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 ユーザー企業のITコスト削減ニーズとクラウド・コンピューティングについて考えてみる。「コスト削減のためクラウドを活用、そんなの当たり前じゃん」と考えるなら、それはあまりに皮相だ。ITコスト削減が絶対命題の今、クラウドサービスは使えない場合が多い。考えてみれば当然なのだが、そこら辺りがよく誤解されている。いわゆる「プライベート・クラウド」への道筋こそ重要である。

 そもそもSaaSなどのクラウドサービスを単純に利用すると、クラウドサービスだってタダではないのだからITコストは増える。現在なにがしかのコストをかけて利用しているシステムを、それより安いサービスに置き換えた時のみ、クラウドによるコスト削減は成り立つ。もちろん初期コストを抑えるためにSaaSなんかを利用する場合もあるが、「とにかく1円でも減らせ」という状態では、安いサービスといえども利用に踏み切るのは難しい。

 だから今の不況下にあっては、クラウドサービスはITベンダーの皮算用ほどは伸びないかもしれない。ただリプレース型のサービスは例外。グーグルやマイクロソフトが売り込みをかけるメールなどのメッセージングはその最たるものだ。多くのユーザー企業にとって、メールサーバーなどの保守・運用はかなりの負担。保守・運用をITベンダーに任せているなどでコストが明確ならば、より安いクラウドサービスへと需要がシフトするのは間違いない。

 では、そうした商材を持たないITベンダーは、クラウドについて何を語るべきなのか。それこそ、今や流行り言葉の「プライベート・クラウド」である。このプライベート・クラウドは、身も蓋もなく言うと、ユーザー企業内でサーバーやストレージを統合し、仮想化技術を入れてアプリケーションと物理的なインフラを分離することで、物理インフラなどの資源を有効活用しましょうとことだ。

 つまり、これまでコンピュータ・メーカーやミドルウエア・ベンダーがさんざん言ってきたことを、“クラウド時代風”に焼き直したものにすぎない。それでも言葉は力だ。ユーザー企業にとって直近のITコストの大幅削減と情報システムの未来を結び付ける“導きの糸”となる。

 この前の「新規案件ゼロの衝撃」で書いた通り、ユーザー企業のIT予算が2~3割カットされるのなら、保守・運用費に手をつけざるを得なくなる。その際、最もコスト引き下げ効果があり、即効性があるのが、仮想化技術を使ったサーバー統合/ストレージ統合によりハード台数を減らし、保守費などを引き下げることだ。ほら、直近のコスト削減策がそのままプライベート・クラウドにつながるでしょう・・・。

 ここで書くのを止めるとあまりにいい加減なので、“クラウド時代のプライベート・クラウド”の意味について、もう少し書いておく。アプリケーションと物理インフラを分離することで、物理インフラなどの資源を有効活用できるということは、単に社内の資源だけでなく、外の資源も活用できるということだ。例えば一部のアプリケーションを、アマゾン・ドット・コムのクラウドサービスであるEC2上で動かすことも容易になる。

 それに、1社だけでプライベート・クラウドを構築するよりも、グループ企業全体で構築したほうが、処理能力などの利用が平準化されて効率が良くなる。もっと言えば、グループ企業の枠を超えて多くの企業がそれぞれのプライベート・クラウドを構築する際に、物理インフラなどの資源を共同利用したほうが、よりコストメリットが大きい。そこがプライベート・クラウドと自社内のリソース利用で閉じていた従来の発想との違いだ。

 そんなわけで、今サーバー統合などのコスト削減策を提案するITベンダーには、将来のプライベート・クラウド支援ビジネスが見えてくる。きっとされは現在のアウトソーシング・ビジネスの限界を突き破るものにもなるはずだ。クラウドのいう言葉がユーザー企業の経営者にも刺さる今、ITベンダーには、大きな絵を描いたうえでのコスト削減策の提案をお勧めする。