には格式高いイベントにしたいのだろうが,筆者の講演はいつもの調子だ。出だしは,「講演というのは役に立つ立たない以前に,面白くなければいけません。面白い講演であるためには講師が楽しく話せなきゃいけません。楽しく話せるための条件は3つあります。第一に聴講者が多いこと。今日はちょっと少ないですね。2つめは講演料が高いこと。今回は社内なのでタダですね(会場,笑)。3つめが何だか分かりますか?」と問いかけた。

 「2,3年前に仙台の会社に招待されて講演しました。200人が集まり,講演料もありました。しかし,3つのめの条件がまったく満たされてなかったのです。(間) 200人が全員,男だったからです」(会場,爆笑)。

 以下は面白おかしく,しかし,ところどころチクリと刺激しながら講演を進めた。最前列の役員が「こいつを認定するのではなかった」と後悔の色をにじませているように見えたのが錯覚だといいのだが。筆者自身がどう思っているかというと,NET&COMの講演にたくさんの方が来てくれたり,このコラムのアクセスランキングが高かったりという,「世間の評価」を重視している。しかし,やはり自分の会社から認められるのは嬉しいことだ。

 さて,今回は「3」という数字の不思議について述べたい。講演を楽しくする条件,提案書や講演がアピールする条件,NGNの定義,等々何事もポイントを3つに集約するとスッキリと過不足なくまとめられることが多い。

コヴィーの「7つの習慣」は冗長

 数日前にビジネスユニット内の打ち合わせを行った。毎月行っている,会社や本部の状況,ビジネスユニットとしての方針などの説明や相談をする会議だ。会議の最後に若手社員から,最近受講した「7つの習慣セミナー」の紹介をしてもらった。「7つの習慣」はもともとスティーブン・R・コヴィーが90年に出版した本(原題:The Habits of Highly Effective People)の邦題である。この本では,ビジネス,家庭,などあらゆる場での成功の原則について述べている。世界で1500万部以上売れているそうだ。 

 7つの習慣とは,一「主体性を発揮する」,二「目的を持って始める」,三「重要事項を優先する」,四「Win-Winを考える」,五「理解してから理解される」,六「相乗効果を発揮する」,七「刃を研ぐ」だ。20~30分で紹介して貰ったので,細かなことは分からない。聴き終わって開口一番こう言った。「一から三はいつも言っていることと同じだね。うちでは大半の人が出来ている」。

 言い方は時々に違う。「自分の頭と手を使え」,「提案書を書くのが営業の目的じゃない。受注が目的。分厚い提案書を書くのはムダ」,「優先順位を考えてやろう」,「何かしているのが仕事じゃないよ。意味のあることをするのが仕事。意味のないことをするのは時間つぶし」---。こんなことをいつも言っているので,コヴィーの3つの習慣は筆者のユニットでは当たり前になっている。

 4つめ以降もたしかにあるが,最初の3つが出来ていれば仕事は十分効率的,効果的に出来ると思う。コヴィーも重要だからこそ,最初にこれら3つを持ってきているのだろう。7つというのは感覚的に多すぎる。「重要事項を優先する」という3つめの習慣が出来ていないのだ。提案書に導入効果を7つも書き並べたら,「たくさんあるけど目玉がないね」と言われるのがオチだ。7つの習慣は冗長,3つで十分,と思うのだがどうだろう。3つなら誰でも簡単に記憶でき,日々思い起こすことも容易だ。

一番バランスがいい「3」

 ということで筆者はいろんな事柄を3つにまとめるのが好きだ。いくつか例をあげてみよう。講演や提案書がインパクトを持つための条件は,(1)独自性があること,(2)ストーリーがあること(筋が通っていること),(3)裏づけがあること(事例やデータ)の3点だ。

 NGNはこのコラムで何度か書いたとおり,(1)IPで固定電話網,携帯電話網,データ網を統合,(2)インターネットにはないQoSとセキュリティの保証,(3)多様なアプリケーション,サービスの開発が容易,の3点で定義できる。

 IP電話をパソコン上のソフトで実現するソフトフォンのメリットも3つ。(1)LAN配線が不要(パソコンのLANがそのまま使える),(2)電源が不要(パソコンからUSBでハンドセットに給電),(3)テレビ会議など付加価値の高いサービスが可能。音声通信は使われなくなっているので,IP電話にコストをかけてはいけない。ソフトフォンを使えばLAN工事も電源工事も不要,高価な給電スイッチングハブ(IP電話機にイーサネットで給電できるハブ)も不要で,IP電話を安価に導入できる。おまけに高くて大きいだけの据え置き型IP電話機では不可能なテレビ会議も,安価なカメラをつけるだけで出来る。

 このように重要度の高い3つのポイントで物事をまとめると,必要十分なことを,分かりやすく,しかも,記憶しやすく相手に伝えることが出来る。枝葉を付けようとすれば,いくらでも付けられる。しかし,それは網羅性を増すメリットより冗長性を高める害の方が大きい。逆に1つや2つでは網羅性と説得性が足りなくなる。筆者は「3」という数字が一番バランスがいいと思っている。何故かは分からないが,深く追究すると脳生理学的な理由があるのかもしれない。3つまでは脳内でしまっておく棚が一つで済むが,それを超えると複数の棚に分かれる,というような感じがするのだ。

京都の春がまた来る

 春は京都と決めている。毎年,桜の時期に京都で情報化研究会をしているのだ。今年で連続8年目になる(第8回京都研究会)。京都には京都組というNTTコミュニケーションズや西日本の若手がおり,いつも研究会や打ち上げの設営に協力してくれている。

 今年のテーマは「『逆転』の時代におけるネットワークの考え方」だ。スピーカーは筆者とBT(British Telecom)グループ テクノロジー&イノベーション担当バイスプレジデント ヤン・キムさんだ。キムさんとは筆者が自分のホームページにBT Fusion(BTのFMCサービス)のことを書いたのをきっかけに知り合った。書いてあることと,事実が違うのでわざわざ説明に来てくれたのだ。 

 以来,公の場で二回,一緒に講演した。年齢が同じなだけでなく,考え方が似ているため話していて楽しい。キムさんは高校卒業まで韓国におり,イギリスに渡って大学を卒業し,BTに入社した。現在では英国籍を持つ。

 情報化研究会の若手の人たちには,キムさんの講演から単に知識を吸収するだけでなく,グローバルなものの考え方を学び取ってほしいと思っている。通訳はNTTコミュニケーションズの女性がしてくれる予定だ。TOEICが満点だという。頼もしい限りだ。