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 「07年に売上高1680億円を見込んでいるが,まだ中途半端だと思っている。最低でも2000億円,本当は3000億円ほしい」。有力ITサービス会社,日立ソフトウェアエンジニアリングの小野功社長はそれに向かっての施策を練り始めている。

 同社は中期計画で,2010年度に売上高2000億円,営業利益率10%を目標に掲げた。「2000億円は自助努力で達成可能だが,あとの1000億円をどうするかだ」(小野氏)とし,M&A(企業の合併・買収)や収益構造の見直しなどで実現させる計画だ。

 「財務内容をしっかり調べることは大切だが,ビジネス上でうまく一緒にやれて,シナジー効果を出せるか」(小野氏)がM&Aのカギになる。07年3月に実施した金融向けシステム構築を手掛けるDACSへの資本参加はその一例だろう。旧大和銀行のシステム関係者が設立し,関連会社のアイネスとりそな銀行が株式を保有していたが,その約90%の株式を取得した。

 売上高50億円弱のDACSは金融向け上流工程を得意としているのに対して,日立ソフトは中下流工程に強いので,シナジー効果で07年度に100億円のプラスを見込めるという。「DACSとはどんな仕事を一緒にできるかなどを両者でチームを組んで議論しているが,双方の意見はあった」と,小野氏は手応えを感じている。しかし,1000億円を確保するには,こうした案件が10件必要になる。

 06年2月に資本参加したビジネスブレイン太田昭和ともDACSと同じように定期的に議論し,例えば内部統制のコンサルティングをビジネスブレイン太田昭和が手掛け,日立ソフトがITインフラ整備を引き受ける関係などができている。しかし,20%強の株式を持つアイネスとの関係は「確かに人は送り込んでいるが,うまくいっていない。持ち分からフルの連結対象にするという考え方もあるだろうが,シナジーのある会社にした」(小野氏)という。

 開発強化に向けてパートナー企業との関係強化を図るために,派遣や請負の100%出資子会社である日立エスケイソーシャルシステムに,買収したソフト開発会社を集約させる計画もある。

サービスとプロダクトの収益を50%に

 そこで,重要になるのがサービスとプロダクトの強化になる。営業利益200億円超の収益を確保するための事業構造改革という意味合いもある。サービスとプロダクトを足すと,06年度に営業利益の20%を占めるが,07年度に30%,10年度に50%を引き上げる。「今のところ,その方向に進んでいるものの,今一歩だ」(小野氏)とし,次の弾を込めている。

 その一つが07年1月にサービスを開始した統制IT基盤サービスである。システム開発環境をオンデマンド方式で提供するもので,日立ソフトのデータセンターに配置したツール群などの環境を遠隔地から活用できる。元々は社内用としてスタートし,シンクライアント環境を整備する狙いもあった。

 それをユーザー向けに広げたわけだ。一般的にユーザーはその都度,開発環境を購入するので,初期の設備コストに加えて,設備を監視・管理する運用担当者が必要になる。そうした負担を少しでも軽減するうえで,設備環境の時間貸しのニーズは高いと判断した。ただし,ユーザーの開発プロジェクトが終了すると,設備利用がなくなるというリスクがあるので,顧客を数多く獲得することが事業の成否につながる。利用できるツールをどれだけ増やせるかも大きな課題になるだろう。

 サービス事業を加速させるもう1つが,SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)になる。今は米セールスフォース・ドットコムのCRMの再販で顧客ベースの獲得を推し進めている第1ステップだが,第2ステップで大きく伸ばす考えだ。その武器が,日立グループや有力ソフトベンダーのパッケージソフトを組み合わせて提供する「SaaSウェア」になる。日立製作所製グループウエア(グループマックス)とCRMの組み合わせたサービスを,日立グループ各社で採用することが決まっている。日立ソフトの販売管理や生産管理などを加え,「マルチユース環境を作る」(小野氏)。

 一方,プロダクト面では,ビジネスブレイン太田昭和の販売管理・財務会計ソフトを活用し業種テンプレート化した統合ソリューション「Fit-ONE」を07年8月に売り出した。専門商社向けからスタートし,拡充させていく。情報家電向け組み込みソフトにも力を注ぐ。ブルーレイに対応した次世代DVD用ミドルウエア(アプリケーション開発プラットフォーム)を06年9月に発売したのに続いて,08年中にHD対応も発売する。情報漏洩防止ソリューションの秘文やドキュメント管理ソリューションの活文などの機能強化や利用範囲の拡大も進める。

 こうしたプロダクトやサービスなどの開発強化に向けて,日立ソフトは年間50億円から60億円,売上高の約4%を研究開発に投入している。ここを強みにし,目標達成に向けた活動を展開していく考えのようだ。