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 「2、3年ごとに新しいデータセンターを作っていく」。2009年2月に第4データデンターを稼働させたビットアイルの寺田航平社長は強気だ。この不況期にも関わらず、受注は順調に推移しており、稼働ラック数は2008年1月の2185から2009年1月に2553と増え続けている。

 同社は2000年6月、寺田倉庫などの出資によって設立されたデータセンター事業者。寺田倉庫が所有する東京・東品川の倉庫を利用して、2001年3月にサービスを開始した。今では第4データセンターを設置するまでに成長した。第4データセンターは、第1~第3データセンターとほぼ同じキャパシティを持ち、延床面積は1万6500平方メートルである。

 ビットアイルの特徴は、都市部中心にデータセンターを展開していること。大きな理由は、複数ベンダーの製品を設置しているためという。ハードやソフトに障害が起きたとき、どのベンダーも30分以内に駆けつけられる場所というと都心になる。データセンター同士の接続ポイントが大手町に集中していることもある。

 ただし、数年後に建設を計画する第5データセンターまでは都市部に建設するが、その後は地方展開になる可能性もあるという。将来、需要が拡大するとみているバックアップ用途では、都心にこだわるよりも地方で安価なサービスを提供する方が得策と見ているからだ。

 ビットアイルの業績は、2008年7月期が売上高約68億円、経常利益約20億円だった。2009年7月期に売上高約97億円、経常利益約26億円を見込む。さらに、2011年7月期には売上高180億円、経常利益60億円を目指す。

 「今期の受注は鈍っていない」(寺田氏)が、利用者は変化しつつある。売り上げの半分を占めるインターネット関連企業の中で、携帯電話向けサービスや動画関連サービスを提供する企業は不況の影響を受けている。その一方、Eコマース関連の企業向けは堅調だという。

 また、新しい顧客層を開拓するため、CSKなどのITサービス会社との協業により、中堅~大手企業のWeb系システムを稼働させる案件にも着手している。この3月には、NECやNECネッツエスアイと協業し、グリーンIT関連のサービスも開始した。ユーザーが自社内でサーバーを運用するケースに比べて、CO2と運用コストをそれぞれ30%以上削減できるというのが売りである。

単なるコストセンターと見られている

 だが、データセンター市場にはアウトソーシング事業を推進する富士通など大手ITベンダーがひしめく。データセンター専業の中堅・中小企業に勝ち目はあるのだろうか。ビットアイルがとる差異化戦略の1つは、大手と異なる顧客層をターゲットにしていること。大手は20ラック、30ラックという大きな単位で営業活動を展開するのに対して、ビットアイルは中小企業に1ラック、2ラックという細かな単位で売り込む。寺田氏は「大手とはコスト構造が違う。コストは大手の20~30%程度だ」と強調する。

 もちろん価格だけを売りにするつもりはない。「安価なサービスを作りたい企業向けに、安価に使えるインフラを提供する」と寺田氏。具体的には、サーバーなどの運用が負担になってきた中小企業をターゲットに、同社のデータセンター上で様々なサービスを用意し、高いシェアを獲得したい考えだ。ビットアイルは2009年1月に、グループウエアをSaaSでも提供するネオジャパンに資本参加したが、これもその一環である。「当社のユーティリティ・サービスを活用するSaaS事業者と提携し、彼らの後押しをする」(寺田氏)。

 2009年3月には、ITベンチャーを支援するインキュベーション・プログラムも始めた。同社データセンターに設置したサーバーや回線などを1年間無償提供するもので、最大30社を募る。新しいITサービスを開発するITベンチャーが育てば、いずれ同社の顧客になり、かつデータセンター上のサービス・メニューも豊富になるという計算だ。「当社のデータセンターが、各種のサービスを組み合わせる場になる」(寺田氏)。

 「データセンターは付加価値のない“業者”扱いされるか、単なるコストセンターとみられがちだ。だが付加価値を提供できるビジネスにすれば、顧客とパートナーの関係になれる」と寺田氏は語る。これが同社の目指すところである。