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 少し前「グリーンIT」のマーケティングに熱心な外資系ITベンダーの人に話を聞いて、驚いたことがある。2008年度後半にユーザー企業のIT投資として見込める“確実な案件”はグリーンITしかないと踏んでいたからだ。判断の正否はともかく、その思い切りの良さは驚きだった。一方、日本のITベンダーには、グリーンITを“将来の金儲けのためのマーケティング”として発想できない人が多い。困ったものである。

 地球温暖化防止が主要テーマの1つになる洞爺湖サミットを前に、日本の産業界はいずこもCO2削減に向けた取り組みで大騒ぎである。もはや単なるバカ騒ぎと冷笑してはいられない。地球温暖化でここまで追い込まれてしまった以上、あらゆる企業が真剣に向き合わなければいけない課題だ。つまり、あらゆる分野で産業構造が変わる。多くの企業にとって、それは死ぬか生きるかの課題になっている。

 だから、CO2削減を単なる環境保護、社会貢献と考えるビジネスパーソンはほとんどいない。その意味では、トヨタ自動車をはじめ日本の自動車メーカーの製品戦略、世界戦略は見事だった。低燃費車、ハイブリッド車で布石を打ち、環境に優しい車を作るカッコイイ企業のイメージを訴求し、今やガソリンをガブ飲みする自動車しか作れないGMなど米国メーカーを断崖絶壁にまで追い込んだ。

 そのことはIT業界でも同様。この前にも少し書いたが、ハードを中心にビジネスの潮目が変わる可能性がある。これまでIBMやHPなどの米国ベンダーに追従するだけで、明確な製品戦略を持たず、コモディティ化の荒波の中であっぷあっぷ状態だった日本のベンダーも、これを機に形勢逆転を狙えるかもしれない。

 なんせ日本の製造業は“環境への優しさ力”ではピカイチ。だからITベンダーも世界をリードする環境に優しいIT機器が作れるはずで、CO2を大幅削減できるシステムを提案できるはずである。そして、日本の自動車メーカーと同様、環境に優しいITを作るクールな企業のイメージを訴求していけば、世界で戦える存在になれる可能性もある。だからグリーンITのはずである・・・。

 だが現状は、どうもそうはなっていない。グリーンITへの取り組みではIBMやHPなど米国ベンダーに対して後手を引いた。確かに日本のベンダーも低消費電力型のサーバーなどを相次いで発表し、製品開発面ではがんばっていることは認めよう。でもマーケティング面では? 洞爺湖サミットへ向けて盛り上げようとしているのは分かるが、なんか“お上”任せで上滑り感がある。

 実際、日本のユーザー企業のグリーンITに対する関心は、恐ろしく低い。グローバルなマーケティングをガンガンやっている米国ベンダーのマネはできなくても、せめて国内では啓発活動ではなく、もっと効果的なマーケティング活動ができるでしょ、と思ってしまう。「今後はグリーンIT機器しか作りません」と宣言してもいいし、ユーザー企業の経営者に徹底的にささやいてもいい。

 そう言えば冒頭に紹介した外資系ベンダーは、日本の大手ユーザー企業の経営者に盛んにアプローチしているという。今後、景気がシュリンクすることで、ユーザー企業のIT投資は思いっきり絞り込まれる。そうした中で、グリーンITがマストの課題であることを経営者に刷り込んでおけば、グリーンITが絡む案件がIT投資として執行され、それを受注できる可能性が高い。そんな判断からだそうだ。