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 CRMとコンタクト・センターに関する報道やニュースリリースをピックアップし、筆者の解釈を加えていく。紹介したネット記事については、筆者の「はてな」公開ブックマークからも参照できる。URL http://b.hatena.ne.jp/tada_masayuki/で公開しているので、ご興味があればアクセスしていただきたい。

「Evolution, Not Revolution」

 技術調査会社のサイト「Technology Evaluation」に「Customer Relationship Management: Evolution, Not Revolution」という記事が掲載されていた(閲覧には会員登録が必要である)。CRMアプリの選択,導入についての助言だ。ポイントを抜き出して紹介しよう。

 「アプリの選択には細心の注意を払う必要がある。その理由は何か」。このレポートは次のように述べている。しばしば「creating significant inconvenience for users(ユーザーにとって不便に思う状況を作り出す)」ような機能が市場で後発の製品に混じっていて、結果としてプロジェクトが失敗することがあるという。

 CRMアプリ分野では、相変わらず新規ベンダーの参入が続いている。大手、ベンチャー入り乱れ、玉石混合というのが実態だ。このレポートでは「不便に思う状況を作り出す」機能とやんわりと書かれているが、実際には使いにくいことこの上ない製品がかなりあるのだろう。

 レポートには米国におけるCRMアプリ導入の失敗事例についても言及があった。

 「あるヘルスケア会社は 導入計画立案と教育訓練が適切でなかったために6%の会員を失い,株価を40%も下げる結果になった」

 「あるチョコレート・メーカーはハロウィン向けの注文を引き受けられずに、多大な販売機会損失となった」

 米国はCRMの導入については先進的な事例が多いが、一方で失敗事例も多い。その意味でも学ぶべきところが多い。

「信頼」という言葉

 日本経済新聞に「ニュースがわかる」という解説紙面がある。9月25日には『「世界の工場」揺らぐ信頼』と題して,中国製品の安全性問題について解説していた。

 CRMを話題にするときに,この解説記事はいくつかのヒントを与えてくれる。例えば,「信頼」という言葉の意味だ。ブランドとしての「中国製」が嫌われるようになってきた。中国製の信頼が揺らいでいる市場環境の中、輸出を奨励している中国政府は、どう信頼回復に努める必要があるだろうか。中国政府はマーケティング・コミュニケーション活動をうまく展開する必要があるだろう。事件,事故を引き起こした企業の立ち位置とそう違いはない。

 記事には「日本市場・心証悪化,売り上げ減」と書かれた辺りで、中国製品を輸入販売している日本企業の対応が説明されている。筆者が推測するに、中国以外に産地を変えた日本企業がまた中国に戻ることは、そうはないのではないか。

 だからこそ中国政府は、個々の企業をうまく誘導しつつ、政府レベルの取り組みで「日本企業を再顧客化」する活動が必要だろう。最近「PRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)」という言葉が使われ始めている。販売代理店などのパートナー企業経由で商品を販売しているベンダーに対して適用される言葉で、パートナー企業との関係をうまく維持し、商品の販売増につなげるための考え方を指す。中国政府にはPRMの発想と行動が求められている。

聴覚障害者向けのコンタクト・センター

 米国大手通信会社であるVeraizonが、聴覚障害者向けのコンタクト・センターを開設したと発表した。米国を旅していると、空港などでキーボード付きの公衆電話を見かけることがある。聴覚障害者の人々は、このキーボードを使って相手と会話する。

 一方電話会社は、専用の端末を備えていない一般の電話を利用する健常者向けに、聴覚障害者との会話を仲介する交換手を配備している。交換手はキーボードで聴覚障害者と会話し,その内容を音声で健常者に伝えるという仕組みだ。米国の電話会社は1980年代からこうした取り組みを続けてきている。社会的な意義はもちろん、CSRの観点でも評価できる。

 最近ではビデオ会議システムを使って手話の通訳を手掛ける会社もあるようだ。