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 もうすぐ新人研修のシーズンになりますね。多くのIT企業では、4月の第2日曜日に実施される基本情報技術者試験の合格を、新人研修の目標の1つに掲げています。私は、毎年数社で試験対策講座の講師をしています。講座の期間は、長いところで2週間(入社~試験当日まで目一杯)、短いところで2日間ほどです。

 2週間あれば、得意の(?)ジョークを交えてじっくり教えられますが、2日間となるとそうも行きません。短い期間で新人さんを合格させるためには、とにかく過去問題を演習させ、苦手な分野を1つでも多く克服してもらうしかありません。

 さて、最近の新人さんは、どんな問題が苦手だと思いますか。基本情報技術者試験は、午前問題と午後問題に分かれています。今回は、午前問題の中から、多くの新人さんの頭を悩ませている問題(あくまでも私の経験上です)をいくつか紹介します。皆さんは、「こんな簡単なこともわからずに、IT企業に入ってくるのか!」と驚くでしょうか、それとも「こんな難しいことは、わからなくて当然だ!」と納得するでしょうか。

【問題1】

次の計算は何進法で成立するか。
131 - 45 = 53
(ア) 6 (イ) 7 (ウ) 8 (エ) 9

【解説1】

 人間の世界は10進法、コンピュータの内部は2進法、そして2進法の代替表現として16進法と8進法がある。ここまでは知っていても、答えの選択肢は6進法、7進法、8進法、9進法です。選択肢を見て「お手上げ」と思う人が多くいます。

 力任せに、131、45、53を6進法、7進法、8進法、9進法に変換する人もいますが、そんなことをしていたら時間が足りなくなってしまいます。午前問題は、2時間30分で80問を解かなければなりません。1問あたり約2分しかないのです。

 冷静に考えてみましょう。n進法で成立するとすれば、(1×n²+3×n¹+1×nº)-(4×n¹+5×nº)=(5×n¹+3×nº)という2次方程式が成り立ちます。これを解けばよいのです。2次方程式が解けないという新人さんは、いないようです(今のところ)。

【問題2】

50MIPSのプロセッサの平均命令実行時間はいくらか。
(ア) 20ナノ秒 (イ) 50ナノ秒 (ウ) 2マイクロ秒 (エ) 5マイクロ秒

【解説2】

 「計算問題が苦手です」とは、新人さんからよく聞くことです。でも、そんなに難しい計算問題が出題されることはありません。電卓持込禁止の試験なのですから、筆算で計算できるやさしい計算ばかりです。

 「公式を教えてください」と言う新人さんもよくいます。これは、いけませんね。公式の丸暗記は、応用が利かないからです。IT業界の計算には、夢のような公式など登場しませんから、何事も理屈で覚えてほしいと思います。

 プロセッサの処理能力を示すMIPSは、Million Instruction Per Second(1秒間に100万命令)という意味です。50MIPSのプロセッサは、1秒間に5000万個の命令を実行できることになります。したがって、1秒÷5000万という単純な割り算で、答えが得られます。

 ただし、ナノやマイクロという単位で混乱してしまう新人さんは、アかウ、もしくはイかエで迷います。なかなか意地悪と言うか、よくできた選択肢ですね。

【問題3】

USBの特徴に関する記述として、適切なものはどれか。
(ア) PCなどの小型コンピュータと、磁気ディスク、レーザープリンタなどの周辺装置を接続するパラレルインターフェイスである。
(イ) 音声や映像など、リアルタイム性の必要なデータ転送に適した高速な転送方式を採用しており、FireWireとも呼ばれている。
(ウ) シリアルインターフェイスであり、元来はモデムを接続する規格であったが、PCと周辺機器を接続するのにも使われる。
(エ) 三つのデータ転送モードがあり、外付け磁気ディスクにはハイスピードモード、プリンタやスキャナにはフルスピードモード、キーボードやマウスにはロースピードモードで使用される。

【解説3】

 問題と選択肢を見ただけで「ハードウエアことは丸きりダメなんです」と弱気になってしまう新人さんが多くいます。「USBを使っているが、USBという言葉が何の略なのか知らない」という新人さんも多く見かけます。これからITのプロになるのですから、ユーザー視点ではなく、エンジニア視点になって、技術用語をもう一歩深く踏み込んで理解してほしいものです。

 USBは、Universal Serial Bus(万能の・シリアル・信号線)の略ですから、「パラレル」となっているアは×です。Macユーザーなら、FireWireとUSBが別物だと知っているでしょう。したがって、イも×です。ウは、新人さんには馴染みがないでしょうが、オジサンたちには、モデムを接続する規格ならRS-232Cだとすぐわかります。これも×です。

 そう言えば、最近のパソコンには、RS-232Cのコネクタがありませんね。ちょっと寂しい気がします。SCSI(選択肢アの記述が該当する)なんてのも使われなくなりましたね。私は、手元にある300MBのSCSIハードディスクをパソコンに接続できずに困っています。たった300MBですが、捨てるのはもったいなくて。

【問題4】

貸借対照表を説明したものはどれか。
(ア) 一定期間における、現金・預金の収入・支出を示したもの
(イ) 一定期間における、資金の調達と運用を示したもの
(ウ) 会計期間に属するすべての収益と費用を記載し、算出した利益を示したもの
(エ) 会計期間の期末日時点での財政状態を示したもの

【解説4】

 基本情報技術者試験には、簿記や法規に関する問題も出題されます。それを見て「お金を勘定するような仕事をしたくないからエンジニア職を選んだのに...」と言う新人さんがいます。実は、私もそうでした。社会人になるまで、決算が何であるか知りませんでした。もちろん、貸借対照表など見たこともありませんでした。でも、エンジニアだって経済活動家のはしくれなのです。お金のことを、まったく無視するわけにはいきません。最低限これだけは知っておこうという基礎知識が、基本情報技術者試験に出題されます。ガマンして勉強してださい。

【解答】

問題1 (イ)
問題2 (ア)
問題3 (エ)
問題4 (エ)

 次回は、基本情報技術者試験の午後問題の中から、新人さんが苦手とする分野を紹介します。