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 ネット社会の新しい陣取り合戦が既に始まっています。流行の言葉で言うなら,SMO(ソーシャル・メディア・オプティマイゼーション)です。群雄割拠の戦国時代における「陣取り合戦」に例えた方が分かりやすいでしょう。

 ネットで限りなく広がりつつある領土の要所要所に新興の地方豪族「ブロガー」が勃興しています。そして,それぞれ独立性を保ちながら,次々に連携しながら,勢力を伸ばしています。

 困ったことに安全な城「大企業のWebサイト」を中央に構えた古くからの領主には,こうした新しい動きは見えにくいのです。しかも,個人情報保護やコンプライアンスの名の下に,領主も重臣たちも萎縮しています。ブログの火の手から逃れて城の内側に立てこもっているので生きた情報が入りません。

 さて,一体どうすれば「拡大と連携を続ける新しい世界」においても「新興豪族たち」に一目置かれて良い関係を築けるのでしょうか?そして,これまで以上に「自らの影響力」を保つことができるのでしょうか?

 今回は,架空の「陣取り物語」としてお話を進めましょう。


ドメイン争奪戦→ネット広告露出戦→検索エンジン上位進出戦

 ネットの陣取り合戦は,何も今に始まったことではありません。より有利にネット上での影響力を築き保つため,様々な戦いが繰り広げられてきました。

 まず最初は,ドメイン=URLの奪い合いでした。自社名,商品名,関連キーワードをいち早く押さえようと各社が動きました。中には,ドメインが高値で取り引きされることさえありました。しかし,実はドメイン自体には,あまり大きな「陣取り力」がないことが分かりました。

 まだ,あまり多くないお客様は,限られた有名な巨大サイトに集中して,トップページに貼られたバナーやメニューをクリックしました。そこで,企業はネットで目立つ限られた場所に,いかに自分たちの看板や名前を掲げるかが重要だと気づいたのです。また,メルマガを出せば,お客様の受信箱がまだスカスカだったこともあり,しっかり読んで買ってくれました。言わば,ネット広告の露出合戦が全盛だったのです。

 しかし,あまりにサイトやメルマガが増え過ぎました。お客様も増えて好みが多様化し,なおかつネット活用スキルも向上すると,新しい戦いが始まりました。お客様は,自分の欲しいものをキーワード検索で探すようになったのです。

 そうなると,重要なキーワードで検索された時に,いかに上位に表示されるかの競争になりました。いわゆるSEO(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)の時代になったのです。

 とはいえ,やがて賢くなったお客様は気づくでしょう。検索エンジンの上位に表示される企業が,自分にとって最適な商品やサービスを提供しているわけではないことに…。また,企業自身が発信する情報だけでは,商品やサービスの真の魅力は分からないことに…。

 時を同じくして,ブログ時代が始まりました。その商品を実際に愛用したり,制作に携わった人が発する「生の声」がお客様に届くようになりました。また,SNSはじめ各種クチコミコミュニティで,「より自分に近い生活者」の視点で信頼できる実体験や意見も聞けるようになりました。

 無限に広がりつつあるネット空間で,日常的に繰り返されるつぶやきや井戸端会議。その中で「自社の評判が広がること」が重要になったのです。こうしたネットコミが広がることが,自社の陣地を広げるに等しいことに気づくリーダーも現れました。

 さて,そんな直感が冴えたリーダーなら,次にどんな手を打つでしょうか?

専門部隊による自前コンテンツ充実の無理

 まず気づいたのは,これまでのように,城=自社サイトにおけるネット専門部隊だけで戦うのは難しいということでした。

 自分の城一カ所にとどまり,限られた戦力で弾を撃っていても,城の彼方で次々に広がる世界には届きません。かといって戦力を増強したところで,これまでと同じ城の中から撃っていては効果はなさそうです。

 どうやらゲームのルールが変わったらしい。そこで,新しい陣取り合戦を戦い抜くのに役立つものはないかと探しました。その結果,囲碁とオセロの戦法を組み合わせることが有効ではないか。リーダーは,そう思い当たりました。

囲碁の名人は,広く見て,要所に布石を打つ

 囲碁は,まさに陣取り合戦です。強い名人ほど盤面全体を広く見て,要所要所に布石を打っていきます。そして,置いた石と石とがいつしか絶妙に連携し合って,陣地を広げていくのです。

 これまで信じられてきた戦略は,狭い自分の陣地や限られた同盟先に置いた石の上に,さらに石を積み重ねていくようなものでした。これでは新しい陣取り合戦には勝てません。

 城壁を飛び出して,未だ石を置いていないが後々は「要所になりそうな未開の地」にも,勇気を出して布石を打っていく必要があります。ここで言う「要所となりそうな未開の地」とは,将来,自社商品を愛してくれそうなお客様が,今まさに集いつつある土地です。これまで以上に,盤面全体に目をこらして「未開の地」を探す眼力が大切です。顧客別/商品別/用途別に吟味して,とびきりの一手を先んじて打っていく必要がありそうです。

社員・パートナーのブロガー動員なら,幅広く同時に打てる

 ゲームを進めるうちに,この陣取りには「囲碁にはない新しいルール」があることに気づきました。

 一人ずつ交互に一手ずつ打つのではなく,複数の打ち手を揃えられれば,同時にそれぞれが別々の場所に石を置いても良いのです。つまり,同時進行で陣地を広げられることになります。ですから,「これから陣取りをしたい地」に適した能力を持った「打ち手」を集められれば,すばやく有利に戦いを進めることができます。

 ただし気をつけなくてはならないのは,送り込んだ打ち手が下手を打つと「炎上」してしまうことでした。そうなると「城」にまで影響が及ぶので,ハイリスク・ハイリターンの戦略だと恐れられていました。だからこそ,多くの「領主」はおびえて「城」に引きこもり,「未開の地」にまで手を打つことはまれでした。

 しかし,中には勇気を出して挑む「領主」もいました。この手を直ぐに打たなければ,今「炎上」せずとも,いずれ「領地」も「権力」も失うことを直感していたのです。

 幸い,お城にはたくさんの兵士がいました。しかし調べてみると,未開の地で戦うための新しいスキル「ブログ能力」が低いことがわかりました。一方で,ネットで検索すると,知らないうちに好意的な記事を書いてくれていた取引先やお客様がいることも分かりました。社員のみならず,こうしたパートナーと手を携えて「陣取り合戦を同時並行」で進めれば,なんとか戦えそうです。

オセロの達人は,角地を押さえて逆転を狙う

 さらに,この陣取り合戦には「囲碁にはない新しいルール」がありました。

 囲碁では,相手の石を囲んで取ることができます。しかし,この新ゲームでは,響き合う2つの石で挟むだけで,その間にある石を自分の色に染めることもできるのです。そう,まるでオセロのように…。

 ですから,未開の地であっても,圧倒的に形成不利な地であっても,効果的な場所に強力な石が2つ以上あれば逆転も夢ではありません。さらに,オセロと同様に「絶対に寝返らない角地」を押さえると,圧倒的に陣取りが有利になることも学びました。次々に,自分の色に反転させて,大逆転も可能になるのです。