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 ある製品について,分からないことがあったらどうするか。その製品のWebサイトにアクセスしてみるのが現代のやり方でしょう。マイクロソフト製品も例外ではありません。ほとんどの製品に対して http://www.microsoft.com/japan の後ろに製品名を書くと,専用のページが開きます。

 マイクロソフトのWebサイトには膨大なドキュメントがアップロードされており,たいていのことは分かります。日本語ドキュメントも,まだまだ不十分ですが,かなり充実してきました。機械翻訳の精度も,満足はできませんが,以前より上がっているように思います。

 ただし,ごく単純なことが分からずにいらいらすることもよくあります。まず価格を調べるのが一苦労です。マイクロソフトは小売りをしていないため「定価」が存在しない事情は分かります。しかし,プレス・リリースには多くの場合「推定小売価格」が記載されています。何年何月当時の推定小売価格ということで,製品Webサイトの目立つ場所からリンクしてはいけないのでしょうか。

 Windows Serverの機能一覧もいらいらします。EnterpriseとStandardの違いを表示しようと思ったら, http://www.microsoft.com/japan/windowsserver にアクセスします。ここまでは順調です。詳細情報を表示するために[製品の特徴]をクリックします。Windows Serverとは何か知らない人にとっては有益かもしれませんが,Windows Serverを使うと決めた人にとってはどうでもいい情報が並んでいるので,[詳細な製品の特長についてはこちらから]をクリックします。

 確かに詳細情報は並んでいますが,エディションの違いが分かりません。ページを戻って[開発者向け技術情報]や[IT技術者向け技術情報]を選んでみます。さらに詳細な技術情報が掲載されていますが,EnterpriseとStandardの違いは分かりません。もっと簡単な情報,物理メモリは最大何GB使えて,CPUコアは何個まで使えるのかも掲載されていません。

 ふとWebページの左の方を見ると[製品概要]というメニューがあります。選んでみると[エディション]と[システム要件]という項目がありました。

 エディションを選ぶと,一般的な内容が書いてあります。しかし「ミッションクリティカル」とか「ビジネスクリティカル」と言われてもよく分かりません。「大規模プラットフォームを提供します」(「大規模システム向けプラットフォーム」の意味だと思います)と言われても,判断基準が分かりません。小規模でもクラスタを必要とするケースもあるでしょう(実はフェールオーバー・クラスタはStandardでは提供されません)。また,Standardにあるいくつかの機能制限が記載されていません。

 一番下に「Windows Server 2008 エディション別機能比較表」のリンクを見つけて,やっとたどり着きました。ところが,表を見ると,DatacenterとEnterpriseの機能差が全くありません(実際にはライセンスや利用可能な物理メモリやCPU数が違います)。Enterprise,Datacenter,Standardの順に並んでいるので,どれが上位版かも分かりません。Standardが一番下であることは想像できます(寿司屋でも「並」は一番安いランクです)。だとすると,Datacenterが2番目で,最上位はEnterpriseなのでしょうか(実際はDatacenterが最上位です)。

 項目名は英単語が並んでいるだけで,日本語名が分かりませんし,説明のリンクもありません。しかも「Windows Cluster」という耳慣れない単語まで登場します(これはWindows NTで「クラスタサービス」,Windows 2000から「サーバークラスタ」,Windows Server 2008では「フェールオーバークラスタ」と呼ばれている機能です)。

 気を取り直して,システム要件を見てみましょう。サポート・プロセッサ数や物理メモリなどは,エディションごとに記載されていますが,羅列してあるだけで表になっていないので見やすいとは言えません。おまけにWebエディションの最大メモリ量が抜けています。

 エディション別の機能や制限は「Windows Server 2008 技術仕様」を見る必要があります。それでも,証明書テンプレートの制限についての記載はありません(例えば制限付き登録エージェントは,Standardでは使用できません)。

 別の製品を見てみましょう。「何をする製品か分かりにくい」とよく言われるSystem Centerです。 http://www.microsoft.com/japan/systemcenter/ にアクセスします。これはわかりやすくて良いと思います。

 次に,System Center Configuration Manager(SCCM)について調べてみます。[製品]メニューから[System Center Configuration Manager]を選択します。[System Center Configuration Managerとは]を選ぶと[Microsoft System Center Configuration Manager 2007 製品情報]ページに飛びます。ありました。

 System Center Configuration Manager 2007 には次の機能があると記されています。

・包括的な展開と更新
・ITインフラストラクチャに対する洞察力と制御性の向上
・Windows 用に最適化された拡張可能な機能

 これで,SCCMが何をする製品か分かる人はどれくらいいるでしょう? 製品の機能を知っていれば,なるほどと思うでしょうが,SCCMのことを知らずに調べに来た人に理解できるとは思えません。さらに,いくつかのリンク情報があるものの,詳細すぎて全体像はつかめないものばかりです。

「サーバーやクライアントの情報を収集し,収集した情報に基づいて必要なソフトウエアの更新やインストール,あるいは構成を行うシステムです」

 これくらいのことがなぜ言えないのでしょう。

 System Center Data Protection Manager(DPM)のページには,何をするソフトウエアかという説明すらありません。製品の主な機能として紹介されているのは以下の3点です。

・Microsoft SQL Server の保護
・Microsoft Exchange の保護
・Windows 仮想化環境の保護

 何をするものか分かりますか?

「DPMは,複数のサーバーを効果的にバックアップするためのシステムです」

 この一言がなぜないのでしょう。「保護」が「障害からの復旧」つまりバックアップを意味することが分からない人も多いでしょうし,分かったとしても「Windowsの保護」という項目がないのは不思議です。

 マイクロソフトのWebサイトにはたいていの情報があります。それは,製品担当者の努力のたまものだと思います。検索システムも随分と良くなりました。検索すればたいていの情報は入手できます。本当に助かっています。ですが,新製品が出たときに,これは何をするものだろうという疑問にはなかなか答えてもらえないことも事実です。あとほんの少しがんばっていただけると,随分と良いシステムになるのではないでしょうか。