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 Windows 3.1以前,PC環境の移行は簡単だった。WindowsフォルダにあるINIファイルとデータ・ファイルをコピーすれば完了だった。

 INIファイルによる設定は単純だった。GUIで設定できない項目を手作業で行うこともあった。ところが,あまりにも単純だったので,手作業で不正な値が設定されてしまうこともあった。また,読み込みに時間がかかることも問題視された。

 そこで登場したのがレジストリである。レジストリはバイナリ・データベースであり,起動時にメモリーに読み込まれる。内容を変更するには適切なAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を呼び出すか,レジストリ・エディタを使うしかない。レジストリを使っても,手作業による設定ミスは防げないが,誤ってファイルを削除するようなことはないし,読み込みも高速になった。

 ところが,レジストリの採用によって,システム環境の移行は面倒になった。レジストリが格納されたファイル(ハイブ)は,Windowsの起動中はコピーできないし,たとえコピーしても簡単には設定をインポートできない。

 Windowsをアップグレードした場合,レジストリの内容は引き継がれる。しかし上書きアップグレードにはリスクが伴う。万一アップグレードに失敗した場合,上書きされたファイルやレジストリ値を復元できないからだ。

 マイクロソフトでは「Solution Accelerator for Business Desktop Deployment(BDD)」という,クライアントPCを大量展開するためのドキュメントとツール群を提供している。BDDはOSのアップグレードもサポートするが,通常のアップグレードは行わない。現在の設定とファイルをサーバーに保存し,新規インストールしたPCに保存した設定を復元する。Microsoft Systems Management Server(SMS)のOS Deployment Feature Pack(OS)も同様の仕組みを使う。

 BDDは,既存のPCの設定をサーバーに保存し,クリーン・インストールしてから設定を書き戻す。設定の保存に失敗すると致命的なことになる。何しろ,インストール前にディスクをフォーマットしているのだ。ところが,正しく保存されたかどうかを簡単に確認する方法はない。古くからPCを使っている人間にとっては,少々危険な気もするが,マイクロソフトによればその方が安全なのだという。

 いずれにしても,アップグレードに伴うリスクはまだまだ高い。OSの入れ替えには十分に注意してほしい。そういえば,私自身,最近は重要なPCについてはアップグレードをしていない。OSの提供間隔が長くなっているため,ちょうど買い換え時期に当たるためだ。これも1つのやり方だと思う。