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 2007年1月17日の当コラムで,「カメラのキタムラ560店舗ブログ効果とさらなる活性化案について」についてご紹介させていただきました。同社では,「全店で店舗ブログを開設し,毎週2件以上更新する」という斬新な試みを進めているのです。

 このコラムを,同社のブログ企画を立案されたご担当者が見つけて読んで下さいました。そして,同社の月例事業部長会議でコラムをご紹介下さったという嬉しいメールをいただきました。

 それがご縁で,先日,北村正志会長,武川泉社長をはじめ主要役員,全国の担当店舗を統括する事業部長のみなさま約120名の前で「ブログ道」のお話をさせていただく好機をいただいたのです。先日のコラムを一歩進めて,同社の店舗ブログをさらに活用する方策についてご提案させていただきました。

 そこで,全社を「ブログオーケストラ」化するという難事業を進めるにあたってきっと参考になる,同社の素晴らしい取り組みについてご紹介いたしましょう。

わかりやすい効果=「カメラ」とGoogleで検索して1億件中第3位

 まず最初は,ブログを企画されたご担当者である岩崎賢剛様,大滝敏司様に弊社(久米繊維)をお訪ねいただき,そこで詳しいお話を伺うことができました。

 その時,全店舗ブログを始めるというハイリスク・ハイリターン事業の効果を,社内でどのようにご説明されたかをお尋ねしました。コンプライアンスやインサイダー取引のリスクを懸念する経営層,広報部門や,常に目先の業績数字に追われる営業部門や店舗が,難色を示すのは明らかだからです。

 その決め手は,やはり検索エンジンの順位だったそうです。すなわち「ネット界のいわば『銀座四丁目交差点』あるいは『新宿駅前』にあたる一等地を,いかにローコストで継続的に確保するか」という明解なストーリーです。

 カメラという検索キーワードは,まさに激戦区。1月に同社ブログについてコラムを書いた時とはGoogleのルールが変わったのか,検索ヒット総件数は減っていますが,それでも1億件を超えています。

 その中で,価格比較サイトのカカクコムや,ネット百科事典のウィキペディアに続く3位というのは立派なスコアです。なにしろ,日本には,世界に冠たるカメラ・メーカー,デジカメ・メーカーや,都市部を中心に快進撃を続ける大型カメラ量販店が軒を連ねているのです。残念ながら,同社ではブログ開設前の検索エンジンにおけるスコアを保存していませんでしたが,おそらくベスト10には入っていなかったはずです。

 ですから,ブログ・マーケティング戦略を立案するご担当者は,まず自社のネット上のポジション=主要キーワードにおける検索エンジン表示順位をつかむことが先決です。

 そして「検索結果が寂しければ寂しいほど」経営者向けに強力なプレゼンテーションが可能です。まずは競合他社に対して,自社の置かれた状況を,「検索時の順位」という分かりやすい指標で説明します。そして,「異業種ではありますが『カメラのキタムラ』に習って,わが社でも全店舗ブログを始めましょう」と提言すれば良いでしょう。

定期検索時に賞賛記事を探して有効活用

 全社ブログ戦略を開始しても,最初は企画した人もブログを書く人も半信半疑,おっかなびっくりでしょう。

 そんな時,マスメディアや顧客ブログなどで第三者から評価された記事が,自信回復に一役買い,背中を押してくれるはずです。カメラのキタムラの全社ブログ挑戦に拍手した拙コラムも,担当のお二人にとって心強いものであり,事業部長にも説得力のあるものだったとお聴きしました。

 そこで,同社に習って「賞賛記事」を見つけたら,すぐにお礼と転載許可をいただいた上で,社内に衆知徹底したいものです。

 特にネットメディアやブログでは,取材なしに誉められたり貶されたりすることが多いので,自社名での定期検索時に合わせて探すようにします。私のコラムも社名検索時に上位表示されたので,定期検索時に見つけてくださったのです。

 コラムニストにせよブロガーにせよ,自分の記事を,その当事者の方が喜んでくださって,心からのお礼メールが届けば悪い気持ちはいたしません。

 ましてや,カメラのキタムラの場合,日経BPの許可を取った上で,拙コラムを経営者も含め月例事業部長会議で配布してくださったり,全従業員が読む社内報にまで転載してくださったのです。そこに書かれた提言が一つでも実現すれば,これほど嬉しいことはありません。

 一方で,企画運営担当者や事業部長から見れば,自分たちが店長に直接指示を出すよりも,客観的で効果的な後押しができるでしょう。

経営者から事業部長まで同席した講演が効果的

 ブログ・マーケティングは人気のテーマですので,私もよく講演をさせていただく機会があります。

 しかし,いつも残念なのは,各企業の経営者だけ,IT担当者だけ,広報担当者だけが個別に集まって聴いていることです。これでは,なかなか企業は動きません。

 経営者がやる気になって指示を出すのは良いのですが,IT担当,広報担当,営業担当にとっては,即効性がない厄介な仕事が増えたようにしか思えないでしょう。逆もまた真なりで,一部門担当者が乗り気になっても,経営者はもちろん,他部門も一緒に動かすことは,とても難しいでしょう。

 その点でも,カメラのキタムラにおける今回の月例事業部長会議での「ブログ道セミナー」は画期的でした。私にとってもはじめてのことでしたが,上場企業クラスでは初めて,経営者,関係会社も含めた役員,各支店を統括する事業部長が一同に介する場でお話をさせていただきました。微力ながら,同じ問題意識と目線で「ブログ道」の意義と心得を感じ取っていただくことができたと実感しております。

 この事業部長会議は,3月商戦についての短期戦術も共有する重要な会議でした。その貴重な時間から1時間を裂いていただき,同社の3年後5年後の地位を確立するための長期戦略についてお話しさせていただけたことに驚きました。

