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 今回のテーマは、先輩エンジニアから聞いて感動した言葉です。現在、こうして仕事をこなせるようになったのも、先輩エンジニアのありがたい言葉の数々のお陰です。私の経験からサンプルをいくつか紹介しますので、皆さんもぜひ書き込みをお願いします。どんな言葉でもOKですが、できれば自分が技術的に伸びるきっかけを与えてくれた言葉をお教えください。

紙の上に手順を書き表せないことはプログラムにできない

 この言葉は、若かりし頃の筆者にプログラミングを指導してくれたA先輩から聞きました。プログラミングの学習課題に取り組んでいたときのことです。A先輩から「どのようにすればよいかわかる?」と尋ねられたので、筆者が「とりあえずプログラムを作りながら考えます」と答えたところ、間髪入れずにこの言葉を言われました。

 プログラミングの初心者は、いいかげんにプログラムを作って、その動作結果(正しくない動作結果)を見て修正するということをしがちです。アルゴリズムが不明確な状態でプログラミングの打ち込みを始めてしまうわけです。それでは、プログラムを完成させることはできません。この言葉を聞いて以来、筆者は、プログラムを作る前に紙の上でアルゴリズムを考えて、それが出来上がってからプログラムを打ち込むようになりました。

 もしもA先輩の言葉が、「アルゴリズムを考えてからプログラムを打ち込みなさい」だったら、それほど印象に残らなかったと思います。「紙の上に手順を書き表せないことはプログラムにできない」と断言した迫力ある言葉だったので、筆者の記憶に深く焼き付いたのです。今でもプログラミングするときには、この言葉が自然と思い出されます。

データベース設計は芸術作品みたいなものだ

 筆者が中堅社員となった頃、社内で新しいパッケージソフトを開発することになりました。このソフトの中心となるのは、データベースです。「私にデータベース設計を任せてほしいなぁ」と思っていたのですが、データベース設計はベテランのB先輩の担当になりました。B先輩は、ふだん別の部署で勤務しているのですが、データベース設計を行うために筆者の部署にやってきました。

 B先輩は、とても気さくな人ですが、ちょっと変わったとこともあります。オフィスの中を意味なく歩き回っていたかと思うと、勤務時間中に休憩室で仮眠していたりします。そして、不思議なことに、真冬なのに裸足で平然としています。そんなB先輩が、ある日を境に自分の机にしがみつき、黙々とER図(データベース設計でよく使われる図)を描き始めました。何かをひらめいたといった様子です。筆者は、データベース設計のコツを教わろうとして何度か話しかけたのですが、B先輩は厳しい表情で「後にしてください」と言います。

 黙々と作業を続けて約1ヶ月後、「できた~!」と大声を上げたB先輩は、完成したER図を掲げて小躍りしていました。どうやら、データベース設計が無事に終わったようです。筆者は、もとの笑顔に戻ったB先輩に「データベース設計のポイントは何ですか?」と質問しました。B先輩は、ちょっと考えてから答えました。「データベース設計は芸術作品みたいなものだから、簡単に教えられるものではない」です。確かに、これまでのB先輩の振る舞いは、ITエンジニアというよりは芸術家のようでした。

 その後しばらくして、筆者は、雑誌記事か何かで「ネットワークは勉強しろ、データベースは勉強するな」という言葉を目にしました。これは、ちゃんと通信規約(プロトコル)を勉強しないとネットワークはつながらない、教科書どおりにデータベースは構築できない、ということでしょう。この言葉から、B先輩がデータベース設計のことを芸術だと言った意味がわかったように感じました。芸術家として腕を磨くには、他者が作った多くの作品を見て、自分でも何度も作品を作って経験を積むしかないでしょう。これまでの筆者には、他者が作った作品を見る姿勢が欠けていたのだ、と大いに反省させられました。

IT業界の大先輩たちの言葉

 最後に、IT業界の大先輩たちの言葉を集めた本を紹介しましょう。「シリコンロード」というタイトルの本で、コンピュータの発展に貢献した約50人の偉人たちの写真付名言集となっています。その中から、いくつかを紹介しましょう。

【書名】シリコンロード
【写真】小平尚典
【監修】ポール・サッフォー
【発行】ソフトバンク株式会社出版事業部(当時)

【企業の設立者の言葉】

スティーブ・ウォズニアック(アップルコンピュータの共同設立者)
「人生の一部となれ。過ぎ去るのをただ見つめているだけではだめだ」

ジョン・E・ワーノック(アドビ・システムズの共同設立者)
「好奇心が新しい考え方を生み、忍耐がそれに生命を与える」

マイケル・S・デル(デル・コンピュータの設立者)
「素晴らしいプレイをしろ、しかしあくまで勝て」

【エンジニアの言葉】

ダグラス・C・エンゲルバート(マウスの開発者)
「1人の人間がどれだけ大人になれるかは、耐えてきた困難の量で決まる」

アラン・C・ケイ(パソコンのコンセプトの提唱者)
「私たちの思考形成に影響を与えるようなメディアは、幼い子供たちにもアクセスできるものでなければならない」

ウィリアム・N・ジョイ(UNIXの権威)
「狙ったものだけを撃て」

 さすがに、どれも深い言葉ですね。「シリコンロード」は、1993年に発売された古い本なので、残念ながら現在は絶版のようですが、中古品を取り扱っているWeb書店に出品があります。興味のある方は、お早めにお求めください。それから、毎度くどいですが、皆さんのコメントの書き込みもお待ちしております。