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「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)
著者:岡田斗司夫
出版社:筑摩書房
価格:798円(税込)
ISBN:978-4480687623

 昨年から,気付いたら岡田斗司夫の本を立て続けに読んでいました。最近では,ダイエット本の著者として有名ですが,彼の真骨頂は「オタク的ばか話」にあります。関西にはこうしたタイプのオタクが結構いて,岡田斗司夫もその1人です。本書は「オタク的ばか話」の傑作です。ただし,出てくる例が「ドラゴンボール」や「バビル2世」など,マンガやアニメが多いので注意してください。

 岡田斗司夫は,世界征服を目論む人間には4つのパターンがあるとしています。本書をITproで取り上げるのは,IT管理者のタイプも,この4つのパターンに合致することに気付いたからです。

 まず「魔王」型。このタイプの管理者は「正しい」価値観を力で強制します。間違ってはいないものの,必要以上に厳しい規則を強制し,違反者にはコンピュータの利用停止などのペナルティを与えます。魔王型の管理者は,表面上は正しいことを言っているので表だって反論はできません。そこで管理者に見つからないように,不自由な社内システムを捨てて,勝手に持ち込みPCで業務を行うようになるかもしれません。レジスタンスの登場です。最強の魔王よりも,もっと強い勢力が外部からやってくるかも知れません(「ドラゴンボール」の世界です)。革命が起きないように注意しましょう。

 次が「独裁者」型。魔王と似ていますが,利用者の意見もよく聞くのが特徴です。独裁を継続させるには,自分の部下の意見を十分に取り入れる必要があります。独裁者は魔王ではないので,内乱やクーデターなど起こされては大変です。独裁者の実態「世話係」です。すべてを独りで裁く「独裁」者は気の休まるときがないので,過労死に注意しましょう。

 3番目が「王様」型。独裁者と似ていますがが,私利私欲で動きます。このタイプはIT管理者にはあまりいません。不正に入手した情報をブラック・マーケットに売りつけたり,会社の利益の一部を自分の口座に転送するのは王様型と言えますが,もちろん,これらの行為は犯罪です。IT管理者以前に人として問題があります。

 最後が「黒幕」型。自分では手を出さず,口だけ出して裏で操るタイプです。かつての優れた管理者が,引退後に黒幕となることが多いようです。高度に進化した「黒幕」は,周囲からは「頼りになる先輩」と思われます。

 考えてみれば,IT管理者の目標は「世界平和」,つまり,みんなが快適で安全なITシステムを使えるような環境を整備することです。そのために,IT管理者には強力な権限(特権)が与えられます。この権限を適切に使えば「ジェダイの騎士」ですし,私利私欲に使えば「ダークサイド」に落ちます。これは「スター・ウォーズ」のテーマと同じです。そういうわけで,IT管理者のみなさんは,本書を読んで,ダークサイドに落ちないよう,また過労死もしないよう,愛されるIT管理者になってください。

 追記: 本稿の基本構成は,月刊Windows Server World連載「IT嫌いはまだ早い」2008年1月号に掲載したコラムを基にしています。ここで,この本を取り上げたのは,純粋に「ばか話」として面白かったからです。あまり本気にしないでください。『Windows Server 2008 テクノロジ入門』を読んだあと,疲れた頭を休めてください。

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