 こうした幹部全員が集う会議の場で,一気に問題意識を共有して意思疎通ができれば,社内調整の手間も無用な誤解もなくなります。貴重な幹部社員が社内向け営業に労力の7~8割費やすようなことは,ブログオーケストラ時代にはナンセンスでしょう。

日頃のあいさつの善し悪しとブログ道の親和性

 事業部長会議でもっと驚いたのは,講演冒頭のあいさつへの反応でした。

「3月商戦で業績を上げなければいけないところ,ブログなんてすぐには数字につながらい面倒な仕事の話…,と思われているでしょう」

 そう切り出して,私はおそるおそる話し始めました。そして「よろしくお願いいたします」と頭を下げますと,私の声に倍する大きなあいさつが帰ってきたのです。

 こんな体験は初めてでしたので,少々たじろぎました。そして嬉しくなりました。そこに集まって下さったのは,ほとんどが私より年長の幹部ばかりでした。しかし,この場に似合わぬ若輩のTシャツ外様に対して,心のこもったごあいさつをいただいたので,大いに感激したのです。

 些細なことに思えるかもしれませんが,あいさつの善し悪し=対人感受性と,ブログ道・メール道の素養とは,ほぼ正比例すると考えております。第一印象の通り,講演中も,目を輝かせて下さる方や頷(うなず)きながらメモして下さる方が数多くいらっしゃって,終始お話ししやすかったのでした。

 講演に対するあたたかい反応を肌身で感じながら,ここに集う事業部長の方々の働きかけで「店舗ブログに火がついていくイメージ」が浮かんでまいりました。

店長や店舗スタッフには講演DVDを配布

 可能であれば,全店の店長や店舗スタッフのみなさんにも同じお話を聞いていただきたいところです。そうすれば,ブログオーケストラの成長発展はさらに加速するでしょう。突き詰めれば「ブログは人なり」で,実際に書く人のやる気と能力次第だからです。

 しかしながら,グループも入れれば全国で1000店を超える店舗の,日々多忙な業務に追われるスタッフを一同に集めることは難しいことです。そこで,事業部長会議での私の拙い講演はビデオに収められ,DVDの形で各店に配布されることになりました。DVDには全国各店舗のブログで,評判の良いブログ記事を書いているパート,スタッフ,店長に「記事執筆のコツ」などをインタビューした映像も収録される予定です。

 社内報に転載された拙コラムと,この講演DVDが小さなきっかけとなって,カメラのキタムラの店舗ブログを活性化させる人が続々現れていくことが,いつしか私の願いになっておりました。

 活性化の主人公は,時に店長であり,スタッフであり,実はパートやバイトかもしれません。こうした店舗ブロガーの量と質が,今後の企業イメージと企業文化を支えていくのです。

ピクチャリングという企業コンセプトと人を生かす

 自立分散型のブログオーケストラ文化を支えるには,社内外の人々の心を1つに集める企業コンセプトが重要でしょう。

 カメラのキタムラの企業コンセプト「ピクチャリング」も,ブログ時代にぴったり重なるコンセプトで驚きました。「ピクチャリングとは,デジタル時代に写真を楽しむすべての技術とサービスのことです。私たちはピクチャリングを通じて,人の『きずな』と『思い出』づくりを創造するオンリーワン企業です(カメラのキタムラWebサイトより引用)」。

 人の「きずな」と「思い出」づくりを創造するツールとして,ブログやSNSは欠かせないものになるでしょう。「ピクチャリング」コンセプトの行き着く先には,お客様一人ひとりの「生きた証」を,写真・動画・音声・文書の数々が刻まれたブログとして残すことも入るはずです。そして,写真が育む「きずな」は,SNSを通じて,家族や友人のみならず,同じ風景,花,人物など同じ被写体を愛する同志にも広がっていくことでしょう。

 その中心的な役割を担うのは,写真を誰よりも愛し,プロはだしの腕前を持つ人も多いという,各店の店長になると確信します。だからこそ,店長自らが,いちはやく写真愛好家にとってのブログの楽しさを体感し広めていかなければなりません。

先達となる店長ブロガーを全社で讃え学ぶ

 企業コンセプトと全店ブログを最大限に生かすとすれば,これから続々現れる熱心な店長ブロガーを大切にする必要があるでしょう。

 今回の講演が終わった直後に,同社の北村正志会長,武川泉社長ご自身から,ありがたいお褒めのお言葉をいただき,私も感銘を受けました。しかし,次にねぎらいの言葉を受ける人は,ブログ道の講師ではなく,毎月,最も感動的なブログ記事を書いた店長でしょう。

 月例の事業部長会議で,自らのブログ記事を紹介し,その記事に込めた想いや店内外の反響を自分の言葉で語る機会は,店長にとっても特別な体験になるはずです。ましてや,日頃を言葉を交わす機会もない会長,社長からも賞賛されれば,生涯忘れない日になるかもしれません。

 合わせて,その店舗を担当する事業部長にとっても誇らしい勲章となるでしょう。そして,他の担当部店からも月間MVPならぬMVB(最優秀ブロガー)を輩出すべくエールを送ることでしょう。合わせて,他の店長の優れた事例を,担当部店に熱く伝えることにもなるはずです。

 その模様が,それぞれのブログ記事と合わせて,講演DVDや社内報で各店に配信されれば,各店長も真剣に見るようになるはずです。こうした楽しい切磋琢磨が,店舗ブログ全体のレベル向上にもつながるでしょう。

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 講演の中では,より具体的な助言もいくつかさせていただきました。その後の展開は,また成就した暁にご紹介いたしましょう。いずれにせよ,上場企業でありながら思い切ったブログへの取り組みを全社一丸となって始めたカメラのキタムラから目が離せなくなりました。