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エーオン リスク サービス ジャパン
インフォメーション・テクノロジー 担当部長 野間文子氏

 私が現在勤めているエーオン リスク サービス ジャパンは,企業のお客様に対して,経営上のリスク・マネジメントや保険に関するコンサルティングを行う会社です。米国に本社があり,全世界120カ国以上に約500カ所の拠点,4万5000人の社員を抱えるグローバル・カンパニーです。

 私は昨年6月に,ゼネラル・エレクトリック・インターナショナル(GE)からエーオンに転職しました。それ以来,インフォメーション・テクノロジー担当部長として,複数のIT導入プロジェクトを推進してきました。CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)導入プロジェクトはその中でも大型の案件で,プロジェクト・リーダーを担当しています。

 CRMを導入する狙いは,これまでの属人的だった営業プロセスを整理し,ノウハウを共有することで,会社全体の生産性を高めることにあります。新入社員でも営業情報やノウハウを活用すれば,短期間で質の高い仕事を効率的にこなせるようになるのです。

 ベテランの営業マンの中には,CRMの導入に消極的な人もいます。自分に自信のある人が,仕事のやり方に変化をもたらすシステムに対し,抵抗するケースはよくあります。こうした声をきちんと受け止めながら彼らを説得し,会社全体の利益を向上させるためのシステム導入を推進していくところに,プロジェクト・マネジャーとしての手腕が問われます。

米国の大学を卒業し,GEに入社

 将来,コンピュータの道に進もうと意識したのは高校生の頃でした。英語とコンピュータを勉強したいと思った私は,迷わず米国の大学に進むことに決めました。当時の日本では,情報工学を学べる大学が限られていたからです。

 2001年にイースタン・オレゴン大学を卒業し,GEに入社しました。GEを選んだ理由は,リーダーシップ・プログラムの募集があったからです。リーダーシップ・プログラムとは,専門スキルやビジネススキルを身に付けるためのトレーニングとOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)とを組み合わせて行う,GE独自の研修プログラムです。

 私はインフォメーション・マネジメント部門のリーダーシップ・プログラム「IMLP(Information Management Leadership Program)」での採用となり,このプラグラムの実施期間である2年の間に,生命保険の商品部門,コーポレート部門,エンジン・サービス部門,キャピタル・リーシング部門という,GEのグループ会社の4つの異なる部門を回り,それぞれの業務を覚えながら,プロジェクト・マネジメントを学ぶことになったのです。

4つの異なる業界でプロジェクト・マネジメントを経験

 このプログラムに参加してよかったことは,4つの異なる業界の商慣習,業界特有の考え方を経験できたことです。「この業界は自分に合う,あの業界は合わない」ということも分かりました。また,GEの経営改革手法であるシックスシグマや,GEの企業風土や価値観について学べたことも,その後のキャリアを構築する上で大きな収穫でした。

 この2年間のプログラムの中で最も印象に残っているプロジェクトは,キャピタル・リーシング部で取り組んだCRMツールのWeb化プロジェクトでした。私の役割は,プロジェクト・マネジャー(PM)の補佐役。スケジューリングやベンダー・マネジメントなどを担当しました。

 GEでは,プログラム開発についてはオフショアで実施することが多く,このプロジェクトでは中国・大連の企業が担当することになりました。隣国の中国とはいえ,商慣習やものの考え方は,日本のそれとは大きく異なります。

 例えば日本人の考え方は,どちらかというと細かい問題から入り,それを大きく広げていくことを得意とします。しかし米国やインド,中国などは大きな問題から入り,徐々にブレイクダウンしていきます。他にも,企業文化や地域の風習,仕事への取り組み方など,数え切れないほどの違いがあります。そうした相違点を理解し,仕事をスムーズに進めるにはどうすればいいかを,試行錯誤の中で習得していきました。

 ここで得た「異文化を乗り越え,プロジェクトを成功させる」ノウハウは,現在エーオンにおいてCRMツール導入プロジェクトを推進する上で非常に役立っています。

 2年間のIMLPを終え,GEインターナショナルの「ソーシング」部に配属になり、eソーシング・リーダーとして、購買など資材調達のためのITツールをGEの関連会社に導入していく仕事に取り組みました。

 ここで私は,関連企業に購買に関わるシステムの運用と導入を行い、その一つとして逆オークション・ツールを導入するプロジェクトのマネジメントを担当しました。逆オークションとは,その名のとおりオークションの逆で,買い手側が購入希望商品を提示し、売り手側が入札する取引方法です。

 購買に関わるグローバルシステムに関して、ツールの開発などはインドの協力会社に委託し,ヘルプデスクは中国の企業に委託しました。IMLPのときは,各プロジェクトに参加していたのはせいぜい6カ月で,プロジェクトを完結させるまで関与することはできませんでしたが,ソーシング部門の逆オークション・ツール導入プロジェクトを含む購買関連システムの導入に関しては,導入・要件定義から運用に至るまで一貫してプロジェクト・マネジメントを手がけ,無事に軌道に乗せることができました。

小さな組織でアグレッシブに仕事をしたい

 GEは,年齢や性別に関係なく,力量に合った責任ある仕事を任され,チャンスを与えてくれる会社です。上司は私の提案によく耳を傾けてくれたし,とてもコミュニケーションの取りやすい人でした。仕事にも上司にも恵まれ,満足できる職場環境でしたが,やがて私は何か物足りなさを感じるようになりました。

 GEは外資系企業の中でも日本での歴史が古く,組織も大きく,良い意味でさまざまなプロセスが完成されている会社です。業務プロセスは完全に体系化されており,システマティックに進んでいきます。ITの導入についても,ツールの選択から,導入のタイミングまで米国主導。日本から提案を行う場合も,決まったプロセスに従って本社の承認を得なくてはなりません。

 例えば逆オークションツールのセキュリティの仕様決めの際も,「日本では個人情報保護法があるため,こういう仕様でなければならない」ということを,本社の会議で説明する必要があります。また,「日本の商慣習に合わせて,こういう機能を盛り込みたい」と提案しても,すぐには実現しないこともありました。

 「小さな組織に移れば,自分のやりたいことをもっとアグレッシブに実現できるかもしれない」。別の会社で経験や知識を広げたいという気持ちもあり,私は転職することに決めました。

 次回はエーオンで取り組んでいる仕事内容と,プロジェクト・マネジメントの極意などについてお話しします。


【野間文子氏の略歴】

Eastern Oregon University卒業後,ゼネラル・エレクトリック・インターナショナル・インク入社。2年間のIMLP(Information Management Leadership Program)で,GEの4つの関連会社でITプロジェクトに携わり,プロジェクトマネジメントを学ぶ。その後2年半にわたって,e-Sourcing Leaderとしてソーシング関連のツールの導入,運用を担当する。 2006年6月,エーオン リスク サービス ジャパン入社。コーポレートITの担当部長として,ITガバナンス,プロジェクトマネジメント,ITセキュリティなどを担当している。