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 ITサービス会社の2007年度決算が出そろったので、売り上げ上位6社の成績をまとめてみた(表参照)。マラソンに例えて言えば、売上高1兆円を超したNTTデータの独走体制である。この数年に同社がM&A(企業の合併・買収)したソフト会社群の売り上げ規模は1000億円程度に達し、業績拡大に大きく貢献した。次はグローバル展開で1000億円増を狙うそうだ。

 問題は二番手の売上高3000億円超クラスである。大塚商会(4694億円)と野村総合研究所(NRI、3422億円)の2社が飛び出し、日本ユニシス(3377億円)、ITホールディングス(IT HD、3224億円)、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC、3192億円)は少し遅れ気味である。

 この4社の売上高伸び率はいずれも業界全体の伸び率を大きく上回っている。さらに日本ユニシス(9.9%)とCTC(8.5%)は、大塚商会(8.3%増)とNRI(6.1%)を上回っている。しかし中身をよく見ると、日本ユニシスとCTCの伸びは概ねM&Aによるもの。実質ベースではマイナスあるいはそれに近い(CTCは1.8%減)。TISとインテックホールディングスが合併して2008年4月に誕生したITホールディングスも、旧2社分を単純合算した結果では1.4%減である。

 大塚商会とNRIの2社は、独力で業績を伸ばしながら、利益率も改善している。勝因の一つは注力分野である。この2社の業態は異なるが、アウトソーシングなど収益性の高いストック型ビジネスを拡大した点は共通している。日本ユニシスやITホールディングスが収益性の低いSI(システム・インテグレーション)に軸足を置いているのとは対照的である。営業力に定評があり、数年前に製品売りからソリューションへと舵を切ったはずのCTCも、最近は再びSIの拡大を図るかに見える。

 大塚商会の業績を引き上げたストック型ビジネスは、通信販売システムの「たのめーる」をはじめとするASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)関連である。NRIの場合は、証券会社向けを始めとする共同利用型のサービスやアウトソーシングである。両社とも、固定客をがっちりつかみ、ストック型のビジネスにつなげている。

 販売力にも差がついている。特に大塚商会は、営業を支えるバックヤードの仕組みを充実させるとともに、商材の調達先である大手ITベンダーに対しても強い交渉力を持つ存在になってきた。大手ITベンダーと言えども同社を無視した作戦を打ち出せないような状況を作り上げでいる。

 一方の日本ユニシスやITホールディングス、CTCを見ていると、M&Aに多くの時間を割かれたためか、サービス商品作りが後手に回っているようだ。もちろん3社とも、企業買収の成果を狙った新しいサービス商品を発表してはいるが、企業買収によるシナジー効果が発揮されるまでには時間がかかる。業績に貢献するまでには1年はかかるだろう。

国内外に通用するサービス商品を

 日本ユニシスとCTCは「技術者の質と量に課題がある」として、インドIT企業との提携に活路を求めている。日本ユニシスは2008年2月にインフォシス・テクノロジーズ、CTCは2008年4月にウィプロ・テクノロジーズとそれぞれ提携した。もっとも、「調整を進めている段階で、体制固めなどを協議中」(CTC)というように、詳細な内容は固まっていない様子だ。

 インド企業との提携により、オフショア開発やサービス商品作りに弾みをつけたいのだろうが、インドIT企業は日本の下請けに甘んじる考えは毛頭ないだろう。それを、技術者不足を補うためのオフシェア開発という位置付けで進めれば、提携の魅力は薄れる。それどころか成果を生まない可能性すらある。

 一つの糸口は、サービス商品の共同開発である。米IBMや米マイクロソフト、独SAPなど欧米ITベンダーが、インド企業へのアウトソーシングに踏み切った狙いは、研究開発の強化にある。量ではなく、技術力の高さを買っているのだ。

 残念ながら、日本のITサービス会社は国内外で通用するサービス商品を持たない。だから、人に依存するSIに重点を置き目先の収入を追うばかりで、営業利益率も数%にとどまって来た。インドIT企業の営業利益率は30%を超えている。彼らは何が違うのかを学びながら、海外でも通用するサービス商品を作り出すべきだ。さもないと、海外IT企業は勢力を増し、国内で売上上位陣の一角を守るのも難しい時代になるだろう。

このコラムは日経ソリューションビジネス2008年6月15日号「深層波」を加筆・修正したものです。

社名売上高伸び率(%)経常利益伸び率(%)
NTTデータ107442.894310
大塚商会46948.330515.2
野村総合研究所34226.155520.4
日本ユニシス33779.9192189.9
ITホールディングス3224-1.4199107.6
伊藤忠テクノソリューションズ31928.52600.6

注)決算期は2008年3月期(大塚商会のみ2007年12月期)
ITホールディングスの伸び率は、インテックホールディングスとTISの数値を単純合算して算出した