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 今回はプログラミングの講師をしていたときに会得(?)した「プレゼンの秘訣」についてご紹介しましょう。私が担当した授業は基本的に1コマ80分。学生ならばいざ知らず,普段ずっと机の前に座っている習慣のない社会人にとっては,80分という時間は意外に長いんです。だからこそ,講師の力量は80分の間,どれだけ生徒を授業に引き込めるかで決まります。

 私が講師を務めたスクールでは,授業後,全受講生にアンケートを実施していました。自分の理解度,テキストの内容,講師の教え方などの各項目を,5点満点で採点してもらうのです。授業を順調にこなしても,生徒が満足しなければアンケートの点数に跳ね返ってくるというわけです。私の最初の評価は3.7でした。

 「5点満点で3.7だから,まあまあだよね」と思っていたら,なんと事務局のAさんから「他の講師の方々は4点以上ですので,今後頑張ってください」と言われてしまいました。「そうだよね。まだまだなんだな」とちょっとしょんぼりしてしまいました。

 するとAさんは,「伊藤さん。今日初めての授業だったからガッチガチに緊張していたでしょ。だから,生徒のためというよりは自分のために講義を進めてしまったんじゃないかな?」と指摘してくれたのです。「私が余裕なかったことに気づいていたんだ。恥ずかしいな」という気持ちもありましたが,「次こそ生徒のために頑張らなくっちゃ」という思いを強くし,生徒を引き付ける魅力ある授業のやり方について真剣に考えるようになったのです。

話し方のコツ1:「あの~」「その~」言葉を使わない

 生徒を引き付ける話し方の第一のポイントは,「えーと」や「あの~」「その~」言葉を使わないことです。会議などに参加していると,これらの言葉を多用して話す人をよく見かけますよね。自分では話のリズムを取っているのでしょうが,聞いている人には結構,耳障りだったりします。講師がこんな話し方をしてしまうと,生徒はこれらの言葉にイライラし,なかなか理解度を上げてくれないようなんです

 「あの~」「その~」という言葉を多用する話し方は,他の人に指摘されなければ気づかない厄介な話し癖です。私も説明をする前に必ず,「えーとですね」という言葉をよく使ってしまっていたようです。この癖が本当に取れないんです! 気づいたときには「あっ言っちゃった」と後の祭り。そんなときに友人から進められたのが,30秒間のスピーチ練習でした。

 30秒間スピーチとは,誰かにお題を出してもらい,それについて30秒間話すというものです。お題も「ゴールデンウィーク」「花見」といった簡単な内容でOK。とにかくスピーチの間中,「あの~」やら「え~と」を言わないよう気をつけるだけ。でもこれがなかなか難しいんです! たった30秒なのに,ついつい「えーとですね」と発してしまう。でも,これを根気良く続けていると,段々,きれいな話し方ができるようになってきます。これはお勧めです!

 このような癖を直すには,呼吸法など他にもいろいろ方法があるようですが,とりあえず自分で意識して話す訓練をすることが,一番初歩のアプローチだと思います。

話し方のコツ2 相手の表情,しぐさを見て話す

 もうひとつのポイントが,画面や資料などを見ずに話すことです。画面や資料を見ながら話すと,どうしても顔がうつむいてしまい,話す相手とコンタクトを取りにくくなってしまいます。またうつむきで発声しても,声は下に響いてしまい,向かいにいる相手に声が届きにくくなってしまうのです。

 ニュースキャスターを見ればわかると思いますが,ちらりと下の原稿を見るだけで,基本的に前を向いて話していますよね。人前で話すときは,ああいった話し方が求められます。話を聞いている側も,なんとなく目が合っている気がして,ちゃんと聞かなくちゃという気持ちになるようです。

 相手の表情やしぐさを見て,理解度を確認し,話を伝える。プレゼンスキルとしては基本的なことですが,この機会に今一度,自分の話し方を振り返ってみてはいかがでしょう。

見た目の変化で気分をリフレッシュ

 私が以前勤務していた会社では服装にあまりうるさくなく,かなり自由な格好をさせてもらっていました。それもあって私自身,スーツは2着くらいしか持っておらず,普段はカジュアルなスタイルで仕事をしています。

 そんな私でも講師のときは,スーツを着用していていました。しかし,1日中話しているため,夕方頃には汗だくになってしまいます。私はふと「生徒さんから見たら,だらしなく感じてしまうのでは!」と考えるようになりました。

 そこで私はスーツではなく,ジャケットやカーディガン,ストールなどを用意し,ヒートアップして暑くなればジャケットをカーディガンに替えたり,休憩後はストールを羽織って,雰囲気を一新したりしてみたのです。

 すると,1日でコロコロ服装が変わるのが生徒も楽しかったらしく(授業以外に楽しみがない??),気分転換になったようです。結果,授業にも良い雰囲気を持ち込むことができました。

 まあ,このように服装をコロコロと替えられるのは女性の特権かもしれません。男性でも,上着を脱いだり,腕まくりをしたりといったことで,見た目の変化はつけられると思います。特に生徒に女性が多い場合は有効だと思います。というのも女性は男性の腕まくりした姿に結構,弱いんですよ,ネ!

話す内容の時間割はしっかりと

 話していたら夢中になってしまい,時間を忘れてしまう……。こうしたことは打ち合わせなどビジネスの場でも多々ありますよね。

 講師は慣れてくるとすごく,気分のよい仕事なんです。私が伝えたいことを生徒が真剣に聞いてくれるんですから。そんな状況の中にいると,知らず知らずに熱が入り,あれもこれもとついつい,時間を忘れて話してしまいがちです。

 でも,聞く側にとってはありがた迷惑ですよね。全員が私の話すことだけに集中しているとは限りません。中には資料を読む人,明日の打ち合わせのことを考える人,これが終わったら何をしようかと考える人などもいるはずです。

 「17時まで,と聞いてきたのに話が終わりそうにないな」「もう5分過ぎているよ」と考え始めたとたん,もう話は頭にはいってこなくなります。「早く終わらないかな」「次が押しているよ」という考えで占められてしまうからです。それと同時に「この講師は時間どおりに仕事ができないダメなやつ」という烙印を押されてしまうのです。

 熱意を持って教えているのに,最終的にダメ出しされてしまっては元も子もありません。そこで私は教える単元ごとに5分,3分と時間を割り振り,その時間をテキストに書き込むことにしました。なので,私のテキストのあちこちに「1015」とか「1035」という呪文のようなメモ書きがありました(笑)。メモを確認しながら,時間通りに説明するというシミュレーションを繰り返しましたが,どうしても時間を過ぎてしまったりする場合があるんですよね。

 こうした時間の問題を解決しようと,私はバッファタイムを用意することにしました。オーバーした場合は,それを使うんです。このようにあらかじめ「時間調整をする時間」を用意しておけば,時間が足りなくなればこれを使い,時間があまれば余談や質疑応答をすればよいのです。自分に与えられた時間以上に相手の時間を使っては失礼,という意識を持って臨むことが大切だと思います。

 現在,私自身,プリセールスやセミナーでお客様に対して話すことがあるのですが,このときの講師の経験が生きているなぁと思う瞬間がよくあります。基本的なことばかりだとは思いますが,少しでもみなさんのお役に立てばうれしいです。