PR

 売上高213億ドル(約2兆4000億円)、社員14万人を抱える大手ITサービス会社、米EDS(エレクトロニック・データ・システムズ)が日本市場で売り上げを伸ばし始めている。ジャパンシステムの売り上げ113億円から推定すれば、同社を含めて200億円超の規模に達しているだろう。社員もジャパンシステムを含めると1200人(外注を入れると1600人)になる。

 86年1月に日本法人EDSジャパンを設立し、92年には中堅ソフト会社ジャパンシステムの過半数以上の株式を取得しているものの、なぜか日本での存在感は薄かった。元々、米自動車メーカーのGM(ゼネラル・モーターズ)傘下だったこともあり、日本ではいすゞ自動車など自動車関連向けを得意としてきたが、04年に社長に就いたケリー・J・パーセル氏は日本市場の攻略を見直し、この3年間(04年から06年)で売り上げを年率20%、利益を年率30%それぞれ伸ばしたという。

 伊藤忠商事や旧第一勧業銀行など日本企業に勤めた経験のあるバーセル氏は「これまで、丸の穴に四角ものを通そうとしていた感じだった」と語り、欧米市場のような年間数十社と数十億円規模のITアウトソーシング契約を結ぶニーズは日本市場で小さいことが分かったという。「部分的にしろ、一括にしろ、人や資産、プロセスを丸投げするユーザーは少ない。インフラを任せることになれていない」(パーセル氏)。加えて、95年頃から日本市場の開拓に力を入れようとしたものの、北米と西欧でITアウトソーシング・ブームになり、そこで手一杯になってしまったことも重なった。

 そうした中で、EDSが強いITアウトソーシングを売り込む戦略から日本市場でニーズの高いアプリケーション開発にも力を注ぐことにした。アプリケーション開発を核にした「面白いサービスを提供する」(パーセル氏)ことでチャンスが生まれるとし、金融や流通、製造などの業種ごとにターゲットを絞り込み、誰に何を売り込むのかを明確化させてきたという。例えば生命保険向けなら欧米で実績のあるパッケージを用意し、それに精通する本社の技術者やコンサルタントを日本に常駐させる。上流コンサルティングから入り込むことが欠かせないからだ。独SAPのERP(統合基幹業務システム)を扱う体制も整えた。

 データセンターを整備し、オフショア開発の体制も整えた。ワールドワイドでは、インドに1万6000人(早期に2万人へ)、中国に600人(08年に1万人)のオフショア体制になっているが、日本法人だけで中国に100人、インドに50人を確保したという。

 「経済は好調だが、若い人がIT分野に入ってこないので、技術者不足になっている」と、パーセル氏は日本市場で人手不足からITアウトソーシングが伸びてくると読み、年率14%の2ケタ成長を計画する。ただし、しつこいが欧米のようなITインフラ周りよりアプリケーション開発を中心した部分的なアウトソーシングになるのは変わらないとみる。

 それでもEDSの強みを発揮できるとする。「EDSのシェアは世界で大きいが、マーケティング力が弱くてブランド力がない。しかし、EDSは顧客との約束通りに実行し、期待以上のいいサービスを提供するカルチャーがある」とし、日本でも信頼を得られるような展開をしていく考え。その1つが顧客満足度と社員満足度、利益率でナンバーワンのITサービス会社を目指すことだ。そして、「中身の見えるサービスを揃えていく」(パーセル氏)ことで、次の段階でITインフラや運用を含めた需要を取り込む作戦を練っているようだ。