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私が思わず提言をしたことは

 プロジェクトの経過報告をお聞きした後の意見交換で,私が提言したことをいくつかご紹介いたしましょう。

1)今日の事例発表をビデオで撮ってYouTubeなどで流そう

 トップ3の事例発表は,時間の経つのも忘れるほど,熱くて中身の濃いものでした。この場に居合わせた経済産業省のスタッフと,参加されたオピニオンリーダーやキーマン,わずか30人ほどだけに止めておくのはあまりにもったいないものです。これは,この勉強会に限ったことではありません。現場発の熱いワカモノの声は,できる限りビデオに収めYouTubeなどで無料公開してほしいものです。手持ちのデジカメを使って,スタッフ1人が撮影すれば,予算ゼロで実現できるはずです。

 もしビデオメッセージが公開されていたら,私は即座に,地元の墨田区長や区役所・商工会議所などのキーマンに,さらには若手経営者に見ていただけるようにお勧めしていたでしょう。元気な地域エージェントの成功例に感化されて目覚める人が,一人ずつ増えることこそが,地域活性化につながっていくと思うからです。

2)QRコード+YouTube×ブログ=マーケティング×トレーサビリティ

 食の安全が守られていない中で,誰が作ったか明記する消極的なトレーサビリティが議論されることがあります。しかし,限定×こだわり×ストーリーのe物産市生産者であれば,もっと積極的にトレーサビリティを考えてもいいでしょう。

 生産過程は,デジカメの動画や静止画に収めてブログやYouTubeにアップしておきます。そして,商品出荷時にそのURLをQRコードのラベルなどにして添付すれば良いのです。

 そのQRコードをケータイで読み込めば,その生産工程や生産者の熱い想いを動画やブログで読むことができます。どんな美しいカタログよりも安価で説得力があるでしょう。きっと,その味はもちろん,生産者の想いや日々の苦労に感動したお客様からの熱いコメントやブログも集まるでしょう。

3)グローバルな発信でセレブとマスメディアの注目を浴びてグローカル販売

 中東やロシアなどで,日本の高級食材がもてはやされるというニュースを見たことがある人は多いでしょう。

 多くの日本人が低価格につられて中国の農薬入り食材を食べて,中国の富裕者層が安全で美味しい日本製の無農薬食材を食べるという,笑うに笑えない話もあります。

 もちろん,中小生産者にとって,為替や物流など海外向け通販はさらにハードルが高くなります。しかし,たとえ少ない量でも,海外の高級百貨店などでの販売実績があれば,マスメディアやネットコミでも紹介されやすくなります。それを国内の高級スーパーやレストランなどで採用されることにつなげていけば,さらにブランディングしやすくなるでしょう。

4)東武タワースカイツリーを見るガード下でe物産市酒場を

 わが墨田区では,2012年にかけて新しい東京名物となる高さ610mのタワーが建つ予定です。それに合わせて,葛飾北斎の生地近くに美術館もオープンします。そこで,日本各地はもちろん世界各国から観光客から押し寄せることになるでしょう。

 その時,おそらく,タワー内のモールはもちろん近隣の商店街にも,日本中どこにでも見られるようなチェーン店が軒を連ねるでしょう。それではどう考えても,限定×こだわり×ストーリー不足で,ブランディングが難しい上,リピーターも期待できません。

 そこで,筆者は東武鉄道のタワー近辺のガード下に,有楽町よろしく気軽に飲める「立ち飲み×リンゴ箱テーブル系飲屋街」を作ることを,区内のキーマンに提言し続けているのです。その時,今回出合った日本全国のe物産市の美味しいお店が軒をつらね,一カ所で特別な食材や料理が味わえたら,どんなに素敵でしょうか。

 日本中の名酒を飲みながら,全国のうまいものをつまみながら,世界一のタワーを見上げる。となりは,お国なまりがもどった地方出身の方だったり,言葉の通じない海外の方だったり…。

 毎週のように来たくなる,もう一度日本に来たくなるリピーターが増えること請け合いです。

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 遅ればせながら食料自給率を上げる一番の方法は,なんといっても農業を儲かるカッコいい職業にすることでしょう。都会の大学を出ていたって,田舎で農業をしたい,農家の嫁になりたいという人を増やすための改革が必要です。

 それには,カッコいい農夫に注目して情報発信するのが早道です。和綿づくりや里山再生プロジェクトで活躍している,有機栽培ひとすじ35年,渡良瀬エコビレッジの町田武士さんと交流して,私もようやく気づいたのです。本当の農業生産者が,あまりに輝いて見えることを。そして,本当の農産品が,こんなにも美味しいことを。

 e物産市を通じて,情報発信する地域コーディネーターに期待されているのは,私が味わったような感動を,ひとりでも多くの人に伝えることでしょう。そうして,農業をリスペクトする人が増えることこそが,日本の農業の明日を切り拓くと確信しています。