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 内部統制の時代を迎え,IT部門は自らの組織を再編成して対応する必要がありそうです。これまで,IT部門は,経営環境の変化すなわち,バブル後のリストラ,統合基幹業務システムの導入などに対応して,その姿を変えてきました。

IT内部統制の要求がIT部門の組織のあり方を問う

 これまでのIT部門の組織は,プロジェクト重視の組織対応をしてきたことが多かったと云えます。これは,全社的な情報化の流れに沿った経営の求めに応じたものであり,合理的な結果でもあります。

 しかし,IT部門の組織運営の力点がプロジェクトを重視しすぎると,例えば,本稼働している情報システムの運用業務については,「やっていて当たり前の意識」が蔓延してしまいがちです。

 他にも,次期システムへの要望,現在のシステムへの意見や不満,システムの改変などのユーザーの声を聞いた場合など,一部の声が反映されたり,一部の人間が任意で処理することが,現状では見られるのではないでしょうか。 

 別の角度から見ると,トラブルがあった時くらいしか,IT部門のメンバーの仕事に関心を示さなくなります。

 IT内部統制の要求に対応するためには,「IT部門が行う業務活動が統制活動と合致する(そのものに成る)」ことが重要なのです。

 そもそもCIOは,経営者に次いでIT内部統制環境の原点を構成しているといえます。これは,経営者が全社的な統制環境の原点であることに準じて言えることです。

IT部門の「組織を再編成すること」が求められる

 仮に,きわめて優秀なCIOが着任したとしても,CIO一人で仕事ができることは滅多にありません。

 ITの計画,調達,導入,プロジェクト管理,教育,運用,ユーザー対応,ベンダー対応など,一つとしてCIO単独で実行できない,といっても過言ではないでしょう。

 従って,IT部門が行うべき仕事をこなすためには,多少の差はあっても複数メンバーの集団を組織化して取り組むことが不可欠です。

 この時,リーダーであるCIOは自分流ではなく,ある合理性を根拠に組織を見直す必要がある訳です。

 本日のテーマについて,例えば,日経ビジネススクールCIO養成講座では,以下のことを解説しています。

(1)IT内部統制の要求に応じた新たな組織の姿

 IT業務管理,セキュリティ管理,開発管理,サービス管理,品質管理,調達管理,サービス管理,問題管理,構成管理,変更管理などCOBIT4.0のITプロセスに対応した役割(兼任も考慮して)を良く理解した上で,自社にとって最適なIT部門組織と体制を明確にします。この時,IT内部統制の優先策を考慮します(具体的には…以下略)。

(2)IT部門のマネージメントチームを構築する

 IT部門の組織の方向性,あるべき姿が明確になれば,次に,統制環境を整えます。これは,ITプロセスをマネージメントあるいはコントロールできる「各ITプロセスオーナーの役割と統制活動を明確にする」と共に,相応しい人選と能力の不足は教育で補いつつ,その結果としてIT部門のマネージメントチームを構築します(具体的には…以下略)。

「ユーザー満足」と「内部統制要求」の両輪で

 IT部門のメンバーは,CIOの意向に素直に従ってくれることは,少ないでしょう。「日頃から,関心を持ってもらえなかった」という心理状態を抱えているメンバーも多いかもしれません。

 例え一対一で話したときに理解を示してくれたメンバーがいても,いざ,本格的に動き出そうとすると期待どおりに動いてくれないことを覚悟しておきましょう。

 IT部門全体にわたる役割の見直しを含む組織の再編成は,未知の仕事に対する不安や仕事の加重感を一人ひとりに迫ることに成る可能性が高いのです。このような組織再編を進めるにあたって、現実にはきっかけが必要になることでしよう。

 IT部門の業務成果や運用管理,ユーザー対応,ベンダー対応などの仕事ぶりについて,経営者はじめ管理者,担当者を含めたユーザー満足度調査を実施してみましょう。その結果を改善するという動機がきっかけとなります。

 もちろん「内部統制要求を満たす」ためというホットな外部要求をきっかけにするのは,きわめて時節に合ったCIOの対応といえるでしょう。

 IT部門の組織の再編を計画的に進めることが望まれます。

CIO川柳コーナー

 前回の川柳である「CIO なくて社長 何をする」を説明します。

 最近でこそ,情報を統括する責任者ということで,CIOに理解を示す経営者が増えています。

 それでも,まだまだCIOに対する理解不足が多く,CIOの皆様の不満が多いのも事実です。

 「君に任せたから頼む」と言われて「ハイ,ご期待に沿えるよう尽力いたします」といったところで,社長のIT部門への理解が深まったとはいえません。

 内部統制という外部要求の流れに上手く乗って,IT部門の抱えている業務内容(ITプロセスなど)を説明する機会を設けるなどして,もっと社長の理解を深めるべきでしょう。

 その上で,「社長とCIOの新たな姿」を構築できれば,理想的だといえます。

 次の句は次回に説明します。皆様も,考えてください。

ベンダーと 社内の力 結集す KENJIN:CIO川柳/第18句