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 Active Directoryの通称「母ババ問題」(ユーザー名にひらがなやカタカナを使った場合,濁点や半濁点の有無を区別しない仕様)についてはもう言い尽くしたので,私としてはこれ以上触れるつもりはなかった。が,面白い情報を発見したので,もう一度だけ触れてみたい。「母ババ問題」のそもそもの原因は,ドイツ語のウムラウトなどの扱いにあった。

 マイクロソフトのサポート技術情報「 diacriticマークでの文字で異なるのみユーザー名またはオブジェクト名が追加できません(KB938447)」に詳しい内容が書かれている。ちなみにこのサポート技術情報,最初に公開されたときは「ドイツ語ウムラウト文字または Active Directory のß(eszett)文字を含むユーザー名またはオブジェクト名が追加できません」というタイトルだったので,検索結果はまだこの形で出ている。

 日本語機械翻訳版は文字化けしていて少々見にくいが,要するに,ドイツ語のウムラウト文字("ü"など,uやe,aの上につく点々)の有無だけが違う名前のオブジェクトが作れないということである。日本語の濁音,半濁音の有無だけが違うオブジェクトが作れないという現象と根は同じだ。

 同様にエスツェット(eszett:ß)とssの区別ができないという問題も指摘されている。エスツェットはギリシャ文字のベータに似た字形だが実は違う文字で由来も異なる。ドイツ語正書法の詳細は省略するが,特定の状況でssの代わりに使う。

 マイクロソフトのサポート技術情報では,“Müller”さんと“Muller”さん,”Meissner” さんと“Meißner” さんの区別ができない例が挙げられている。

 ドイツ語ではエスツェットは常にssと等価であるため,深刻な「母ババ問題」は起きないはずである。ただし,ウムラウトの有無では全然違う単語になる可能性がある。ドイツ語正書法ではウムラウトはeと組み合わせることになっている。つまりäはae,öはoe,üはueと等価である。決してäとaが等価なわけではない(発音も変化する)。そのため「母ババ問題」が発生する可能性はあると思う。ドイツ語に詳しい方がいらっしゃったらぜひ教えて欲しい。

 実用的には全くどうでもいい話だが,トリビア的に面白かったので紹介してみた。