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 「ソリューションとサービスを強化する。成長のための準備だ」。こう語るのは日本ヒューレット・パッカード(HP)の小出伸一社長だ。

 米HPはグローバル市場で売り上げナンバー1の地位にあるが、日本HPの2007年10月期の売上高は約4300億円であり、日本市場では6位前後に甘んじている。小出氏は2007年12月の社長就任会見で、「どんな施策で、成長を確かなものにするのかが重要」という主旨の発言をしている。その後、構造改革を進めながら、成長分野を探り続けてきた結論がソリューションとサービスだったわけだ。

 実は、日本HPの売り上げの約4割は、保守などのサービス関連が占めている。だが、ユーザー企業は日本HPを「PCサーバーやパソコン、プリンタなどハードに強いITベンダー」とみている。小出氏が危惧するのは、ユーザー企業がサービスやソリューションを必要とした際、「最初に相談が持ち込まれる会社」になれないということだ。だからこそのサービスやソリューションなのである。

 中でも最優先するのはアウトソーシングである。日本のIT市場の状況から、小出氏は「数年は利益を優先する」方針を明らかにしているが、アウトソーシングは例外らしく、「ここ1、2年は積極的に投資していく」(同)としている。

富士通、IBMなど手強い競合に勝つ方策は

 なぜ、アウトソーシングなのだろう。ほかに大きなサービス市場としてSIがあるが、ここは富士通やNTTデータなどの強豪がひしめいている。日本HPがここに打って出るには業種・業務のノウハウが乏しい。加えてSIは収益性が低く、その割にリスクの高い分野でもある。

 一方、アウトソーシング市場はどうか。「確かに富士通や日本IBMなど強い企業はいるが、彼らはメインフレームによる基幹系システムが中心だ。HPはオープン系に強く、ユーザー企業もオープン系システムの運用に困り始めている」(小出氏)。

 富士通など国内大手企業のITサービス売り上げを分析すると、40%程度をアウトソーシングから稼ぎ出している企業が多い。これに対し日本HPの場合、アウトソーシングの売上比率はわずか1%に過ぎない。逆に、これから大きく伸ばせる余地があるというわけだ。今後急速な普及が見込まれるSaaS向けのインフラ構築や運用、さらにはSaaS専用データセンターのニーズも高まる傾向にあるという。2008年に買収したEDSのノウハウを活用できるという読みもある。

 ただし小出氏は「自前ですべてを手がけると固定費がかかる」(小出氏)とも発言しており、アウトソーシング事業はパートナー企業との協業で推進する考えである。例えば、ハウジングならデータセンター事業者、SaaSなどのアプリケーションならそれに強いソフト会社と組む。データセンターを自前にするか、借りるかはケースごとに判断する。「パートナ企業との関係は良好で、いいコンビネーションができている」と小出氏は、各分野でパートナー企業と協業体制を築くことに自信をみせる。

 ただしその前提として、日本HPの強みであるハード事業をさらに伸ばすことが必要だ。「当社は今、マーケット・シェアを拡大できる環境にある。(PCサーバーなど)プラットフォーム製品を押さえていく。そこがサービスの起点になるからだ」(小出氏)。2009年1月にサーバー製品などの定価を平均20%値下げしたのも、その戦略の一環である。

 2008年は構造改革に重点を置いていた小出氏だが、厳しい市場環境の中で日本HPを成長させるための第1歩を踏み出したようだ。