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 4月後半,北京では美国・微軟の比尓盖茨・董事長,すなわち米マイクロソフト(MS)のビル・ゲイツ会長の訪中が話題でした。中国国内の報道によると,同会長の訪中は10回目。4月18日から21日までの滞在でした。

 北京でゲイツ会長は,病院慰問や,北京大学,清華大学での講演など,さまざまな活動を精力的に行いました。現地メディアはそれに応えるような形で,ゲイツ会長の一挙手一投足を報じました。一方で,北京大学での講演中に,王開源(開源はオープンソースの意味)と名乗るオープンソース運動の活動家がちん入し,演台上でオープンソースの普及を訴えるというハプニングも起こりました。

学生向けのWindowsをわずか3ドルに

 ゲイツ会長は今回の北京滞在で,かつてないくらいに,マイクロソフトの中国市場への本気度をアピールできたのではないか,と筆者は思います。

 まず,滞在期間中にマイクロソフトは「Student Innovation Suite」を発表しました。これは中国など発展途上国政府が購入する小中学生用のパソコンに対して,Windows OSをわずか3米ドル(約360円)で販売するというものです。Student Innovation Suiteには「Windows XP Starter Edition」や「Office Home Edition」などが含まれるといいます。

 Windowsをはじめとしたマイクロソフト製品のコピー品が氾濫する中国市場で,たとえ3米ドルとはいえ,お金を取れる可能性の高い政府から料金を徴収するのは賢い方法だと思います。また,学生のIT教育にマイクロソフト製品が浸透すれば,5年後10年後に中国の著作権保護状況が改善された段階で,マイクロソフトは大きな利益を得られるでしょう。

2大名門大学で講演

 ゲイツ会長が北京大学と清華大学という中国の2大名門大学で講演を行ったことも大きなアピールでした。日本で言えば,東大と京大でスピーチをするようなものです。清華大学では名誉博士号も授与されました。

 北京大学での講演では「中国はブロードバンド接続数で米国を越えた。ブロードバンドや携帯電話の普及から見ると中国の発展は非常に迅速だ」とリップ・サービス(参考記事:北京大学での講演の全文)。清華大学でも「1997年に初めて清華大学を訪れ,中国の学生の才能と情熱,創造性に感銘を受けた。その後,私は中国にマイクロソフト・アジア研究所を設置することに決めた」「清華などの優秀な卒業生の協力のもと、アジア研究所はマイクロソフトに巨大な貢献をしている。どの国際会議でも必ず彼らの姿を見かける。彼らは『Windows Vista』の誕生のためにも多大な努力をしてくれた」と絶賛です(参考記事:清華大学での講演の全文)。

 さらに講演の中では,マイクロソフトが清華大学の理論計算機科学研究所内などに講座を設けること,講座には世界的なコンピュータ・サイエンスの研究者を招くこと,最初に招かれるのは米マサチューセッツ工科大学のFrans Kaashoek教授であることが明らかにされました。

 また,sina.comの報道によると,ゲイツ会長は中関村に数千人の職員を収容できる新キャンパスを建設するとの計画を発表したとのことです(関連記事)。中国は巨大な市場であると同時に,ソフトウエア技術者の重要な供給源。ゲイツ会長が中国にコミットするのもマイクロソフトの未来を考えれば当然のことでしょう。

 それにしても筆者が“あっぱれ”だと思うのは,結果としてマイクロソフトにWindowsやOfficeのライセンス価格を3米ドルまでまけさせた中国政府と中国人です。商売上手の両者はWin-Winの蜜月関係にあると言えるのではないでしょうか。